市場調査を自分で行う方法とは?具体的な手順や費用、おすすめツールを解説

03 2025.12

アンケート調査手法

目次

新規事業の立ち上げや新商品の開発において、市場調査は成功の鍵を握る重要なプロセスです。
とはいえ、
「専門の調査会社に依頼するほどの予算はない」
「まずは自分たちの手でスピーディーに市場の反応を知りたい」
と考える方も多いのではないでしょうか。

本記事では、市場調査を自分で行う方法を、初心者でも実践できるレベルに落とし込み、
手順・手法・費用・おすすめツールまでわかりやすく整理して解説します。
市場調査を自分で行う方法とは?具体的な手順や費用、おすすめツールを解説

市場調査は自分でもできる?

結論、市場調査は専門会社に依頼しなくても自分で実施できます。
目的と調査手法を押さえ、基本的なステップに沿って進めれば、「市場調査を自分で」行う場合でも、商品企画や新規事業の判断に使えるデータを集めることができます。

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そもそも市場調査とは

市場調査とは、市場の動向や顧客ニーズ、競合状況を調べ、事業判断に必要な根拠を集める活動です。
・どんな製品が求められているか
・適正価格はいくらか
・ターゲットは誰か
といった判断材料を客観的に得ることができます。

調査会社に依頼する場合との違い

調査会社に依頼する場合と、自分で市場調査を行う場合には、それぞれに異なるメリットがあります。主な違いは「コスト」「専門性」「進め方の柔軟さ」の3点です。

調査会社は、調査設計・回収管理・分析レポートまでをまとめて任せられるのが特徴で、担当者が細かな実務に追われることなく調査を進められます。
一方、自分で行う場合は、設計や準備に一定の工数やノウハウは必要になりますが、自分のペースで調査を始められるスピード感と、目的や状況に合わせて柔軟に進められる点が大きなメリットです。
比較項目 自分で行う場合 調査会社に依頼する場合
コスト 低い(無料〜低価格で開始できる) 高い(数十万~数百万円)
専門性 設計・分析の知識が必要 プロが設計・分析を担当
工数・スピード 設計・準備には工数がかかるが、調査開始はスピーディーで柔軟 目的・対象者条件・設計方針などのすり合わせに一定の時間が必要
柔軟性 途中の変更や追加に対応しやすい 契約内容に応じて変更が限定される
市場調査を自分で行うメリット

市場調査を自分で行うメリット

市場調査を自分で行うことには、コスト面以外にもさまざまなメリットがあります。
ここでは、市場調査を自分で行う際に特に実感しやすい3つのポイントを紹介します。

メリット1:コストを大幅に削減できる

最大のメリットは、やはりコストを抑えられる点です。
調査会社に依頼すれば数十万円から数百万円かかることもありますが、自分で行えば無料のアンケートツールや公開データを活用し、ほぼゼロに近い費用で市場調査を進めることができます。
予算が限られている新規事業開発部署や、中小企業、スタートアップにとって特に大きな利点です。

メリット2:顧客の声を直接理解できる

自社の担当者が自分でアンケートやインタビューを行うため、顧客や潜在顧客の生の声をより近い距離で把握できます。
数値データだけでは分からないニュアンスや不満、期待などを感じ取れるのは大きな強みです。
これは製品開発やサービス改善のヒントになるだけでなく、顧客理解の深さそのものが競争力につながる場面もあります。

メリット3:すぐに調査を始められる

外部調整が不要なため、必要なタイミングで即座に市場調査を始められます。
「この機能の反応を早く知りたい」「来週の会議までに傾向だけ確認したい」といった場合でも、すぐに動けるのが大きなメリットです。

市場調査を自分で行うデメリット

市場調査を自分で行う場合にも、事前に理解しておきたい注意点があります。
これらのポイントを把握しておくことで、「市場調査を自分で行う」際の失敗を防ぎ、より正確な結果に近づけることができます。

デメリット1:専門知識やノウハウが必要

市場調査では、調査設計・質問項目の作成・データ分析など、一定の知識が求められます。
知識が不足していると、
・質問の聞き方が原因で偏った回答が集まる
・集めたデータを正しく読み取れない
といった問題が起きやすくなります。

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デメリット2:調査結果を得るまでに時間がかかる

市場調査を自分で行う場合、情報収集、データ整理、集計・分析など、
調査全体の工程を自社で進める必要があるため、一定の時間と工数が必要です。
特に通常業務と並行する場合は、想定以上に負担が大きくなることもあります。
ただし、外部調整が不要なため、調査そのものはスピーディーに始められるというメリットもあります。

デメリット3:客観性の担保が難しい

自社の製品やサービスを扱う調査では、無意識のうちに「こういう結果になってほしい」という気持ちがデータ解釈に影響してしまうことがあります。
こうした思い込み(バイアス)を避けるためには、フラットに結果を見る意識と、複数の視点で検証する姿勢が必要です。
自分で行う市場調査の5つのステップ

自分で行う市場調査の5つのステップ

市場調査を自分で行う場合は、行き当たりばったりではなく、基本のステップに沿って進めることが成功のポイントです。
ここでは、初心者でも実践しやすい5つのステップを紹介します。

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ステップ1:調査の目的と課題を明確にする

まずは、「何のために調査を行うのか」「どんな意思決定の材料が欲しいのか」を明確にします。
例:
・新商品のターゲット層を決めるため
・価格設定の妥当性を把握するため
・顧客の不満点や期待を把握するため

目的が曖昧だと、調査設計がぶれてしまい、必要のないデータが増えてしまいます。
最初の目的設定が、調査全体の質を左右します。

ステップ2:調査計画(企画)を立てる

目的が決まったら、調査計画を具体化します。
・誰に(調査対象)
・何を(調査項目)
・どのように(調査手法)
・いつまでに(スケジュール)
・いくらで(予算)

ここで簡単な仮説を立てておくと、集めるべき情報が明確になり、ムダがなくなるのもポイントです。

ステップ3:調査を実施する

計画に沿って、実際に市場調査を進めます。
・公開データを集める(デスクリサーチ)
・アンケートツールで調査を配信する
・インタビューで深掘りする

調査は「やりながら考える」部分も多いため、計画と現場の状況にズレがないかを適宜確認しましょう。
思わぬ反応や新たな気づきが出た場合の柔軟な調整も重要です。

ステップ4:データを集計・分析する

集めたデータを整理し、読み解いていきます。
・回答結果の集計・可視化(グラフ化)
・インタビュー内容をテキスト化し、キーワードを抽出
・仮説が合っていたか/外れていたかの検証

ただ数字を見るだけでなく、
「なぜこの結果になったのか?」という背景を考察することが、価値ある示唆につながります。

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ステップ5:レポートを作成し共有する

最後に、調査の結果と考察をレポートにまとめます。
・調査目的
・主要な結果
・背景にある理由
・次のアクション(意思決定につながる提案)

グラフや表を活用して、誰が読んでもわかりやすく視覚的にまとめることが重要です。
レポートを共有し、組織全体で同じ認識を持つことが、次のアクションに直結します。

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自分で行える市場調査の主な手法

自分で行える市場調査の主な手法

市場調査を自分で行う場合でも、目的に応じてさまざまな手法を使い分けることができます。
ここでは、初心者でも取り入れやすい代表的な4つの手法を紹介します。

デスクリサーチ(二次調査)

デスクリサーチとは、すでに公開されている情報を集めて分析する方法です。
・官公庁の統計データ
・業界団体のレポート
・Webサイト・ニュース記事
・書籍や白書

など、無料または低コストで入手できる情報を活用できるため、
市場調査を自分で行う際の最初のステップとして最も取り組みやすい手法です。

短時間で市場の全体像やトレンドを把握するのに適しています。

アンケート調査(定量調査)

アンケート調査は、特定のテーマについて多数の人に同じ質問を行い、
数値データで事実を把握する定量調査の代表的な手法です。
例:認知度、利用率、満足度、比較検討の実態 など。

Webアンケートツールを使えば、個人でも短時間で実施できるようになっており、
市場調査を自分で進めたい担当者にとって非常に取り組みやすい方法です。

インタビュー調査(定性調査)

インタビュー調査は、対象者と対話しながら意見や理由を深く掘り下げる方法です。

・「なぜそう思ったのか」
・「どのように使っているのか」
・「どんな点に不満を感じているのか」
など、数値では捉えきれない質的な情報を得られます。
顧客の本音や行動の背景を理解したい場合に有効で、
製品改善や価値提案の方向性を探る手がかりになる手法です。

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ソーシャルメディア分析

X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSに投稿された内容を収集・分析し、
消費者の生の声やトレンドを把握する方法です。
アンケートでは出てこない、日常的な本音や口コミを手軽に得られるのが特徴です。

・自社ブランドがどう語られているか
・競合に対する反応
・トレンドの兆し
など、実際の生活者の声を知るのに役立ちます。

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市場調査に使えるおすすめツール

市場調査を自分で行う際は、ツールを上手に活用することで、
工数を大幅に削減し、より正確で扱いやすいデータを集めることができます。
ここでは、無料で使えるものから、より本格的な分析ができる有料ツールまで紹介します。

無料で使えるツール

まずは費用をかけずに市場調査を始めたい方におすすめのツールです。
無料でも十分活用できるものが多く、「まずは自分でやってみたい」担当者に最適です。
ツール名 用途 特徴
Googleフォーム アンケート調査 直感的な操作でアンケート作成〜集計まで可能。
Googleアカウントがあればすぐ利用できる。
e-Stat デスクリサーチ 日本政府が公開する総合統計サイト。
信頼性の高いデータが無料で入手可能。
Googleトレンド デスクリサーチ キーワードの検索数推移を確認し、世の中の関心の変化を把握できる。
SNSの検索機能 ソーシャルメディア分析 キーワード検索で口コミ・本音・反応を手軽に収集できる。

有料で使えるツール

より本格的な調査を行いたい、あるいは効率を上げたい場合には、有料ツールの導入も検討しましょう。
ツール名 用途 特徴
Surveroid アンケート調査 低価格から利用できるセルフ型アンケートツール。
豊富な調査パネルから対象者を絞って配信可能で、調査開始までがスピーディー。
SurveyMonkey アンケート調査 世界的に利用されているアンケートツール。
豊富なテンプレートと高度な分析機能が魅力。
SPEEDA デスクリサーチ 業界レポート・企業情報など、事業計画や市場分析に必要な情報を網羅。深い分析が可能。
Meltwater ソーシャルメディア分析 SNSやWebニュースのモニタリングに特化。
ブランド評価やトレンド分析に強み。
Surveroidに登録すると、リサーチャーが実務目線で解説する「マーケティングリサーチ講座」を限定コンテンツとしてご覧いただけます。
講座で学んだ内容は、そのままSurveroid上でアンケート作成や分析に活かせるため、初心者の方でもスムーズに実践へつなげられます。

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自分で市場調査を行う際の費用相場

市場調査を自分で行う場合の費用は、選ぶ調査手法や利用するツールによって大きく異なります。
ここでは、「市場調査を自分で行いたい」人が知っておきたい費用の目安を手法別にまとめました。

手法別の費用感

・デスクリサーチ(無料〜数十万円)
公開データや政府統計を使う場合は無料で実施できます。
一方、より専門的な有料データベースや業界レポートを購入する場合は、数万円〜数十万円程度が目安です。

・Webアンケート調査(0円〜数万円)
自社会員や既存顧客に無料ツールで配信する場合は0円。
パネルを利用したり、有料ツールを使う場合は、回答者への謝礼や配信費用などを含めて数千円〜数万円が一般的です。

・インタビュー調査(1人あたり3,000円〜1万円程度)
主な費用は対象者への謝礼です。
オンラインで実施すれば、会場費や交通費が不要でコストを抑えられます。

・ソーシャルメディア分析(無料〜月額数万円)
手動で検索するだけなら無料。
ツールを使って本格的に分析したい場合は、月額数万円のサービスが一般的です。

コストを抑えるためのポイント

市場調査を自分で行う場合、工夫次第で費用を大きく削減できます。
・無料ツールや公開データを最大限に活用する
・アンケート対象者を自社顧客やSNSフォロワーにする
・インタビューはオンラインで実施する
・小規模な調査から始め、必要に応じて有料ツールを検討する

特に、初めて市場調査に取り組む場合は、まずはスモールスタートで十分です。
小規模でも得られる学びは多く、次の調査判断に役立ちます。
市場調査を成功させるための3つのポイント

市場調査を成功させるための3つのポイント

自分で市場調査を行う際は、ただ手順に沿うだけでなく、いくつかのポイントを意識することで調査の質を大きく高めることができます。ここでは、特に重要な3つのポイントを紹介します。

ポイント1:調査目的を常に意識する

調査を進めていくと、細かなデータや予想外の結果につい目を奪われがちです。
しかし、最も大切なのは 「何のためにこの調査をしているのか」 を常に意識することです。

目的が曖昧になると、
・必要のないデータが増える
・結果が意思決定に活かしにくくなる

という状況に陥りやすくなります。
調査の始めから終わりまで、目的に立ち返れる状態を保つことが成功の鍵です。

ポイント2:調査対象者を具体的に絞り込む

「誰に聞くのか」を明確にすることは、市場調査の精度を大きく左右します。
対象者の範囲が広すぎると、今回の調査目的に必要のない層まで含まれてしまい、結論がぼやけてしまうことがあります。

また、分析段階では次のような問題も起こりがちです。
・クロス集計で n 数が減り、十分な比較ができなくなる
・後から「この層は不要だった」と気づいて除外すると、使えるデータが大幅に減る
ターゲットを絞っても多様な価値観は当然ありますが、
調査目的に適した“コアとなる対象者”を定義することで、得られるデータの解釈精度が格段に上がります。

例:
×「20代女性」
○「都内在住で、週に3回以上カフェを利用する20代の働く女性」

このように対象者を具体的に設定することで、
必要な声をしっかり拾え、分析もしやすく、意思決定につながるデータが得られます。

ポイント3:思い込み(バイアス)を排除する

市場調査では、調査者自身の思い込みがデータの読み取りに影響してしまうことがあります。

調査設計の段階では、質問文や選択肢の構成を丁寧に整えることで、意識的にバイアスを抑えることができます。
誘導表現を避けるなど、工夫しやすい部分です。

一方、データの解釈では、仮説通りの結果が出たときほど注意が必要です。
仮説が妥当であればその通りの結果が出るのは自然ですが、
その安心感から「仮説に合わないデータ」を軽視してしまうことがあります。

仮説通りの結果はそのまま受け入れてよい反面、合わない結果にこそ気づきが隠れていることも多いのです。

大切なのは、
「仮説は出発点」「データは事実」という姿勢を保つこと。
予想外の結果が出たときほど、その背景を丁寧に探ることで、自分で市場調査を行う価値がぐっと高まります。

まとめ

市場調査を自分で行うことは、コストを抑えながら顧客の声や市場の実態をつかむ効果的な方法です。
本記事で紹介したステップや手法、無料/有料ツールを活用すれば、必要なポイントを押さえながら、自分たちの力で調査を進めやすくなります。

まずは調査目的を明確にし、小さな調査から始めることで、
どのような情報が得られるのか、何が判断材料になるのかを実感できるはずです。
経験を積み重ねることで、より精度の高い意思決定にもつながっていきます。

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