アンケート調査結果の6つのまとめ方 流れや作成のポイントも紹介

25 2024.10

報告書作成

アンケート結果を効果的に活用するには、わかりやすい報告書としてまとめ、意思決定に役立てることが重要です。
本記事では、調査結果をわかりやすく伝えるための6つの具体的なまとめ方を解説します。調査データを読み手に伝えるためのポイントや、作成の際に役立つ報告書例も具体的にご紹介しますので、これからレポートを作成する方はぜひ参考にしてください。
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アンケートを作成する際の流れ

最初にアンケートを作成する流れを解説します。一般的には、1.目的を明確にして 2.アンケート内容や手法を決め、その後 3.具体的な調査票に落とし込んで実査に進み、4.報告書をまとめる手順となります。
以下で詳しく解説します。

1.アンケートの目的を決める

アンケートを作成する最初のステップは、目的を明確にすることです。目的がはっきりしていないと質問の内容や設計が曖昧になり、結果として得られるデータが不充分または無意味なものになりがちです。

具体的には、何を知りたいのか、どのような情報が必要なのかを明確に定義します。例えば新製品の需要を把握したいのか、顧客満足度を測定したいのかなど、調査の焦点を絞ります。目的を明確にすることでアンケートの全体設計がスムーズに進み、結果も効果的に活用できるでしょう。

2.アンケート内容や手法を決める

目的が明確になったら、アンケート内容や調査対象者、調査手法などを決めましょう。質問内容は目的に沿った具体的かつ明確なものにすることが重要で、何を聞くのか絞りを絞り込んでおきましょう。

また、アンケート手法やスケジュールもこの段階で決めておきます。オンラインアンケート、郵送調査、電話調査など、対象者に最も効果的にリーチできる方法を選びましょう。さらに回答者のプライバシーを保護するための措置や、回答者に対するインセンティブも検討します。これにより回答率が向上し、信頼性の高いデータを収集できます。

3.調査票を作成し実施する

アンケート内容と方法が決まったら、実際に調査票を作成して実施します。

決めた内容に沿って具体的な質問に落とし込み、質問形式もシングルアンサーやマルチアンサー、スケールなど、得たい回答に合わせて適切な形式を選びましょう。質問の順序やレイアウトも重要で、回答者が答えやすいように工夫します。オンラインアンケートの場合はツールを利用して質問を配置し、テストを行って不備がないかを確認しましょう。

実施する際は対象者にアンケートの目的や回答方法を明確に伝え、回答期限も設定します。実施期間中は回答率をモニターして必要に応じてリマインダーを送るなど、できるだけ多くの回答を集めましょう。

4.結果を回収して報告書にまとめる

アンケートが終了したら、結果を回収して報告書にまとめます。

最初にデータを整理して、回答の集計を行います。オンラインツールを使用している場合は自動的に集計されることが多いものの、必ず目視で不備や間違いがないかを確認しましょう。

続いて集計結果を分析し、目的に沿って報告書をまとめていきます。報告書には調査の背景、目的、方法、結果、考察、結論などを記載します。得られた結果をもとに次のアクションプランを策定し、必要に応じて関係者に共有しましょう。

報告書は誰が見てもわかりやすいように、グラフやチャートを用いてデータを可視化することが重要です。
調査報告書とは

調査報告書とは

ある特定の事柄についてアンケートや調査を実施し、その調査結果をまとめた書類を「調査報告書」と言います。報告書は社内で活用・保管されるのみではなく、外部に公開するケースもあり、誰が見てもわかりやすくまとめる必要があります。また、今後の施策や分析などに使用されるケースもあるため、具体的なデータが記載されていることが重要です。読み手がどのような情報を必要としているのかよく考え、重要な情報を簡潔にまとめましょう。

アンケート調査結果の6つのまとめ方

調査結果は、データをなるべくわかりやすくグラフや表などを用いて可視化することが重要です。ここではデータをビジュアル化してまとめる6つの方法を、メリット・デメリットを交えて解説します。

円グラフ

円グラフは全体を100%とした際に、それぞれの項目の構成比を示すグラフです。全体に対する割合が視覚的に判断でき、例えばマーケットシェアや予算配分などの可視化に適しています。

項目の割合を視覚的・直感的に理解しやすく、色分けすれば各項目の違いを明確に示せます。一方で項目が多くなると見づらくなり、正確な比較が難しいため細かいデータの分析には不向きです。また単一回答タイプの設問には向いているものの、複数の設問にまたがる回答データを比較する際は使いにくいといえます。

棒グラフ

棒グラフは、項目ごとの数値を棒の長さで示すグラフで、数値の比較がしやすいのが特徴です。例えば売上高や人口、得票数などを表すのに適しています。

数値の大小を一目で比較でき、水平・垂直どちらの形式でも表示可能で柔軟性が高いのが特徴です。複数回答や「年代別に結果を比較する」といったクロス集計の結果などを、わかりやすく可視化できます。

一方項目が多すぎると見づらくなり、全体における割合を把握したいときには向いていません。

帯グラフ

帯グラフは、複数のカテゴリの割合を帯状に示すグラフで、各項目が帯の一部として表示されるため、全体の構成比を視覚的に把握できるのが特徴です。年齢層別の人口構成などに使われます。複数の設問に対し、「あてはまる」「ややあてはまる」「ややあてはまらない」「あてはまらない」といった評価を、並べて比較・分析するのにも最適です。

円グラフと同様に各項目別の割合を比較しやすく、色分けすることで視覚的に理解しやすいメリットがあります。一方項目が多すぎると視認性が下がり、正確な数値がわかりにくくなってしまいます。

折れ線グラフ

折れ線グラフは、データポイントを線で結び、時間の経過による変動を視覚的に表現するグラフで、主に時系列データの変化を示す際に使います。項目ごとの時系列による数値比較に適しており、売上高、人口、得票数などの可視化に適しているといえるでしょう。

数値の大小を一目で比較でき、水平・垂直どちらの形式でも表示可能である点が特徴です。ただし項目が多すぎる場合や似たような数値のデータは折れ線が重なってしまい、見づらくなってしまうデメリットがあります。

レーダーチャート

レーダーチャートは、複数の項目を放射状に配置し、各項目の数値を結んで多角形で示すグラフです。各項目のバランスを視覚的に比較でき、複数の項目を総合的に評価するのに適しているため、製品の性能評価などに向いています。

例えば、製品にどのようなイメージを感じるかと言った設問に対し「やわらかい」「明るい」「高級感がある」などの傾向の強弱を把握するのに使えます。一方多くの項目を表示すると見づらくなり、その他といった自由回答は把握しきれません。

散布図

散布図は、2つの変数間の関係を示すグラフで、各データポイントを座標上にプロットすることで、相関関係や分布の傾向を視覚的に把握できるのが特徴です。 例えば売上と広告費の関係やサービスの価格と満足度など、2つの変数間の関係を示すのに適しています。

データの分布やトレンドを把握しやすい反面、データポイントが多すぎると見づらくなるほか、外れ値の影響を受けやすい点に注意が必要です。
調査報告書作成のポイント

調査報告書作成のポイント

調査報告書を作成する上で押さえるべきポイントを紹介します。誰が見てもわかりやすい報告書に仕上げるために、以下の4つを意識しましょう。

「誰に」対しての報告書なのかを意識する

報告書の作成において最初に明確にしておくことは、「誰に」向けて作成するのかです。
主な公開先を大きく2つに分けると、社内(上司、役員など)か社外(取引先、一般消費者など)になります。
誰が見てもわかりやすいものであることや提出期限を守ることは、公開先が違ってももちろん大切なポイントとなりますが、社内か社外で重視するポイントが僅かに異なります。

社内に報告書を提出するときは、日々の業務で忙しい中確認してもらう必要があるため、簡潔かつ重要事項がわかりやすくまとまっていることが求められます。ぱっと見た時に視覚的に理解できるようにグラフを用いたり、重要な箇所にマークをするなど見て欲しい箇所を目立たせると良いでしょう。
また、社外向けの報告書は、レイアウトを工夫し、空白やグラフを効果的に用いて「見栄えの美しさ」にこだわることが重要です。自社商品をアピールしたい場合は商品のイメージにあった色合いやデザインにしたり、競合商品と比較をする際は自社商品を目立たせたりするなどの工夫をすると直感的理解に繋がるでしょう。

私見を排除して作成する

アンケート結果を報告書に反映するときは、データを客観的に読み取り分析したものであることが原則です。報告書から今後の事業の方向性など意思決定をする可能性があるため、アンケート結果は正確かつ私見を除いた事実に基づいたことだけを記載します。集計表やグラフを見ればわかることでも、調査結果を読み間違えることがないように注意しましょう。

要約は必ず載せる

報告書の要約(サマリー)を冒頭に掲載することで、その後の情報を理解しやすくなります。
「タイトル」→「要約」→「詳細」の3段構造で作成すると良いでしょう。調査によっては報告内容が膨大になることがあり、何ページも読み進めてやっと結果を理解できることも少なくありません。読み手の気持ちになれば、まず初めに結果を知りたいですよね。そのために詳細な報告内容の前に、要約ページがあると自然な流れで理解することができます。イメージとしては、全体像を把握して、そこから派生する細かな結果を確認という流れです。

所感は調査結果と分けて記載する

所感とは調査結果を基に、意見や今後の解決策などを調査担当者が述べる箇所になります。
所感を記載する場合は、調査結果(要約や詳細情報)の中に含めるのではなく、必ず分けて記載しましょう。一通りの報告内容の最後に所感をまとめるとわかりやすいです。
また、調査テーマと内容に一貫性があるのかに注意する必要があります。調査内容の事実に基づいた意見や、改善点のアイディアを添えて所感を完成させましょう。

調査報告書の項目

1.報告書のタイトル

タイトルの見やすさ(フォント、文字サイズ、デザイン)や適切なタイトル付けが重要です。社内向けの場合は、「○○実態調査結果報告書」など端的なタイトルが適しています。また、特にプレスリリースなどの外部に向けて調査結果を公表する場合は、気になる具体的な数字やキーワードを織り交ぜて、読みたいと思うような工夫を凝らしたタイトルにすると良いでしょう。

2.調査の背景・目的

報告書の冒頭に、何に対する調査結果なのか「アンケート調査の背景や目的」を簡潔に記載しましょう。下記は一例です。
『当社の強みである○○部門について新ターゲット層の獲得を推進したいという背景があり、△△を対象に□□を明らかにし、今後の新領域展開への示唆を得ることを目的としています。』

3.調査の概要

報告書の冒頭には調査方法や対象者、調査期間など調査概要を記載します。下記は一例です。

調査名:○○実態調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2022年1月21日(金)~2022年1月24日(月)
対象者:20~69歳/既婚女性/全国
回収数:1,000サンプル

4.調査結果の概要

調査報告書の内容量が多くなる場合、概要(要約)を記載します。詳細の前に、概要を読むだけでおおよその調査結果がわかることが理想です。ただし、概要部分が多くなってしまっては本末転倒なので、読み手が知りたいポイントを押さえて、200字程度に収めることを意識して作成しましょう。

5.調査結果の詳細

調査結果の詳細は、概要で記載した内容をより深堀したものを記載する重要な部分です。
概要と齟齬がないように作成することはもちろん、テキストだけではなく、表やグラフなどを活用して数値データを視覚的に理解できるようにわかりやすく作成しましょう。読みやすさを重視するため、シンプルな文章や見出しを意識するとより良いです。

6.調査結果に対しての所感

所感では、調査結果の活用方法や、結果に対しての意見を述べます
上述したように、報告書は今後の意思決定における基本的な資料になり得るため、事実に基づいた自分の意見を述べることが重要です。また、事実とはっきり分けて書くことがわかりやすい報告書を作成するポイントになります。

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調査報告書のサンプル

調査報告書の例1(オンライン消費について)

2022年1月27日
△△部△△課○○部長(宛名)
△△部△△課○○○○(差出人)

オンライン消費に関する調査報告書

標記の件について調査を行いましたので、下記の通りご報告いたします。

調査の趣旨
新型コロナウイルスの感染拡大により外出自粛が要請され、百貨店等の実店舗に影響が及んでいる中、オンラインでの購買活動について消費者の行動に影響が出たのか、ネットショッピング事情に関して調査を実施しました。オンライン消費の実態について明らかにし、今後のEC事業参入時の参考にすることを目的としています。

調査方法
期間:2022年1月21日(金)~2022年1月24日(月)
対象:20~69歳/男女/全国
方法:インターネット調査

調査結果概要
7割を超える人が直近1ヶ月間でネットショッピングをしたと回答し、特に60代以上の高齢層の利用に増加傾向がありました。また、外出機会が減った分、ネットショッピングにかけることのできる予算も上がったことがわかりました。ネットで購入できるものが増えたことや、欲しいものがすぐに見つかる点がコロナ禍の現在利用頻度が上がっている要因となっています。

調査詳細

  1. ネットショッピング利用状況
    (直近1ヶ月の利用頻度、頻度の増減、今後の利用意向についてなど)

  2. ネットショッピングを利用する際に重視するポイント
    (価格、届くまでの期間、併用できるポイント、クーポンの有無、口コミ・レビューなど)

  3. ネットショッピングの使い方
    (店舗にないものを買う、いつも使用しているものを買う、忙しいとき、ポイントを貯めるなど)

  4. ネットショッピングにかける予算
    (予算の変化や1回あたりの平均利用額など)

  5. ネットで購入しているもの
    (日用品・生活雑貨、食品(生鮮食品・米・油など)、ファッション(衣類・靴など)、家電・AV機器、雑誌・書籍など)

所感
今回のアンケートの結果では、外出自粛を受けてネットショッピング利用が増え、今後も増加傾向にあることがわかりました。ネットショッピングの手軽さを再確認し、全世代においてネット利用が一般的になっていることから、これまでEC事業に足を踏み入れてこなかった自社においても、オンラインでの収益化が見込める結果だと感じます。

以上

調査報告書の例2(新商品の浸透度について)

2022年1月27日
△△部△△課○○部長(宛名)
△△部△△課○○○○(差出人)

新商品「□□」の売上状況に関する調査報告書

標記の件について調査を行いましたので、下記の通りご報告いたします。

調査概要

調査目的:新商品「□□」の市場での浸透状況や利用実態の確認
調査期間:2021年12月1日(水)~31日(金)
調査方法:実際の購買データによるPOS分析
調査対象者:新商品を購入した顧客

調査結果の要約
新たに販売された「□□」がどのくらいユーザーに受け入れられているか、競合他社の売上状況や自社の他商品との比較も含めて現状を把握するために調査しました。売上が上がっている店舗がある一方、伸び悩んでいる店舗もあり、店舗に合った対策を検討することが必要です。

調査結果

  1. 新商品の販売状況
    (よく売れる時間帯、売上が伸びている店舗、どれくらいの価格で売れているのか、リピーターの有無)

  2. シェアの比較
    (競合の売上と比較、自社の他商品と比較)

  3. 店舗別の売上
    (店舗別の売上、各店舗での新商品販売に対する取り組み、売上が伸びている店舗の施策)

所感
売上が伸び悩んでいる店舗がある一方で、順調に売上を伸ばしている店舗があることから、売れる商品であることはわかりました。なぜ伸びているのかをさらに分析を進め、立地や客層を考えたキャンペーンや売り場構成、セット販売などの施策の見直しを図り、今後の対策を立てることが必要だと考えられます。

以上

調査報告書の作成についてよくある質問

調査報告書はどのくらいのボリュームで作成するべき?

できるだけ簡潔に作成し、1分~2分程度で読める内容にすると良いでしょう。
※内容にもよるため、報告書のボリュームは変動します。

フォントや文字サイズは何が良い?

フォントは見やすさを重視して選ぶことを前提に、ビジネスであれば明朝体が主流となっています。次いでメイリオ、ゴシック体​です。
また、見出しはゴシック体、文章は明朝体などフォントを使い分けをするとさらに見やすくなります。
また、文字サイズは11~12ポイントが見やすいと言われています。

まとめ

報告書をまとめる際は、誰に対してどんな目的で公開するのかを重視します。作成時は事実に基づいた内容を、誰が見てもわかりやすいようにまとめることを心がけましょう。
また、セルフ型リサーチサービスのSurveroid(サーベロイド)でアンケートを実施すると、回収データを集計するのはもちろん、オプションとしてグラフ出力機能が付属しています。アンケート結果のまとめ作業をサポートするツールとしても使用いただけるかと思います。

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