因子分析を使って市場をセグメントする-目的ベースのデータ分析②

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報告書作成

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STP分析とは

STP分析とは、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの英単語の頭文字から名付けられた分析手法です。市場を細分化(Segmentation)し、狙う市場を決め(Targeting)、自社のポジションを確立(Positioning)するという一連の流れが一般的で、3つの指標で分析します。
今回の記事ではSTP分析の中でも、「市場の細分化(セグメンテーション)」に焦点を当てて解説します。マーケティングを展開する為には、製品戦略や価格戦略などマーケティング・ミックスを実施する前に踏んでおくべき段階がありますので、下記にそれぞれの詳細を記載致します。

セグメンテーション

自社が対応する顧客層を定める為に自社が挑もうとしている市場を、ニーズに応じて細分化することを「セグメンテーション」と言います。ある製品特徴を重視する顧客がいれば、他の製品特徴を重視する顧客も存在します。このようなニーズの違いから複数のグループに細分化することにより、ニーズ毎の規模を把握でき、市場の全体像が理解できます。

ターゲティング

自社がマーケティング努力を注力すべき顧客層を定めることを「ターゲティング」と言います。売り手発想で商品を開発したものの、その製品特徴を重視する顧客層がいない場合、顧客の頭の中に強力なポジションを築くことは難しくなります。そうならない為に、自社が注力する顧客層を見定め、その顧客ニーズにフィットした製品開発、価値の提供が重要となります。

ポジショニング

自社製品のイメージを、顧客の頭の中に刻み込むことを「ポジショニング」と言います。例えば、私があなたに「吸引力の変わらない掃除機は何ですか」と問いかけ、あなたが「ダイソン」と答えたのであれば、ダイソンはあなたの頭の中に独自のポジションを築いていることになります。激しい競争市場において顧客を獲得するには、顧客の頭の中に独自性のある強力なポジションを築かなければなりません。
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市場の細分化(セグメンテーション)

変数を決定する

細分化すべき、ということは理解できたが、具体的にどのようにやるのか?という問題が出てくると思います。細分化に用いる変数は地理的変数人口統計的変数(年齢、性別、所得、学歴、職業など)心理的変数行動上の変数の4つに分けられます。どの指標を使うかは調査目的次第ですが、今回は消費者視点で考えターゲットを設定するので、心理的変数で細分化します。

因子分析に用いるデータ形式に整える

因子分析とは、個々のデータの相関を説明できるような、共通の要因を見つけていく手法です。ある商品を買うときに考えられるポイントが30項目あったとします。この30項目を、どういう人がどのくらい重視しているのか、そのパターンを見出すことはとても大変です。そこで、因子分析を行うと、これら30項目をその背後にあるいくつかの共通の要因(=因子)に集約することができます。
今回はバイクに求める重視点に対して因子分析を行います。調査概要については前回記事を参照ください。
因子分析に用いるデータはすべて数量データでなければなりません。今回のデータタイプは5段階評価です。5段階評価のデータは数量データとして扱うことができます。
因子分析では、因子数の決定、分析に使用する変数の選択を試行錯誤しながら、因子を特定していきます。この過程で、因子の抽出、因子軸の回転という手法のオプションがあり、今回は細かい説明は省略しますが、最尤法、バリマックス回転を使用しました。

因子数の決定

変数間に共通する要因を固有ベクトルといい、この大きさを固有値といいます。固有値の大きい順にそのサイズの変化(「スクリープロット」)を見ながら、いくつの因子を抽出するかを決定します。
今回は、4つ目以降は固有値が小さく変化がないので、3つめまでで情報が集約されているとみて、因子数を3としました。
この結果は、バイクユーザーを俯瞰すると全体的に3つの潜在ニーズがあるということを示しています。
スクリープロット(平行分析)…図中PC Actual ...

スクリープロット(平行分析)…図中PC Actual Dataの線が固有値の大きさ

因子負荷量の計算

因子数が決まれば、因子の抽出、回転を行って、「因子負荷量」と呼ばれる、因子と変数の間の相関が計算されます。
因子ごとに因子負荷量(因子と各項目との相関)が高い質問項目を見て、各因子がどのような要素を表しているかを解釈して因子名を付けます。
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因子1:スペックへのこだわり
⇒「希少性」、「アフターパーツの数」、「冷却方式」、「適合タイヤの種類」、「タンク容量」、「エンジン機構」、「馬力」
因子2:実用性
⇒「操作性」、「安全性」、「メンテナンス性」、「堅牢性」
因子3:ルックス
⇒「見た目の好み」、「スタイル」

これでバイク市場の顧客の潜在ニーズを3つに集約して抽出できました。

まとめ

今回はバイクに求める重視点に対して因子分析を行い、3つの共通要因に集約しました。バイクに対するニーズを大きく3つに分けることで、市場の全体像理解が早まります。また、今回のように因子分析から得られたニーズを基に、次はクラスター分析でバイクユーザーを特性ごとに分類し、市場の細分化を進めていきます。調査目的に対して正しい分析手法を使いこなして、事業拡大や改善に役立てましょう。

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