マーケティングリサーチのやり方を徹底解説!初心者でも失敗しないステップと設計のコツ

10 2025.11

リサーチノウハウ

「マーケティングリサーチの正しい進め方が分からない」「調査設計のやり方を知りたい」という方へ。
本記事では、リサーチの目的設定から手法の選び方、アンケート設計、分析・活用まで、初心者でも失敗しない具体的ステップを徹底解説します。
実際に使えるポイントや費用相場も紹介するので、これ1本でマーケティングリサーチの基本がわかります。
マーケティングリサーチのやり方を徹底解説!初心者でも失敗しないステップと設計のコツ

マーケティングリサーチとは?目的を明確にする

マーケティングリサーチとは、企業が商品やサービスの開発、販売戦略の立案といったマーケティング活動に関する意思決定を行うために、データの収集・分析を行う一連のプロセスを指します。顧客や市場を正しく理解し、勘や経験だけに頼らない、客観的なデータに基づいた戦略を立てるための重要な活動です。
リサーチを行う前に最も重要なのは、「何のために調べるのか」という目的設定です。目的が曖昧なまま始めると、データは集まっても“答えが出ない調査”になってしまいます。

マーケティングリサーチの目的は多岐にわたりますが、主に「現状把握」「原因究明」「需要予測」「仮説検証」の4つに大別されます。
例えば、市場の規模や競合の状況を把握したり、売上不振の原因を探ったり、新商品がどの程度受け入れられるかを予測したりすることが可能です。リサーチを通じて得られた知見が、より精度の高い意思決定を支える基盤となります。

▼関連記事
・マーケティングリサーチとは?手法や手順を紹介

マーケティングリサーチの代表的な手法

マーケティングリサーチには様々な手法が存在しますが、大きく「定量調査」「定性調査」「デスクトップリサーチ」の3つに分類できます。それぞれの手法には得意なことと不得意なことがあり、調査の目的に応じて使い分けることが重要です。

                  
調査手法 概要 主な目的メリットデメリット
定量調査 数値データを収集・分析し、市場全体の傾向を把握する。 市場規模の把握、顧客満足度の測定、仮説の検証など。全体像を客観的な数値で示せる。統計的な分析が可能。個々の詳細な理由や背景までは分からない。
定性調査 言葉や行動から、個人の深層心理やインサイトを探る。 新商品のアイデア探索、顧客体験など。なぜそう思うのか、といった「理由」を深く掘り下げられる。回答者数が少ないため、市場全体の意見として一般化しにくい。
デスクトップリサーチ 官公庁の統計データや、調査会社が発表したレポート、新聞、雑誌、Webサイトなど公開されている情報(二次データ)を収集・分析する。 市場環境の把握、競合・トレンド調査、調査テーマ設定の前段階など。比較的低コストで迅速に市場の概観を把握できる。情報の鮮度や出所の信頼性に注意が必要。自社固有の課題には合わないこともある。

マーケティングリサーチのやり方!基本の6ステップ

マーケティングリサーチは、闇雲に始めても良い結果は得られません。成功のためには、正しい手順に沿って計画的に進めることが不可欠です。ここでは、リサーチの企画から活用までの基本的な6つのステップを解説します。以下の6ステップを押さえることで、目的に沿った精度の高いリサーチが実現できます。
マーケティングリサーチのやり方を徹底解説!初心者でも失敗しないステップと設計のコツ

ステップ1:課題と仮説を整理する

まず最初に行うのは、「課題の構造化」と「仮説の設定」です。
「何が分からないのか」を明確にしなければ、正しいリサーチテーマを立てることはできません。

● 課題を要素分解する
課題を「なぜ?」で分解し、複数の要因に分けていきます。
例:「新商品の売上が伸びない」
→ なぜ?

・認知が低い
・比較検討で負けている
・リピートが少ない

このように分けると、それぞれに別の調査が必要であることが見えてきます。
課題を分解することで「どんな情報を取るべきか」が明確になるのです。

● 仮説を立てる
要素分解の後は、仮説を立てて検証テーマを定義します。

例:
・「ターゲット層の認知率が30%未満である可能性がある」
・「再購入意向に満足度が影響している可能性がある」

これを文章化しておくことで、調査後の分析もスムーズになります。

ステップ2:調査設計を行う

設計フェーズでは、「誰に・何を・どう聞くか」を具体化します。
この段階を丁寧に行うほど、リサーチの精度が高まります。

① 調査目的から質問設計に落とし込む
目的:「新商品のターゲット層のニーズを把握したい」
 ↓
設計:「購買意欲を左右する要因(デザイン・価格・ブランド信頼)を測る質問を設定」

質問例:
・商品を選ぶ際に最も重視するポイントは?
・当ブランドを知っていますか?
・購入したいと思う理由/思わない理由は?

② 調査手法を選定する
・数値で傾向を把握したい → 定量調査(アンケート)
・意見や感情を深掘りしたい → 定性調査(インタビュー・座談会)

両者を組み合わせる「ハイブリッド調査」も効果的です。

③ サンプル設計を明確に
ターゲット条件(性別・年代・職業など)を設定し、回答者の偏りを防ぎます。

そして、定量調査(アンケート)を実施する際に重要なこととして、サンプル数を決めることは「どれくらい誤差が出てもよいと考えるか」を決める事です。
例えば「20代男性の調理率を調べたい」となった場合、日本全国の20代男性からアンケートを取る事は不可能に近い為、全国の20代男性を「母集団」とし、一部を「標本」として取り出し、この一部の方にアンケートを答えてもらいます。
当然推定なので誤差(標本誤差)が発生します。

・100サンプル
標本誤差を10%に抑えられる為、意味があるアンケートを実施したいのであれば最低100サンプルは必要と言われることが多いです。
また調査を行ううえで、費用とのバランスを加味して、100サンプルを選ばれることが多くあります。

・400サンプル
標本誤差5%に抑えられるため、より詳細な結果を求められる場合は400サンプルの回収をお薦め致します。
統計学では、標本誤差が5%以下だと有意水準であると考えられているので、アンケート結果を経営に関わるような重要な判断に用いる場合などは最低400サンプルに対して調査を実施すると効果的と言われています。

▼関連記事
アンケートの回収サンプル数の決め方について信頼できるデータ数は?

ステップ3:調査票の作成

調査計画に基づき、アンケートの質問項目やインタビューで聞く内容をまとめた「調査票」を作成します。質問の聞き方一つで回答の質は大きく変わるため、調査票の作成は非常に重要な工程です。回答者に意図が正しく伝わるか、回答しやすい言葉遣いになっているか、回答にバイアス(偏り)がかかるような聞き方になっていないかなど、細心の注意を払って作成します。

▼関連記事
アンケートの作り方|実施方法や回答率アップのコツも解説

ステップ4:実査(データ収集)

作成した調査票を用いて、実際にデータを収集します。Webアンケートを実施したり、インタビューを行ったりする段階です。アンケートツールを使うことでスピーディかつ低コストで調査を進められます。
このステップにおいては、計画通りに対象者からデータを集めることが目標となります。
対象者の回答に真摯に耳を傾け、丁寧なコミュニケーションを心がけることが、質の高いデータを収集する上で重要です。

ステップ5:データの集計・分析

収集したデータを整理し、分析を行います。定量調査の場合は、回答データをグラフ化して全体的な傾向を掴んだり、回答者の属性(年代、性別など)ごとに数値を比較したりする「クロス集計」といった手法を用います。

単なる数字の比較ではなく、「なぜその傾向が出たのか」を読み解くことがポイントです。

例:
・「20代女性はデザイン重視」→ ブランドイメージとの関連を再確認
・「30代男性は価格重視」→ 販促訴求を見直す

定性調査の場合は、発言内容をテキスト化し、共通する意見や特徴的なキーワードを抽出して、背景にあるインサイトを読み解いていきます。

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データ理解のための分析手法とは?実際のアンケートデータを用いて分析の流れを紹介-目的ベースのデータ分析①

ステップ6:レポーティングと施策への活用

分析結果を報告書(レポート)としてまとめ、関係者に共有します。レポート作成で重要なのは、単なるデータの羅列で終わらせないことです。分析結果から何が言えるのかという「考察」と、結果を踏まえて次に何をすべきかという「提言」までを盛り込む必要があります。提言に基づいて具体的なマーケティング施策を立案・実行し、ビジネス上の意思決定に繋げていくことが、マーケティングリサーチの最終的なゴールです。結果を施策に反映し、再度リサーチで効果を検証する――このサイクルを継続することで、データドリブンな意思決定が可能となります。
マーケティングリサーチのやり方を徹底解説!初心者でも失敗しないステップと設計のコツ

マーケティングリサーチの費用相場

マーケティングリサーチにかかる費用は、調査の手法や規模、そして自社で行うか外部に委託するかによって大きく変動します。ここでは、それぞれのケースでの費用感について解説します。

調査会社に依頼する場合

専門の調査会社に依頼する場合、企画設計からレポーティングまで一貫して任せることができます。Webアンケートであれば10万円からグループインタビューであれば30万円以上が一般的な相場とされています。費用はかかりますが、専門的なノウハウに基づいた質の高い調査が期待でき、自社のリソースを割かずに済む点がメリットです。

自社で行う場合(インハウス)

近年では、安価なセルフ型アンケートツールなども普及しており、自社で調査を行うハードルは下がっています。ツール利用料や回答者への謝礼といった実費のみで済むため、1万円からと、外部に委託するよりも費用を大幅に抑えられます。

▼関連記事
ネット調査の費用相場はいくら?料金体系や安く抑えるコツを解説

まとめ

マーケティングリサーチは、顧客と市場を深く理解し、ビジネスを成功に導くための羅針盤です。そのやり方は、単なる実施手順ではなく、「設計→収集→分析→活用」の一連の流れです。特に、課題分解と仮説設定のプロセスを丁寧に行うことで、得られるデータの価値は何倍にも高まります。まずは小さな調査から始めて、PDCAを回していきましょう。この記事を参考に、ぜひマーケティングリサーチの第一歩を踏み出してください。

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