アンケートとは?定義や目的、種類、質を高める方法を解説

29 2024.08

リサーチノウハウ

アンケートはマーケティング課題の発見などに役立つものではありますが、実施する上でその目的を明確にし、しっかりと作成をしなければ効果的な戦略立案などの目的を達成することはできません。当記事では効果的な回答を得るためのアンケートの実施手順や方法、作成方法まで具体的に解説していきます。
アンケートとは?種類や作成方法を解説

アンケートとは

アンケートとはフランス語の「enquete」を由来としており、一般的には複数の人に同じ質問を行うという“定量調査”で行われる手法の1つと言えます。

アンケートの目的

一般的にアンケートが行われる際、何かの改善策を模索したり、疑問に対して結論付けたいといったような要望を抱えていることがほとんどかと思われます。しかし漠然と何かが見つかればいいなという姿勢で臨んでしまうと、アンケートの結果をどのように分析し、結論付けたら良いのかという具体的なアクションに悩むといったことが起きてしまいます。
そのような事態を防ぐためには、アンケートを実施する目的を最初から明確にしておくことが重要です。

アンケートに回答義務はある?

アンケートは、回答者側に必ず答えなければならない義務はありません。あくまでも主催者側がお願いして答えてもらうスタンスであるため、回答者が自由に選択できる「任意回答」とすることが望ましいといえます。また任意回答にすると、回答率や回収率の向上も期待できます。
ただし病院の問診票や美容院・エステなどのアレルギーチェックといったアンケートは、答えてもらわないと事故につながりかねないため「必須回答」とすべきでしょう。また国の重要な調査も、結果を政策決定や経営計画を行うための基礎資料として利活用するため、必須回答が統計法で義務づけられています。
アンケートで必須回答とする場合は無理強いをするような表現ではなく、ていねいな依頼を心がけましょう。

アンケートと市場調査の違いとは?

アンケートと市場調査は何が違うのか把握しておく必要があります。まず市場調査は数値やデータにより、マーケットの現状を把握するのが目的です。購入希望の値段などをチェックして、商品・サービスの適正価格などを決定する際に利用します。

一方、アンケートは調査対象の意見や行動を確認するため、特定の期間内に質問して回答を求め、データを集めます。アンケートの結果により商品開発や企画の進行に関するデータなどに活用するケースもあります。

アンケートの種類

アンケートの主な種類

マーケティングでのリサーチは大きく「定量調査」と「定性調査」の2種類に分けることが出来ます。その中でアンケートは定量調査で使用されることが多く、またそのアンケートも調査目的によって様々な手法に分かれています。
ここでは調査目的に応じた調査の種類を解説していきます。

定量調査

定量調査とは一定数のモニターに対して同じ設問を問いかけることで、数値での調査結果を算出し、分析する調査のことを指します。分析結果はGT表やクロス集計表で集計され、グラフやパーセンテージを記載した表で俯瞰的に分析を行うことが出来ます。

WEB調査

インターネットリサーチサービスなどを活用してWEB上でアンケートを配信するサービスとなります。回答者にはアンケート画面をメールで送信され、画面上での回答が行われるため回答がしやすく、且つ回答の回収までのスピードが早いことが特徴と言えるでしょう。

会場調査

イベント会場や店舗などに回答者を集めて行う調査となります。実際の商品を体験、試用をしてもらい、その感想をアンケートにより収集するなどの調査が可能となります。

訪問面接調査

訪問面接調査とは調査員が回答者を直接訪問し、その場で調査票への記入を行うものとなります。調査員との対話が発生する調査になるので正確な回答を得られやすいというメリットがありますが、スケジュールが長期化や、費用が比較的高額であることなどから、近年ではWEB調査に代わられている調査となります。

訪問留置調査

調査員が回答者を訪問して調査する方法には、訪問留置調査もあります。留置法では、調査員が調査の目的や内容を説明して調査票を渡し、後日再訪問して調査票を回収します。回答者は時間をかけて答えることができるのが特徴で、人前で回答しにくい調査などに適しています。

電話調査

電話調査とは、調査対象者に電話をかけて回答を回収する手法です。質問に対する回答をその場で回収でき、コストを抑えて実施できるメリットがあります。一方対象者に負担をかけないために質問量が限られてしまいます。最近は固定電話番号の電話帳不掲載の世帯が増え、携帯電話では登録番号以外の着信を拒否する人も多いため、ターゲット抽出や回収が難しい傾向にあります。

郵送調査

郵送調査とは、調査対象者の自宅や職場等へアンケート用紙を送付して、回答後に用紙を返送してもらう方法です。比較的手軽に実施でき、広いエリアの対象者に効率的に調査できます。ただし送付から返送まで時間がかかり、回収率を予想しづらい特徴があります。

定性調査

定性調査とは定量調査とは異なり、数値では表せない生活者の声などの質的情報を収集するための調査となります。定性調査は主にインタビューやグループディスカッションなどの対面式の調査で行われることが多く、例えば定量調査の結果をより深堀りしたい際などに実施されることがあります。

グループインタビュー

グループインタビューとは、モデレーターと呼ばれる司会進行役が6名程度の調査対象者を相手に様々な質問を行い、自由な回答を得ることで質的な情報を収集していく調査となります。

パーソナルインタビュー

パーソナルインタビューとはグループインタビューとは対照的に個人に対してインタビュワーが回答者に質問する形で行う調査となります。回答者のより深堀りされた意見や深層心理を引き出すことが出来るものとなります。

行動観察調査

行動観察調査とは、調査対象者の生活や購買時行動などを観察することで、言葉だけでは得られないインサイトや深層心理を探る手法です。行動の結果だけではなくその過程や価値観などといった定性的な事実を収集でき、思いがけない発見や新たな気づきを得やすいのが特徴です。

覆面調査

覆面調査とは、調査員が一般客に扮して対象店舗の接客レベルや衛生面、品揃えといった実態を調査する手法です。通常は調査対象店舗に知らせずに行い、一般客目線で評価した店舗のリアルな状況を把握できるため、課題解決や改善策に役立ちます。

アンケートの2つの質問形式

アンケートには主に次の2つの質問形式があります。
①選択形式
②自由記入形式
それぞれ使い方がまったく異なる質問形式です。こちらでは2つの質問形式がそれぞれどんな特徴があるのかについてわかりやすくご紹介します。ちなみにアンケートの質問形式とは、回答者からの必要な情報を収集するためにつくられたフォーマットのことです。

選択形式

選択形式とは、選択肢の中から回答を選ぶ質問形式のことです。回答数は1つ、または複数選ぶことができます。主な特徴は、回答者が直感的に選ぶことができることから回答者のストレスが少なく、集計や分析が容易にできることです。

自由記入形式

自由記入形式とは、回答者が自由に回答できる質問形式のことです。回答の方法はテキストや数値で記載されます。主な特徴は回答者の思考や感情など、数値化できない意見や深層心理を知りたい時におすすめです。ただし回答に対する評価が難しく、集計や分析の難易度が高くなります。
アンケートの特徴

質の低いアンケートの特徴とは?

アンケート調査をするときには質が重要になります。
以下のような特徴がある場合は質が低くなるため注意すべきです。
・設問が抽象的である
・調査が足りずに質問提起している
・漏れや質問の重複が多い


アンケート調査では、回答者に聞きたい本質的な内容を記載することが重要です。しかし、設問が明確ではなく曖昧な答え方しかできないようであれば、明確なデータを取得できません。例えば、「自社商品についてどう思いますか?」という質問は、何を聞きたいのか分からないので、ユーザー側も困ってしまうでしょう。

また、調査が足りない質問の場合は、ユーザーが正確に回答しても、内容自体に間違いが生じているケースになります。そのため、アンケートとして根本的に活かすことができません。漏れや質問の重複が多い場合は、大事な点が抜けているケースがあるので、アンケートのデータとして不十分な出来になります。

50個以上の質問があったとしても重複が多いなら、得られるデータは少なく、正確にユーザーが回答していても再度アンケートをしなくてはいけません。アンケートは内容が不十分だとデータが役に立たず、再度準備し直すなど時間と手間がかかるのでポイントを押さえて作成すべきです。

質の高いアンケートの特徴とは?

アンケート調査をする際に質にこだわることが成功へのポイントになります。質の高いアンケートには以下のような特徴です。
・選択肢がMECEである
・数値化して分析ができる
・的確にリサーチしてアンケートを作成している


質の高いアンケートは、選択肢がMECEであることが挙げられます。
「MECE」とは、「Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive」の略で、「モレなく、ダブリなく」という意味があります。選択肢にモレがある場合、データに偏りが生じるため正しいデータとは言えません。また、回答者の立場になると自分が選択したい選択肢がないため、離脱者も出てくるでしょう。
ダブりがある場合も同様に、回答が分散してしまい傾向を見るのが難しくなるため、より正しいデータを取るためにもMECEを意識することが重要です。
MECEとは
MECEな設問の例
また、数値化して分析できるような質問にしておくのも、後にデータを可視化できるので質が高いと言えます。例えば「自社商品を何個購入した経験がありますか?」と質問し、回答をいくつか準備していると、統計を取れるためグラフ化して分析が可能です。
数値化して分析ができる設問の例
数値化する際は的確な質問を行えるように回答も準備しておくのがポイントです。また、アンケートの内容を作成する前にリサーチしておくなら、具体的に質問を考えやすく、内容も分析に使用しやすくなるため目的を達成しやすくなります。質の高いアンケート作成のために3つのポイントを押さえてください。
アンケートと市場調査の違いとは?

質問作成時の3つのポイント

アンケートを作成する際は、その目的にも合わせて作成することも重要なポイントとなります。主なポイントを解説していきます。

属性質問

アンケートを実施する際には回答者の属性をハッキリさせることも重要と考えられています。基本的な属性は性別・年齢・居住地・未既婚・子供の有無・職業・職種と言われており、それぞれの属性ごとで意見が異なってくると言われています。
特定の属性に向けたアンケートではない場合、それぞれの属性によっての傾向を判別させるためにも、これらをヒヤリングする設問を入れておくことは重要なポイントとなってきます。

わかりやすい質問にする

設問文は回答者に対して分かりやすい文章でなければなりません。回答者毎に設問文の理解度が異なってくると、その理解度によって回答にムラが起きてしまい有効な回答を得ることが出来なくなってしまいます。ですので、設問文はより簡素に誰でも理解が出来る文章にするようにしましょう。
また、よく陥りやすい失敗として「ダブルバーレル」があります。ダブルバーレルとは一つの設問文の中に2重の意味が含まれてしまう現象のことです。これも回答者の理解によって回答にムラが出てしまうので注意が必要です。

質問の順番を意識する

設問の順番を意識することも重要なポイントとなります。最も良いとされている設問の順番は時系列を整えるということになります。時系列が整えられていない場合、回答者への負担が大きくなり、途中での離脱や、その後の回答に不正回答が多くなるなどの障害が起きる可能性が高くなります。これらのことを避けるためにも時系列を整えて設問を作成することが重要となってきます。

アンケートの作成方法

アンケートを作成する前に、なぜアンケートを実施するのか目的を明確にし、取った結果をどう使うまでを決める必要があります。「調査企画」の部分で、リサーチの成功可否が90%決まるとも言われているため非常に重要なポイントとなります。
アンケートの作成方法については、以下の記事でも詳しく解説していますので参考にしてください。
アンケート調査とは?種類や進め方、活用事例をわかりやすくを紹介

STEP1:調査の目的を明確にする

STEP2:調査の対象を決める

STEP3:アンケートの集計期間、方法を決める

STEP4:アンケートの設問を作成する

STEP5:アンケートを作成する


得られたデータの分析とまとめ方について

アンケート調査によるデータの分析とまとめ方について

ここからは、アンケート調査で得られたデータの分析方法やまとめ方で注意しておきたいポイントを解説します。

全体から細部への流れを意識する

データを集計して分析する際には、まずは単純集計を活用して、データ全体のおおまかな傾向を捉えておきましょう。その後にクロス集計などを使って、カテゴリーや属性ごとの傾向を把握します。
全体像から先にとらえておくと細部に惑わされることなく、正しい分析が可能となります。自由回答も同様に、大きなくくりから見ていきましょう。

有意性を意識する

アンケート調査の分析では、データの「有意性」も意識しましょう。
有意性とは、統計的に正しく信頼できるデータであるということです。有意性を検証するには、回答数と回答者が調査対象者全体の結果を偏りなく正確に反映できているかといった、代表性を確認します。回答数が少なすぎると1つの意見で結果が大きく変わるため、有意性があるとは言えません。また回答者の構成に偏りがある場合も、客観的なデータになりません。データの有意性を確保するには、代表性を認められるデータを集めることができる調査方法を検討しましょう。
アンケートの実施形式

アンケートの実施形式

アンケートには主に次の2つの実施形式があります。
①用紙を使用したアンケート
②Webを使用したアンケート
アンケートの選び方は回答者の環境に合わせたアンケートを選ぶことです。こちらでは2つの実施形式がそれぞれどんな特徴があるのかについてわかりやすくご紹介いたします。

オフラインでのアンケート(紙媒体)

用紙を使用したアンケートとは、専用のアンケート用紙に回答を記入するタイプのアンケートの実施形式のことです。やり方は対面・郵送・スタッフの回収のいずれかで行われます。主な特徴は、スマホ・パソコン・タブレットなどデジタルデバイスを使った回答ができない方を対象にした場合におすすめであることです。

オンラインでのアンケート(Web)

Webを使用したアンケートとは、オンライン上で行うタイプのアンケートの実施形式のことです。主な特徴は、日本全国など広い範囲、さまざまな階層でのアンケートができることです。ただしデジタルデバイスやインターネットがない環境ではアンケートができません。そのためデジタルパーソンの意見であることは念頭に置いておきましょう。

まとめ

アンケートには様々な種類と作成方法、ポイントがあります。これらを意識して有効な回答が得られるアンケート作成を行うようにしてください。
本記事の運営会社はネットリサーチツール「Surveroid(サーベロイド)」もご提供しています。
サーベロイドはWeb上でアンケート作成から集計までをセルフで行えるため、調査費用が抑えられる、業務の負担が減るというメリットがあります。
リサーチをしようと思っている方はぜひ一度サービス内容をご確認いただければと思います。

サーベロイドサーベロイドでリサーチをはじめませんか?

101 件

Related Contents

Ranking

  1. アンケート結果の集計方法からExcelでのグラフの作り方、効果的な分析方法を紹介
  2. t検定とは?やり方、分析から分かることを解説
  3. 加重平均とは?算術平均との違いや使い分け方を解説
  4. マトリックス表とは何か分かりやすく解説!意味、種類、作り方などを紹介
  5. クロス集計(クロス分析)とは?わかることやメリット・デメリット、見方を解説

Popular Posts

  1. アンケートとは?定義や目的、種類、質を高める方法を解説
  2. アンケート調査とは?種類や進め方、活用事例をわかりやすくを紹介
  3. 【検証】アンケートを適当に回答する人の割合ってどのくらい?
  4. 条件分岐機能でアンケートの回答率を上げる方法とは?
  5. サンプリングとは? リサーチにおける対象者抽出の重要性について解説