アンケートにおける自由記述って何のこと?【用語解説】

08 2023.11

マーケティングリサーチ用語集



自由記述(FA)とは?

自由記述とは、フリーアンサー(FA)やオープンアンサー(OA)とも呼ばれ、アンケート内の設問に対して選択肢を用意せず自由な回答を促す回答形式のことを言います。
一般的には前問での回答内容の理由など、文章で回答をして欲しいときに使用されます。
一般的な自由記述の例

一般的な自由記述の例

自由記述形式のメリット

新たな気づきを得ることができる

自由記述は回答者に文字や数字を自由に記入してもらうため、内容によってはアンケート実施者が予想もしていなかった回答が返ってくることがあります。
仮説を検証するために実施されるアンケートに関しては、作成者が立てた仮説を以て選択肢を用意するため、作成者の予想の答え合わせしかできません。そこに自由記述形式の設問を用意すると予想していなかった答えを得ることが出来る可能性があり、課題や新たな視点の発見に繫がります。

自由記述形式のデメリット

選択肢形式より回答者負担が高まる

自由記述回答は選択肢形式より回答負担が大きくなります。
アンケート内に自由記述回答の質問が多いと、途中でアンケートの回答を放棄されたりてきとうな回答をされたりする可能性があります。アンケート作成の際は回答者の負担を考慮し、目的に応じて自由記述形式の個数の調整や任意回答とするなどしましょう。

データ集計に手間がかかる

アンケート結果はデータ化しグラフなどに落とし込み、意思決定に役立つ情報にする必要があります。選択肢形式の質問は回答結果の数値化が容易ですが、自由に記述した回答の集計は単純に数値化するのが難しいです。
数値化するためには1つ1つ回答結果を確認し、回答内容をカテゴライズするなどアフターコーディングが必要になります。
回答結果の要点をまとめて報告するなどする必要があるため、選択肢の集計をする場合と比べて時間や手間がかかります。
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自由記述形式の活用シーン

理由「なぜ」を聞くとき

例えば、新しく開発を予定している商品Aについて事前に消費者にとってニーズがあるのか把握するために受容性調査を実施することにします。
受容性調査では、商品Aの購入意向を5段階評価などで聞くことはマストになりますが、併せて「なぜ買いたいor買いたくない」のかまでも把握します。そうすることで開発したい商品のコンセプトがしっかり伝わっているのか、どこに魅力を感じているのか、予想と反した回答などを得ることができ、開発を進める際の重要な情報になります。

状況「どのように」を聞くとき

ある商品の実態把握をするために商品Aを利用している人に対してアンケートを実施する場合、どのように使っているのか、どんな時に利用するのかなどを聴取する場面があります。
発売当初は20代女性をターゲットに販売していた商品が、男性の若年層では異なる使われ方をしていて別のニーズがあることが判明するなど、アンケート結果からは思わぬ示唆を得ることがあります。新たな発見は別確度からの売り方をしてみるなど、ビジネス領域を広げていくことに繫がります。

不満や意見を聞くとき

商品やサービスの評価をしてもらうためにお客様満足度調査などを実施している企業は多いかと思います。
不満点や意見などは、具体的な回答が集まりやすく顧客の声からの問題点を把握し、具体的な施策に落とし込むというサイクルを継続的に行うことがビジネス成功への近道になるでしょう。

自由記述形式の集計方法

数値データを定量化

数字でデータを取得した場合、下記の数値データを確認します。
平均値:複数のデータを全て足し上げた後、そのデータの個数で割った際に得られる数値
中央値:複数のデータを小さい順番で並べた時に中央に位置する数値
標準偏差:平均からのバラツキを表す数値
最小値:全データの中で最も小さい数値
最大値:全データの中で最も大きい数値

アフターコーディング

自由記述で得た回答データを選択肢に変換することをアフターコーディングと言います。
自由記述(テキストデータ)のうち内容が類似している回答をカテゴリーに分類し、選択肢化していくことで定性的なデータを定量的なデータに変換します。
例えば、ある食品を購入した理由について自由記述形式で回答してもらった場合、「価格」「味」「クオリティ」といった内容でざっくりカテゴライズしていくといった要領です。
自由記述を一つ一つ確認する必要があるため大変な作業になりますが、データがより見やすくなることに加え、一度カテゴリー分けしておくと2回目以降の調査時に選択肢として活用することもできます。

テキストマイニング

テキストマイニングとは自由記述の回答内容を単語や文節ごとに区切り、各単語の出現頻度や傾向、相関関係などを分析する手法のことです。定量的なデータのみでは把握することができなかった商品に対してどんな意見が多いのか、潜在的なニーズは何かなどの有用な情報を視覚的にわかりやすく取り出すことができます。

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