顧客満足度の精度を上げる調査方法とは?5段階評価を中心に解説。

05 2024.09

アンケート活用事例

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顧客満足度調査で一般的な5段階評価

顧客満足度調査とは、自社の商品やサービスを利用した顧客に対して、満足度やリピート意向、意見等を聴取し、課題解決に役立たせる調査です。
その際に指標となる顧客満足を測る方法として、「評定尺度法」があります。
満足やや満足どちらともいえないやや不満不満」のような5段階に分けた選択肢を準備して最も当てはまるものを選んで評価をしてもらいます。それぞれに1から5までの点数を割り当て、平均値を求め、顧客満足度の指標に利用するというのが一般的な方法です。

また、調査においては、データの正確性」「回答者の負担を考慮する必要があります。
対象者が小学生のときには、2~3段階評価を使う方が良いと判断する場合もあれば、精巧なデータが必要な調査を実施する場合は、5~7段階評価にして、重要な質問項目のみ選択肢を増やす(それ以外の項目は2択にとどめる)などの使い分けも必要です。
段階について、絶対にこうした方がいいという正解がないため、調査対象や明らかにしたいことに応じて決めましょう。

5段階評価で調査をするメリット

回答者から見たメリットは、「どちらともいえない」のような中立的な選択肢があることです。
回答者によっては質問に対して中立的な立場の場合があります。そういったときにポジティブorネガティブどちらかの選択肢を選ばないといけない状況は、負担に繋がります。中立の選択肢があると、回答者側の心理的負担を軽減する効果が期待できるため、回答者考慮をする場合は5段階評価にするのが望ましいでしょう。

また、集計をするときのメリットとしては、分析をする際に平均値が出しやすいという点があります。4段階のようなどちらかに振り切ったデータより、正確な平均値を求めることができるため、満足度やサービスの向上に反映しやすいと考えられます。

5段階評価で調査をするデメリット

5段階評価にすると、中立的な選択肢に回答が集中しやすい傾向があり、調査結果を元に改善点を発見しにくいといったデメリットがあります。特に日本人は極端なものを避ける傾向にあり、心理的なハードルが影響して中立的な評価をすることが多いです。
また、「どちらともいえない」を選ぶ人の中でも中立的な立場である他に、質問内容に対して「よくわからない、どうでもいい」という基準で選ぶ場合もあり、選択した意図が人それぞれであるため、回答結果に歪みをもたらしてしまう可能性があります。
正確なデータを集めるためのコツを紹介!


5段階評価で調査を行うコツ

ここでは、満足度調査を実施する際のコツとして、「満足」のレベルを細分化する方法と効果を解説します。

前述の通り、満足度調査では選択肢の真ん中に中立的な選択肢がある5段階評価を用いた方法がよく使われており、このうち「満足」と「やや満足」のトップ2ボックスを「満足」を示す数値として扱うことが一般的です。
しかし、日本人は極端な選択肢を選ぶのを避けるため、「ふつう、どちらともいえない」のような中立的な選択肢に回答が集中してしまい、思った結果が得られない場合があります。このような場合、満足度を高めるには、中立的な回答をした人が「やや満足」してくれそうなことを探します。
さらに「やや満足」してくれた人が「満足」すれば、その商品やサービスに対するロイヤリティが上がっていくでしょう。

また、いざ満足度調査を実施して、分析をするときに迷ってしまうこととして以下があります。
「トップ2ボックス(満足側)とボトム2ボックス(不満側)のどちらの数値を優先して改善項目を決めよう…?」

このような場合は、トップとボトム、それぞれの合計割合を見ます。
今まで顧客満足度を意識した施策をしてこず、不満側の割合が高くなった場合は、不満項目の改善を優先した方が良いでしょう。反対に、満足度調査を実施し、改善をするというPDCAを既に回している場合は、不満側の割合が低くなる場合がほとんどかと思いますので、満足度(トップ2ボックス)に焦点を当てた施策を考えた方が良いでしょう。
後者の場合、「やや不満」「不満」を一つにまとめて、その分を満足のレベルを細分化してみましょう。
具体的な選択肢は以下です。
----------
非常に満足
満足
やや満足
ふつう
不満

----------
「不満」票を1つにまとめることで、5段階でも満足のレベルを細分化することができるので、ロイヤリティに繋がる高い満足度を実現するために何が必要か、より焦点を絞って考えることができるでしょう。
また、その他のアンケート作成の方法や注意点を過去の記事で紹介していますので、併せてご覧ください。

アンケート作成のポイントがわかる!


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顧客満足度調査におけるその他の評価指標

顧客満足度を調査するにあたって、5段階評価を行うことが一般的ですが、それ以外にもいくつかの方法がありますので、ここでは3つの指標を紹介していきます。

NPS®(Net Promoter Score)

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NPS®とは「Net Promoter Score(ネットプロモータースコア)」の略で、顧客ロイヤルティを測る指標です。
企業や商品に対してどれくらいの信頼があるかを数値化し、推奨度を確認することができます。
アンケート内での測り方としては、以下のような設問を用意し、0~10の11段階で評価してもらいます。

設問例
「この商品について友人や家族に薦める可能性はどのくらいありますか。
『0点(全く薦めたくない)~10点(非常に薦めたい)』の中からお選びください。」

データ回収後は、11段階中、【9~10点…「推奨」】【7~8点…「中立」】【0~6点…「批判」】の3グループに分け、回答者全体に占める「推奨」者の割合から、「批判」者の割合を引くことで、NPS®の値が算出できます。
例えば、「推奨」が全体の18%、「批判」が全体の35%を占めていた場合、NPS®は「-17」となります。

商品やサービスの利用者が他者にオススメをするということは、満足度だけでは測れない、リピート意向やロイヤリティを確認することができるので、最近はアンケートに盛り込む企業が増えています。
Net Promoter®およびNPS®、Predictive NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の登録商標です。

CES(Customer Effort Score)

CESとは「Customer Effort Score(カスタマーエフォートスコア)」の略で、直訳は「顧客努力指標」です。
要約すると、顧客がサービスを利用するときに、どのくらい努力が必要だったのかを表す指標です。
利用時に努力が必要ということは、使いづらさ、ストレスを感じさせているということになります。CESのスコアが高いほど努力なしでサービスを利用してもらえているということを表します。
サービスを利用するときに手間がかかる、使いづらいといったネガティブな要素は次第に離反に繋がるため、既存顧客を維持できる割合としても相関が高いと言われています。

測り方としては、以下のような設問に対し、7段階で評価をしてもらいます。
設問例
「あなたはこのサービスを使うときに、どの程度の努力をしましたか。」
『1点(とても努力した)~7点(全く努力していない)』の中からお選びください。」

データ回収後は、トップ2からボトム3の割合を引くことで、CESを算出します。
最高は100、最低は-100となり、数値が0やマイナスになった場合は顧客にストレスを与えている可能性が高いです。
使いやすいサービスを提供できると、顧客満足度が上がりシェアも増えることに繋がりますので、顧客に寄り添った商品やサービスを創りましょう。
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NPS®とCESについては、過去の記事でも詳しく紹介しているためぜひご覧ください。

JCSI(Japanese Customer Satisfaction Index)

JCSIとは「Japanese Customer Satisfaction Index(ジャパニーズカスタマーサティスファクションインデックス)」の略で、日本独自に開発された生産性を測る指標です。毎年経済産業省や学識研究者を中心に、調査対象企業の顧客満足度調査を行ってランキングを発表しているので、業種・業態に関わらず他社との比較が多面的にできます。

質問項目は以下の6つです。
顧客満足」…利用して感じた満足度
顧客期待」…サービス利用前の期待度
知覚価値」…価格の妥当性
知覚品質」…商品に対する主観的な評価
推奨意向」…他人に薦めたいか
ロイヤルティ」…今後の利用意向

6つにそれぞれ、3,4つの質問を準備し、10段階評価を用いて(※)100点満点で指数化します。
10点(もしくは7点)満点の複数設問に対し、「全ての項目に満点」の場合に100点、「全ての項目に1点」の場合に0点となります。
※「ロイヤリティ」のみ7段階評価

実際に顧客が感じた価値(P)-事前の期待値(E)=JCSI
結果がP>Eであれば、期待値以上の価値を提供されているため、満足感をもたらしていると言えるでしょう。

顧客満足度のアンケートに使える調査票テンプレート

顧客満足度をする際のテンプレートをご紹介します。
顧客満足度を上げ、売上につなげるために有効な調査をし、課題解決に役立てましょう。

属性情報(性別・年代・居住地など)を聴取しておくと、ニーズ把握やターゲッティングに利用することができます。
また、他にも分析して確認したい項目があれば設問内に盛り込むことをお勧めします。

Q1 弊社の商品、サービスに関して満足度を教えて下さい。

Q2 前問で答えた理由について、具体的に教えて下さい。

Q3 あなたは弊社の商品、サービスを家族や友人に勧めたいと思いますか。

Q4 弊社の商品、サービスに関して今後も利用したいですか。

Q5 前問で答えた理由について、具体的に教えて下さい。

Q6 商品に対するご意見・ご要望がありましたら、お知らせください。

まとめ

今回は顧客満足度調査についていくつかの指標をご紹介しました。5段階評価が一般的な手法として用いられていますが、他にもいくつかの方法があります。「データの正確性」や「回答者の負担」を考慮して、目的に合わせた適切な設問内容・設問数・選択肢でリサーチをしましょう。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

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