コンセプト受容性調査の実施方法とは?種類やメリット、事例を詳しく解説

25 2024.10

アンケート活用事例

新商品開発やブランドリニュアルなどの際に、消費者や市場に受け入れられるかを確認するのがコンセプト受容性調査です。テストしたい商材の受容度やターゲットプロフィール、競争優位性などがわかるため、ローンチ時に失敗するリスクを軽減できるメリットがあります。

本記事では、コンセプト受容性調査でわかることや実査の手順、調査期間や費用相場などを解説します。
コンセプト受容性調査とは?

コンセプト受容性調査とは?

コンセプトとは商品やサービスの提供者がユーザーに感じて欲しい価値やベネフィットを言語化したもので、商品やサービスの開発やリニュアル、マーケティング施策を決める上で重要な指針となる概念です。また受容性調査とは、商品・サービスのコンセプトや価格などを生活者に検証する調査のことで、コンセプト受容性調査や価格受容性調査、ネーミング受容性調査、広告受容性調査などがあります。

コンセプト受容性調査は、商品やサービスのコンセプトがどのくらい消費者に受け入れられるかといった受容度合を調べる調査です。たとえば新商品開発時にコンセプト受容性調査を行えば、消費者のニーズに合っているか、新しさを感じてもらえるか、高い関心を持たれるか、最も魅力に感じる要素、強化・改善すべき点は何かなどを明確にできます。消費者の反応や意見を事前に確認できるため、ローンチする前に失敗する確率を下げるリスク回避になります。
セルフ型アンケートツールを使ったコンセプト調査事例を確認する

コンセプト受容性調査でわかること

コンセプト受容性調査では以下のような消費者によるコンセプト評価や、ターゲットとなる層のプロフィール、競合との比較による優位性などを把握できます。
コンセプト受容性調査でわかること
  • コンセプトの評価(新規性・共感度・魅力・信頼度・購入意向 など)
  • メインターゲットなるユーザープロフィール
  • 複数のコンセプトの中で最も評価が高いもの
  • 競合との比較における評価 など

価格受容性調査との違い

コンセプト受容性調査と同様の受容性調査に、価格受容性調査があります。コンセプト受容性調査が商品・サービスの「コンセプト」が消費者に受容されるかの調査であるのに対し、価格受容調査は商品・サービスの「価格」が受け入れられるかを調べる調査です。
「新商品開発時の複数あるコンセプトの中で、どのコンセプトの受容度が最も高いか」を調べるのがコンセプト受容性調査で、「新商品開発時にどのくらいの価格なら消費者が購入してくれるのか」を調べるのが価格受容性調査です。
価格受容性調査は、商品先行のプロダクトアウトではなく顧客先行のマーケットインの視点で価格を設定する際に活用できます。

価格調査については、以下の記事でも詳しく説明していますので参考にしてください。
価格調査とは?調査方法とPSM分析・CVM分析について解説

コンセプト受容性調査のメリットとは

コンセプト受容性調査を行うと、ローンチ前の製品やサービスの失敗リスクを低減できるほか、社内議論をスムーズにできるといったメリットを得られます。以下で詳しく解説します。

失敗する確率を下げる

コンセプト受容性調査は、新しい製品やサービスのアイディアが市場で受け入れられるかどうかを事前に評価するための重要な手段です。この調査を実施することで、消費者ニーズや期待に対するアイディアの適合性を確認できます。
コンセプト受容性調査でターゲットに対してアンケートやインタビューを行い、新製品・サービスに対する反応や意見を収集すれば、強みや弱点、改善点を明確に把握できます。このフィードバックをもとにアイディアを改良・修正することで、実際に市場に投入された際の失敗リスクを大幅に低減できるでしょう。
また事前に消費者の反応を確認することで、マーケティング戦略や販売計画をより精度の高いものに仕上げられます。
コンセプト受容性調査は、企業がリソースを効率的に活用し、成功の確率を高めるための重要なステップといえるでしょう。

社内議論をスムーズに進めるツールになる

コンセプト受容性調査は、社内のコミュニケーションを円滑にし、プロジェクトの成功に向けた基盤を強化するための重要なツールとなります。
新しいアイディアやプロジェクトを進める際には関係者間で意見が分かれたり、不確実性が原因で議論が停滞することが多くあります。ここに調査によって得られた具体的なデータや消費者のフィードバックがあれば、客観的な根拠・エビデンスとして利用できるため、議論をスムーズに進める助けとなります。
例えば、コンセプト受容性調査により消費者ニーズや市場のトレンドに基づいたデータを共有できれば、プロジェクトの方向性や優先順位に関する共通理解を得ることができます。またデータに基づいた議論は感情的な対立を避け、建設的な意見交換を促します。さらに調査結果をもとに具体的なアクションプランや改善策を策定することで、プロジェクトの進行がスムーズになるでしょう。
こうしたプロセスにより関係者全員が納得のいく形で意思決定を行い、協力体制を築くことができます。
コンセプト受容性調査の手法・対象者

コンセプト受容性調査の手法・対象者

ここからは、コンセプト受容性調査の主な手法や対象者について解説します。

コンセプト受容性調査の代表的な実施方法

コンセプト受容性調査の調査手法としては、数量的に傾向を知る「インターネット定量調査」、心理・行動を深掘りできる「グループインタビュー」、ローンチ時に近い消費者の反応を確認できる「CLT・HUT」などが挙げられます。詳しく解説します。

インターネット定量調査

Webによる定量調査は、コンセプトを決める際に数量的なデータで傾向を把握するのに適しています。ニッチなターゲットでも、ある程度の回答者を見込めるのもメリットです。

グループインタビュー

定量調査で把握しきれないユーザーの深層心理や行動の背景などを知る場合は、グループインタビューが適しています。より深掘りした質問ができるため、想定していなかった意見やアイデアを得られる可能性もあります。

グループインタビューについては、以下の記事でも詳しく説明していますので参考にしてください。
グループインタビューとは?調査の流れやメリット・デメリットを徹底解説

CLT(会場テスト)・HUT(ホームユーステスト)

コンセプトを具現化した試作品があれば、CLTやHUTといった実際に見て触れて、使ってみた反応を確認する調査も効果的です。CLTは同一条件の環境下で商品評価を得られ、参加者の反応をその場で確認できます。HUTは実際に使う環境下での反応を得られる反面、家族などの意見が反映されるリスクもあります。

調査対象者

コンセプト受容性調査の対象者としては、新商品開発の場合は商品のターゲットなる属性の人や競合商品のユーザーなどが適切です。商品改良時のテストでは、既存顧客や競合商品の顧客などが妥当でしょう。既存顧客は商品の利用度や顧客ロイヤルティ、LTVの違いなどで対象者を集め、それぞれの評価の差を比較するとより精度の高いデータを得られます。
コンセプト受容性調査の実施手順

コンセプト受容性調査の実施手順

コンセプト受容性調査は、一般的に以下の手順で進めていきます。3つのステップで解説します。

手順1.ゴールの設定と調査設計

最初にコンセプト受容性調査で何を得たいのか、どんな目的で行うのか、結果を何に使うのかといったゴールのイメージをはっきりさせておきましょう。調査実施の背景や課題を整理して目的を明確にしたら、以下のような概要を決めていきます。
調査概要項目
  • 調査の目的、用途
  • 調査方法(定量調査、グループインタビュー、CLT・HUTなど)
  • 調査対象者、人数
  • 調査日時、期間
  • 必要備品
  • 予算
  • 管理者、実査機関                  など
調査対象者は調査手法に応じて人数を決め、基礎属性や行動履歴、志向性など選択時に必要な条件を整理しておきます。また対象者のリクルートは、自社ルートの活用やオウンドメディアでの募集、調査会社に依頼して集める方法があります。

手順2.コンセプトリストの作成~実査

続いて、テストをしたい商品・サービスのコンセプトリストを作ります。要は質問したい項目を出す作業で、コンセプト受容性調査では主に以下のような評価基準が使われます。
一般的なコンセプトリスト項目
  • 理解度
  • 新規性
  • 信頼度
  • 興味・関心・魅力
  • 購入意向
  • ベネフィット
  • 競合との比較
  • 自由回答
  • 定性的評価(ニーズ、インサイト、使用感)  など
定量調査では上記の項目を提示して5段階評価する方式がよく使われており、1コンセプトずつそれぞれ評価するほか、複数のコンセプトや競合と比較する方法もあります。定性調査やCLT・HUTでは、使った時の感想や使用感などをより詳細に聞きましょう。
このリストが商品・サービスのコンセプト受容度を測る軸となるため、目的や用途に沿った評価軸を選ぶことが重要です。

手順3.分析、レポートの作成

調査終了後には、調査結果を基に分析を行いレポートにまとめていきます。複数の中でどのコンセプトが最も受容度が高かったか、1つのコンセプトにおいて新規性、購入意向などどの評価軸が高かったか、逆に低い評価軸は?など、目的や用途に合わせて細かく分析しましょう。
また、想定ターゲットとは異なる有力ターゲット層が現れるかもしれません。それぞれ属性や定性的な意見などを総合的に判断して、サブターゲットを設けるのもよいでしょう。
コンセプト受容性調査のスケジュール例、費用相場

コンセプト受容性調査のスケジュール例、費用相場

コンセプト受容性調査を実施する際の、調査会社に依頼した場合のおおよその調査期間と費用相場は以下となります。

コンセプト受容性調査の所要期間

それぞれ最短でも、1.5ヶ月~2ヶ月はかかると想定しておきましょう。
【インターネット定量調査】 1.5か月~
・調査企画・設計 1週間~
・調査票作成~確定 1週間~
・調査画面作成~実査 1週間~
・データ作成 / 集計表作成 3日~
・報告書作成 10日~

【グループインタビュー】 2か月~
・調査企画・設計 1週間~
・対象者リクルート・調査票作成~確定 3週間~
・実査準備・実査 1週間~
・データ作成・集計表作成 1週間~
・報告書作成 2週間~

【CLT・HUT】 2か月~
・調査企画・設計 1週間~
・対象者リクルート・調査票作成~確定 3週間~
・実査準備・実査 1週間~
・データ作成・集計表作成 1週間~
・報告書作成 2週間~

コンセプト受容性調査の費用相場

費用相場については、調査手法や調査会社へ外注する場合などシチュエーションによって変動幅が大きいため、調査目的に応じて予算感を確認しておきましょう。
【インターネット定量調査】
1000s/スクリーニング10問/本調査30問の場合
100万円~150万円程度

※セルフ型アンケートツール「Surveroid」活用の場合
2000s/スクリーニング10問/本調査10問400人の場合
6万円程度
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【グループインタビュー】
オンライングループインタビュー
4名×4グループ 計16人の場合
170万円~200万円程度

【CLT】
100名/15問(スクリーニングを含む)
100万円~200万円程度

まとめ

コンセプト受容性調査は、商品やサービスのコンセプトが消費者や市場に受け入れられるかを確認する調査です。新商品開発時やブランドリニュアルなどの際に役立つ調査で、ローンチや再販前に失敗するリスクを軽減できるメリットがあります。

調査方法としては定量調査、グループインタビュー、CLT・HUTなどがあり、いずれにしても調査の目的に応じて新規性や関心度、ベネフィットなど、どの評価軸で質問項目を設計するかが重要です。また各調査共に調査会社に依頼すると企画~レポート納品まで1.5ヶ月~2ヶ月ほどかかり、費用も調査の規模によるものの100万円以上の出費となります。

コンセプト受容性調査の調査期間と費用を抑えたいなら、セルフ型アンケートツールの活用をおすすめします。自社で調査概要はコンセプトリストを作らなければならないものの、たとえばインターネットリサーチならアンケート画面作成、配信、集計まで全ての業務をWeb上で完結できるツールもあります。ぜひご検討ください。

コンセプト調査をするならサーベロイド

セルフ型アンケートツールの「Surveroid(サーベロイド)」は、御社の目的に合わせた定量調査や定性調査をワンストップで実現できます。特にインターネットリサーチは、「1問×1人×1円」で実施できるため、低コストでスピーディに欲しい結果を得ることが可能です。
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