2022年8月22日 更新

NPS®調査とは?業績に直結する注目の調査方法を分かりやすく解説!

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NPS®(ネットプロモータースコア®)とは?

NPS®とは「Net Promoter Score(ネットプロモータースコア)」の略で、顧客ロイヤリティを調査する指標です。
企業や商品に対してどれくらいの愛着や信頼があるかを数値で示します。
「他者へおすすめする度合い」について11段階で評価してもらう手法となっており、満足度だけでは測れないリピート意向やロイヤリティを調査することができます。
また、NPS®と業績向上率は相関が高いと言われているため、アンケートに盛り込み計測する企業が増えています。

NPS®と顧客満足度の違い

顧客満足度とは、言葉通り「満足度」を測る指標です。「満足」といってもどのくらい満足しているのかなど人によって異なり、包含する範囲が非常に広く曖昧な言葉でもあります。
また、他者に薦めるという未来の行動を数値化して調査するNPS®と違い、満足度は過去~現時点での評価となるため、将来性を含んだデータではありません。
そのため、総合的に「満足」と評価した顧客であっても、リピート意向が強まったり購入価格の増加につながったりするのかというと必ずしもそうとは限らないのです。
つまり、「顧客満足度が高い=業績向上」と考えるのは要注意です。
このような背景により、業績向上と相関が高いNPS®が注目されているのです。

また、NPS®を開発したベイン・アンド・カンパニー社は、NPS®を導入することで成長率に2倍の差が出る(かつ低コスト構造である)と提唱しています。(下図参照)
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実際の購買行動と連動しており、自社を支持する顧客層や離反する恐れのある顧客層を特定できることから、「財務結果との連動性が高い」

NPS®の計算方法

まず、ある商品やサービスなどの利用者に、「この商品について友人や家族に薦める可能性はどのくらいありますか。」という質問をし、0点~10点の11段階の中から点数をつけて評価をしてもらいます。
その後、回答内容によって顧客を以下の3グループに分類します。
推奨者…9~10点
中立者…7~8点
批判者…0~6点
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このうち、回答者全体に占める推奨者の割合(%)から批判者の割合(%)の数値を引くことでNPS®を算出します。
11段階という詳細な評価基準の中で9点以上の高い点数をつけた推奨者は、その後も商品を使ってくれたり、良い口コミをしてくれたりするでしょう。また中立者は、肯定も否定もしない中立な立場にあるため、より良いものがあればそちらを使うようになるかもしれません。0~6点と答えた批判者は、ネガティブな印象を持っている可能性が高い人たちです。
また、NPS®は-100から100までの間を取りますが、どれくらいのスコアだったら良いと言えるのでしょうか。
スコアの良し悪しを判断するためには、比較対象が必要となります。
競合や同商品の時系列別データなどは比較対象となりますので、調査の際は忘れずに聴取しましょう。
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NPS®調査のアンケート作成手順

ここからはNPS®を調査するアンケートの作成手順についてご紹介します。
スコアの算出自体は1問で出来ますが、結果として出たスコアを意味のあるデータとして取り扱うためには、アンケートを取る前の事前準備が重要となりますので、以下手順を参考にアンケートを作成してみてください。

目的を明確にする

NPS®調査には大きく2つの目的があります。
1つ目…企業や商品などの、全体に対する推奨度を調査したい場合。
2つ目…店舗など、ユーザーと直接的に接点を持つ場(タッチポイント)における推奨度を調査したい場合。
調査目的によって質問項目が変わりますので、何を明らかにしたいかを事前に明確にしておきましょう。

NPS®調査の種類を決める

NPS®の調査方法は「リレーショナル調査」と「トランザクショナル調査」と呼ばれる2種類の調査があり、調査目的に合わせて使い分けをする必要があります。2つの調査の違いを理解した上で調査方法を決定しましょう。
リレーショナル調査
主に、企業や商品に対する推奨度と課題点を調査します。
企業や商品を構成する各項目についての満足度も一緒に調査すると、どの項目においてNPS®を引き下げているのかなどもわかりやすくなります。
全体的な傾向が把握できる調査かつ算出方法が統一されているので、主にサービス改善や競合との比較に活用されています。
調査は定期的に行い、推移を確認しながら施策の効果測定や市場の評価を把握しましょう。
(競合比較は四半期に一度のペースで調査することが理想です)
トランザクショナル調査
主に商品を扱う店舗や店員、営業担当者などより具体的な項目(購買するときに接点となる現場)に関して調査します。
調査方法としては、レシートにアンケートQRコードを印字したものや、商談後に営業担当者についてのアンケートをメールで送るなどがあり、利用直後のピンポイントな評価を取得できます。
また、トランザクショナル調査を実施する場合は、先にリレーショナル調査から行いましょう。
リレーショナル調査で推奨度が低い箇所を、トランザクショナル調査で重点的に調査するという流れが、効率的かつ具体的な課題点を見つけやすいでしょう。
期間としては、比較的短期間で繰り返し(年間を通して)調査を実施することが多いです。      

質問項目を決める

NPS®調査におけるアンケートの質問項目の作り方をステップごとにご紹介します。
ここでは、カスタマージャーニーマップの作成が鍵となりますので、具体例を含めて解説していきます。      
ステップ1_カスタマージャーニーマップの作成
質問項目を決めるにあたってまず初めに、カスタマージャーニーマップを作成します。
カスタマージャーニーとは、顧客が商品やサービスを知ってから利用・購入するまでの一連のプロセスのことです。
そして、カスタマージャーニーの中で顧客が取る行動パターンを感情や思考も含めてわかりやすく図にしたものをカスタマージャーニーマップと言います。
具体的にどのような行動や感情があるのか、飲食業界を例に挙げて作成したものが下図になります。          
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ステップ2_タッチポイントの洗い出し
商品やサービスが顧客にいきわたるまでの行動などを洗い出したら、カスタマージャーニーの各段階で、どのようなタッチポイント(顧客接点)があるのかを考えます。
こちらも具体例を表にまとめましたので、参考になれば幸いです。
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ステップ3_質問項目をリストアップ
ステップ2でカスタマージャーニーマップの作成が終わったら、タッチポイントごとに質問項目をリストアップしていきます。
上記の表からは、たとえば以下のような質問が考えられます。

当店を知ったきっかけを教えてください。
当店に行こうと思った決め手を教えてください。
お料理の味はいかがでしたか?
店員の接客はいかがでしかた?


このように簡単でもいいのでカスタマージャーニーマップを作成すると、スムーズに質問項目を作ることができます。
ネットリサーチツールへのリンク

NPS®調査の分析方法

NPS®調査の分析方法としては、定性面と定量面の2つがあります。            

【定性分析】
0~10段階評価と共に「評価した理由」を自由回答形式で答えてもらうことで、定性分析を行うことが出来ます。
分析方法としては、回答内容をカテゴライズ(アフターコーディング)し、さらにカテゴライズした回答を推奨者と批判者に分けます。そうしましたら、何が要因で推奨度が低くなっているかなど各要因の影響を確認することができます。

【定量分析】
方法はいくつかありますが、今回は最もシンプルな「ドライバー分析」をご紹介します。
「ドライバー分析」では、縦軸に各要素の満足度と推奨度の相関を求めたもの、横軸に各要素の満足度の平均値をとる散布図を作成します。
そして、下図のように縦軸と横軸の平均値にラインを引き4象限に区分けすることで、優先改善項目が何なのかなど改善するためにできることを把握します。
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A:重点維持項目
強みになる項目です。
顧客ロイヤリティにプラスの影響を与えているため、今後も重点的に維持しなければなりません。

B:優先改善項目
弱みになる項目です。
顧客ロイヤルティに大きく影響しているが、満足度を上げられていない項目になるので、優先的に改善をしなければなりません。左上に位置するほど優先順位が高い項目となります。

C:基本維持項目
満足度は高いが、推奨度としては高くない項目です。
そのため、改善項目としての優先度を下げても良いです。まずは優先改善項目の対策をした上で、改善に向けての取り組みをしていきましょう。

D:注意観察項目
推奨度も満足度も低い項目です。
施策によって、ポジションが推移するため、監視が必要になります。

2つの分析方法を紹介しましたが、どちらか一方の分析だけでは不十分です。
項目として予想外のものが定性分析から発見される場合があるなど、定性分析と定量分析は相互補完の関係にあります。
まずは定性分析で項目を整理し、得られた情報を次回の調査に活かすことで定量分析の分析精度を上げることができるでしょう。

NPS®調査の活用方法

NPS®調査を通じて把握した企業や商品に対する顧客ロイヤリティを、どのように活用できるのかをご紹介します。

改善点の発見に活用

NPS®調査のスコアが低い人(批判者)の回答を分析することで、自分たちでは見つけられていなかったような改善が必要な箇所を見つけることが出来ます。

新商品の開発に向けたデータとして活用

NPS®調査の実施により把握した改善点には、対応が難しい内容も含まれることがあります。そのような場合には、NPS®調査を実施した対象に限らず、今後新たに提供する商品やサービスの開発に向けた参考資料としてデータを活用することも出来ます。

調査対象が持つ強みの分析に活用

NPS®調査のスコアが低い人(批判者)の回答はもちろん、スコアが高い人(推奨者)の回答も重要なデータの1つです。推奨者の回答を分析することにより、自分の商品やサービスの強みを把握することができ、その強みを前面にPRした運用をすることが可能です。

競合との比較による自社の分析に活用

NPS®調査は、競合製品・競合他社との比較により効果を発揮します。競合と比較したときに、自分たちのスコアが高いのか低いのかを分析することで、自分たちの社会的な立ち位置を把握することが出来ます。

詳細なペルソナの設定に活用

NPS®調査のスコアが高い人(推奨者)は調査対象への評価が高いため、行動調査やニーズ調査といった追加調査をNPS®調査と合わせて実施することにより、その調査対象の詳細なペルソナを設定することが出来ます。

NPS®調査のメリット

NPS®調査のメリットをご紹介します。        

容易に測定可能

NPS®調査は推奨度を0〜10までの11段階で聴取するため、簡単に測定することが可能です。

将来的な経営方針を決める際に役立つ

NPS®の調査結果と業績向上率は相関が高いと言われているため、将来的な方針を決める際に調査結果を活用することが出来ます。しかし「NPS®のスコアを改善する=すぐに業績も上がる」という訳ではなく、あくまでも将来的な収益に関わる数値であるため、短期ではなく長期的な目で見ることが大切です。
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