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基礎的な統計学の考え方③ 分散と標準偏差とは?違いや計算方法、Excelでの求め方をわかりやすく解説

15 2026.07

統計学

アンケート初心者必見 基礎的な統計学の考え方③ 分散と標準偏差とは?

1. データの散らばりを知りたい時

5人のクラスにおける算数のテストの点数を例に考えます。A組、B組の2クラスにおいて、5人の点数は以下のようになりました。

A組・B組それぞれ5人のテストの点数(平均はどちらも78点)

A組
72 76 79 81 82
B組
47 64 87 92 100

点数の散らばりイメージ(点線=平均78点)

この2クラスの平均点はいずれも78点です。しかし、平均点が同じであってもデータの特徴は大きく異なります。A組はデータの散らばりが小さく、最高得点者と最低得点者の差は10点にとどまります。一方のB組は、その差が53点に及びます。

このように、平均値や中央値といった代表値だけで全体を判断することは適切ではありません。そこで用いられるのが、データの散らばり具合を示す分散・標準偏差という指標です。

2. 分散、標準偏差とは

分散と標準偏差は、いずれもデータの散らばり具合を表す指標です。

分散は、あるデータセットにおいて、それぞれのデータと平均値の差を二乗して合計し、データの個数で割ることで得られます。そして、分散の平方根が標準偏差となります。まず、計算式を確認します。分散はSの二乗、標準偏差はSで表されます。
 (233)

 (234)

式だけを見ると複雑に感じられますが、内容自体はそれほど難しくありません。分散に√をつけたもの、すなわち分散の平方根が標準偏差です。つまり、分散を求めれば標準偏差もほぼ求まったことになります。

先ほどのA組の例で確認します。A組の平均点は78点であるため、各メンバーの点数と平均点の差(偏差)を求めます。
 (121)

この偏差を二乗すると、以下のようになります。
 (119)

得られた数値を合計し、データの個数で割ると、(36+4+1+9+16)÷5=13.2となります。これが分散であり、偏差の二乗を平均した値です。

なお、二乗せずにそのまま偏差を足し合わせると、(-6)+(-2)+1+3+4=0となります。これは、平均値からの差を単純に合計すると、プラスの差とマイナスの差が相殺されるためです。散らばりの大きさを捉えるために、二乗してプラス・マイナスの符号による相殺を防いでいます。

分散が求められたら、続けて標準偏差を求めます。標準偏差は分散の平方根であるため、√13.2=約3.6となります。この数値が標準偏差です。

なぜ分散からさらに平方根を求めて標準偏差とするのでしょうか。分散は計算過程で二乗しているため、単位も「点²」のように二乗されてしまい、感覚的に扱いにくくなります。平方根をとることで単位を「点」に戻し、平均値と同じ単位で直感的に比較できるようにしたものが標準偏差です。

分散は単位の面で扱いにくい一方、他の統計量と組み合わせた計算では応用がききやすいという特徴があります。そのため、分散・標準偏差のどちらについても求め方を理解しておく必要があります。

同様の手順で、B組についても分散・標準偏差を求めます。
 (118)

平均点は78点であるため、その差を二乗し、データの個数5で割ると、以下のようになります。

{(31×31)+(14×14)+(9×9)+(14×14)+(22×22)}÷5=(961+196+81+196+484)÷5=383.6

標準偏差はこの平方根であるため、19.6となります。

A組の標準偏差3.6と比べて大きな数値となっており、B組の方が点数の散らばりが大きいことが分かります。このように、同じデータセットで平均点が同一であっても、ばらつきの大きさは大きく異なる場合があります。

3. 分散と標準偏差の違いを整理する

ここまでの内容を、違いという観点で改めて整理します。
指標 求め方 単位 使いどころ
分散 偏差(データ−平均)を2乗して平均する 元の単位の2乗
(点²、cm²など)
理論上の計算・他の統計量との組み合わせに強い
標準偏差 分散の平方根をとる 元の単位のまま
(点、cmなど)
ばらつきの大きさを感覚的に比較しやすい
分散も標準偏差も「データの散らばり具合」という同じ現象を表す指標ですが、標準偏差は単位が元のデータと揃うため、資料や説明の場面では標準偏差が使われることが多くなります。一方、複数の分散を組み合わせて計算する場合や、後述する偏差値の算出など式変形を伴う場面では、分散の性質が役立ちます。両者の使い分けを押さえておくことで、実務における統計処理の理解が深まります。

4. Excelで分散・標準偏差を求める方法

手計算の手順を理解した上で、実務ではExcelの関数を用いれば短時間で計算できます。先ほどのA組のデータ(72点・76点・79点・81点・82点)を例に確認します。

- 分散を求める関数:=VAR.P(セル範囲)
- 標準偏差を求める関数:=STDEV.P(セル範囲)

A組の点数が入力されたセル範囲を指定すると、VAR.Pは13.2、STDEV.Pは約3.63と、手計算と同じ結果が得られます。

ここで注意すべき点は、ExcelにはP(Population=母集団)がつく関数と、S(Sample=標本)がつく関数の2種類が用意されていることです。

- VAR.P・STDEV.P:手元のデータそのものを母集団として扱う場合に使用します
- VAR.S・STDEV.S:手元のデータを母集団から抽出した一部の標本とみなし、母集団のばらつきを推定する場合に使用します

アンケート調査のように、手元のデータが「本来知りたい集団のごく一部」であるケースでは、VAR.S・STDEV.S(不偏分散・不偏標準偏差)を用いるのが一般的です。目的に応じて使い分ける必要があります。

5. 標準偏差はどんな場面で使われるか

5-1. 偏差値

標準偏差の代表的な活用例が「偏差値」です。例えば、30人のクラスで平均点が70点の算数のテストにおいて、80点を取った場合を考えます。この点数が良いか悪いかは、平均点だけでは判断できません。

標準偏差が10点であれば、80点という点数は平均から標準偏差1個分しか離れておらず、高得点とは言い切れません。一方、標準偏差が5点であれば、80点は平均から標準偏差2個分離れているため、高得点と評価できます。

このように、標準偏差は複数のデータの中で特定のデータが持つ意味を明らかにする際にも役立ちます。偏差値は、この考え方を「平均50・標準偏差10」という基準に統一したものです。

5-2. アンケート調査・ビジネスでの活用

標準偏差はテストの点数に限らず、アンケート調査やビジネスの現場でも広く用いられています。

- 満足度調査の分析:「満足度は平均4.0点(5点満点)」という結果が出た場合、標準偏差が小さければ回答者の評価が一致していることを示し、大きければ「非常に満足」と「不満」に評価が分かれていることを示します。平均点だけでは把握できない意見の分布状況を確認できます。
- 売上・店舗比較:店舗ごとの月別売上について標準偏差を求めることで、季節や月による売上の安定性を比較できます。標準偏差が小さい店舗は売上が安定しており、大きい店舗は変動要因の調査が必要と判断できます。
- 品質管理:製品の測定値のばらつきを標準偏差で監視し、基準を超えて大きくなった場合に製造工程の異常を検知するという用途もあります。

アンケート結果を集計する際も、平均値に加えて分散・標準偏差を確認することで、回答が割れているのか、意見が一致しているのかを把握できるようになります。

6. よくある質問

Q. なぜ偏差をそのまま平均せず、2乗するのですか。

A. 偏差(データ−平均)をそのまま合計すると、プラスとマイナスが打ち消し合い必ず0になり、散らばりの大きさを表せなくなります。二乗することで符号の影響をなくし、散らばりの大きさのみを取り出しています。

Q. なぜ標準偏差では平方根をとるのですか。

A. 分散は偏差を二乗しているため、単位も二乗されてしまいます(点の分散であれば「点²」)。平方根をとることで元の単位に戻し、平均値と同じ単位で比較できるようにするためです。

Q. 分散と標準偏差は、実務ではどちらを使えばよいですか。

A. 説明資料などで用いる場合は、単位が揃い直感的に理解しやすい標準偏差を用いるのが基本です。分散は、複数の分散を組み合わせて計算するなど、理論的な計算の過程で使われることが多い指標です。

7. まとめ

◆代表値(平均値・中央値など)はデータの散らばりまでは示さないため、その確認には分散や標準偏差が必要です
◆分散は、それぞれのデータと平均値との差を二乗し、合計した上でデータの個数で割ることで得られます
◆標準偏差は分散の平方根であり、単位が元のデータと揃うため感覚的に比較しやすくなります
◆ExcelではVAR.P・STDEV.P(またはVAR.S・STDEV.S)により簡単に計算できます
◆偏差値やアンケートの満足度分析、売上・品質管理など、実務でも幅広く活用されています

次回は、標準偏差の理解をさらに深めるとともに、正規分布についても解説します。

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