リサーチ・リテラシーを学べる書籍の紹介
統計学やデータサイエンスへの注目が高まった結果だと思いますが、データの見方やリサーチの見方に関する内容の充実した書籍を多く見かけるようになりました。そのような書籍のうち、一冊紹介したいのが「<はじめての経営学>ビジネス・リサーチ」佐藤郁哉著(東洋経済新報社 2021)という本です。
この本は、大学学部生向けに調査方法論の入門書として書かれているのですが、学術研究のための本というよりも、「全ての人々にとって必要なリサーチ・リテラシー」を学ぶためのものとして書かれていて、ビジネス上リサーチに携わる人にとっても大変参考になる書籍です。
この本は、大学学部生向けに調査方法論の入門書として書かれているのですが、学術研究のための本というよりも、「全ての人々にとって必要なリサーチ・リテラシー」を学ぶためのものとして書かれていて、ビジネス上リサーチに携わる人にとっても大変参考になる書籍です。
データの評価、理解、活用方法について
様々なリサーチ・データをどのように評価、理解、活用したらよいのか、ゴミ(GIGO)のような調査を設計しないためにはどんなことに気を付けたらよいのかといったことが300ページ以上にわたる厚みで書かれています。
仮説づくりについて
特に、リサーチの設計の際のリサーチ・クエスチョンと仮説づくりについて、多くのページが割かれており、その部分はリサーチの設計者にとってとても参考になるものです。
仮説をめぐる「5つの病」として「無仮説事後解釈病」「後出しジャンケン型仮説症」「命題型仮説依存症候群」「大局観喪失症」「逃げ口上仮説症候群」といった例が挙げられており、こうした悪弊をやってしまった調査の心当たりがいくつもあるな~と反省させられます。
また、「仮説には疑問符を付けてはいけない、断定表現をする」だとか、商業ベースのリサーチの仮説(実践仮説)と研究論文型仮説(実証仮説)を別のものとして分けて考えることなど、端的に実務上役立つアドバイスが書かれています。
仮説をめぐる「5つの病」として「無仮説事後解釈病」「後出しジャンケン型仮説症」「命題型仮説依存症候群」「大局観喪失症」「逃げ口上仮説症候群」といった例が挙げられており、こうした悪弊をやってしまった調査の心当たりがいくつもあるな~と反省させられます。
また、「仮説には疑問符を付けてはいけない、断定表現をする」だとか、商業ベースのリサーチの仮説(実践仮説)と研究論文型仮説(実証仮説)を別のものとして分けて考えることなど、端的に実務上役立つアドバイスが書かれています。
数字(データ)で語ることの意義
このほか、厚生労働省の『毎月勤労統計』における不正、中国やギリシャのGDPデータ偽装の問題などを挙げ、数字を妄信することを戒める一方で、数字(データ)で語ることの意義とそのための概念と測定データの関係(操作的定義という発想)について説明されています。
まとめ
リサーチ/データに対するこうした基本的な考え方、見識や哲学のようなものは、昔のリサーチャーはおそらく共通の教養として持っていたのでしょう。そのため、リサーチやそのデータを特権的なエリートである彼ら・彼女らの中で取り扱っている分には、それを特に語る必要はなかったかもしれません。
しかし、「DIYリサーチャー」とか称して、(私のように)大学を出ていても教養のない人間がリサーチやデータに関わるようになった時代においては、こうしたリサーチ/データを扱う上で基礎づけとなる考えを学ぶための本が必要だと強く感じます。
それだけでなく、様々な媒体や個人に編集・加工されたコロナ関連データにSNSを通じて毎日のように接し、またそれに対する(時には陰謀論的な)解釈・反応を見聞きするにつけ、ふつうの生活者・社会人として判断や意思決定をしていく上でもリサーチ・リテラシー/データ・リテラシーが必要とされるような時代といえそうです。
しかし、「DIYリサーチャー」とか称して、(私のように)大学を出ていても教養のない人間がリサーチやデータに関わるようになった時代においては、こうしたリサーチ/データを扱う上で基礎づけとなる考えを学ぶための本が必要だと強く感じます。
それだけでなく、様々な媒体や個人に編集・加工されたコロナ関連データにSNSを通じて毎日のように接し、またそれに対する(時には陰謀論的な)解釈・反応を見聞きするにつけ、ふつうの生活者・社会人として判断や意思決定をしていく上でもリサーチ・リテラシー/データ・リテラシーが必要とされるような時代といえそうです。
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