競合店調査の完全ガイド │ 失敗しない手順と売上アップにつなげる分析のコツ

05 2026.01

リサーチノウハウ

「競合店にお客さんを奪われている気がするが、決定的な原因がわからない」
「新店舗を出店するが、周辺ライバル店の状況をどう把握すべきか?」
「現場の調査をしたいが、全国の店舗を回るリソースがない」

このような悩みを抱える店舗経営者やマーケティング担当者にとって、競合店調査(ストアコンパリゾン)は売上アップのための必須プロセスです。しかし、ただ店を眺めるだけでは「なんとなくの印象」で終わってしまい、具体的な改善策には繋がりません。
本記事では、競合店調査の正しい手順、必ずチェックすべき項目、そして効率の良い調査手法「モニター活用型調査」までを徹底解説します。
競合店調査の完全ガイド │ 失敗しない手順と売上アップにつなげる分析のコツ

競合店調査(ストアコンパリゾン)の定義と重要性

競合店調査とは、ライバルとなる店舗のサービス、品揃え、価格、接客、店舗環境などを多角的に分析し、自社との「差」を明確にする手法です。流通・小売業界では「ストアコンパリゾン(ストコン)」とも呼ばれます。
なぜ、今このアナログな調査が重要視されているのでしょうか。それは、消費者の選択肢が無限に広がる中で、「自社が選ばれていない理由」は、現場の棚や接客、そして顧客の頭の中にしか存在しないからです。

競合店調査を行う3つの大きな目的

① 自社の立ち位置(ポジション)の明確化
競合と比較することで、「自社は価格で勝負しているのか、体験価値で勝負しているのか」という現在地が客観的に浮き彫りになります。

② 競合の成功要因(KSF)の抽出
「あの店はなぜいつも混んでいるのか?」という問いに対し、具体的な答え(例:ベビーカーが通りやすい通路幅、鮮魚の圧倒的なライブ感など)を見つけ、自社に応用します。

③ 顧客の「離脱理由」の特定
売上が落ちている原因が、競合の値下げなのか、それとも自社の接客質の低下なのかを切り分け、正しい対策を打てるようにします。

競合店調査のやり方!5つのステップで進めよう

競合店調査を効果的に進めるためには、場当たり的に行うのではなく、計画的にステップを踏むことが重要です。ここでは、初心者の方でもスムーズに進められるよう、57つのステップに分けて具体的なやり方を解説します。

ステップ1:調査の目的を明確にする

まず最初に、「何のために調査を行うのか」という目的を具体的に設定します。
「新商品の価格設定の参考にしたい」
「若年層の集客を強化するためのヒントを得たい」
「自店の接客レベルが市場で通用するか知りたい」
など、できるだけ具体的に言語化しましょう。この目的が、後の調査項目や分析の軸となります。

ステップ2:調査対象の競合店を選ぶ

次に、調査対象となる競合店を以下のような分類でリストアップし、その中から特に注視すべき店舗を選定します。主要な競合を2〜3店舗に絞り込むのが効果的です。
直接競合:同じ業態、同じ価格帯、同じターゲットを狙う企業。
間接競合:業態は違うが、顧客の「目的」が共通する企業(例:学習塾に対する通信教育)。
ベンチマーク:異業種であっても、接客やDX化で高く評価されている「理想」の企業。

ステップ3:調査項目と計画を立てる

目的と対象が決まったら、具体的に「何を」「いつ」「どのように」調べるのかを計画します。ステップ1で設定した目的に沿って、特に重点的に見るべき項目を洗い出します。参考までに調べるべき項目は以下の表にまとめています。実地調査の前に、まずはオンラインで収集できる情報を徹底的に調べましょう(デスクリサーチ)。競合店の公式サイトやSNS、Googleマップの口コミ、レビューサイトなどを見るのがお勧めです。

【競合店調査で見るべき10のチェックリスト】

カテゴリー 調査項目 具体的なチェックポイント(例)
店外 立地・アクセス 駅から距離、駐車場の広さ・入りやすさ、周囲の通行量
店舗の外観 看板の視認性、入口の開放感、清掃状態、ディスプレイ
店内 レイアウトと雰囲気 動線のスムーズさ、照明・BGMの適切さ、居心地の良さ
商品・サービス 品揃えの幅と深さ、独自商品の有無、欠品の状況
価格設定 主力商品の価格帯、セット割引、キャンペーンの有無
接客サービスの質 スタッフの挨拶、専門知識、提案力、レジ待ち時間
販促 広告・プロモーション チラシ、SNS広告、店内の目立つPOP、イベント頻度
Web サイト・SNS活用 サイトの使いやすさ、SNS更新頻度、ECとの連携(OMO)
顧客 ターゲット顧客層 来店客の年齢・性別、グループ構成、滞在時間の長さ
評判 口コミやレビュー GoogleマップやSNSでの評価、よくある不満点・絶賛点

ステップ4:店舗へ訪問して実地調査する

オンラインの情報だけでは分からない、現場のリアルな情報を得るために、実際に店舗を訪問します。このとき、一般の顧客として訪れる「覆面調査(ミステリーショッパー)」の手法が有効です。店舗の雰囲気、商品の陳列、スタッフの接客態度、清潔さなどを肌で感じながら確認します。時間帯や曜日によって客層や混雑状況は変わるため、可能であれば複数回、異なる日時に訪問することが望ましいです。

また、おすすめの手法としては、「ラウンダー調査」という一般のモニターが現地へ足を運び指定された箇所の写真を撮影、共有してもらう調査手法もあります。一般モニターなら「一人の顧客」としてシビアに判定でき、エリアも時間も縛られることなく、低コスト実施できるので、あまり調査の経験がない方にもおすすめです。

ステップ5:収集した情報を分析する

オンラインとオフラインで得た情報をまとめ、ステップ1で立てた目的に立ち返り、仮説を検証します。この際、後述する「フレームワーク」を活用すると、情報を多角的に整理し、客観的な分析がしやすくなります。
分析により明らかになった課題や機会をもとに具体的な改善策を立案し、具体的なアクションプランに落とし込み実行に移し、効果測定を行いながらPDCAサイクルを回していきましょう。

【分析手法】

①SWOT分析で自社と競合の状況を整理する
SWOT分析は、内部環境である「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」と、外部環境である「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の4つの要素から現状を分析する手法です。競合と比較することで、自社の強み・弱みを客観的に洗い出し、市場の機会をどう活かすか、脅威にどう対処するかという戦略立案に繋げることができます。
プラス要因 マイナス要因
内部環境 S (強み) Strengths

競合より優れている点、自社のリソース(技術、ブランド、顧客リスト等)

W (弱み) Weaknesses

競合より劣っている点、不足しているリソース(コスト、認知度不足等)

外部環境 O (機会) Opportunities

自社に有利な市場の変化(法改正、ニーズ拡大、競合の撤退等)

T (脅威) Threats

自社に不利な市場の変化(景気後退、代替サービスの登場等)

②3C分析で市場環境を把握する
3C分析は、「顧客・市場(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の3つの視点から市場環境を分析するフレームワークです。市場や顧客が何を求めているのかを理解し、競合がどのようにそれに応えているのかを把握した上で、自社が成功できる要因(KSF:Key Success Factor)は何かを見つけ出すのに役立ちます。
Customer
(市場・顧客)
市場のニーズ・顧客の実態

顧客はどういった悩みを抱えているか? 市場の規模や成長性はどうか? 顧客が求めている価値(ニーズ)の変化はないか?

Competitor
(競合)
競合の状況

競合他社は顧客のニーズにどう応えているか? 競合のシェア、強み、弱みは何か? 競合の新しい取り組みやリソースは?

Company
(自社)
自社の現状

競合と比較した際の自社の強み(差別化ポイント)は何か? 自社が提供できる独自の価値は? 活用できるリソースは?

③4P分析でマーケティング戦略を比較する
4P分析は、企業側の視点からマーケティング戦略を分析するフレームワークで、「製品(Product)」「価格(Price)」「流通(Place)」「販促(Promotion)」の4つの要素から構成されます。自社と競合の4Pをそれぞれ洗い出して比較することで、競合のマーケティング戦略を理解し、自社の戦略における課題や改善点を具体的に発見することができます。
Product
(製品・サービス)
何を売るか

品質、デザイン、機能、パッケージ、ブランド名、保証、アフターサービスなど。顧客の悩みに対して、どのような解決策(商品)を提供するかを考えます。

Price
(価格)
いくらで売るか

定価、割引、支払い期間、決済方法など。ターゲット顧客が購入できる価格帯か、競合と比較して妥当か、収益は確保できるかを検討します。

Place
(流通・場所)
どこで売るか

販売チャネル(店舗、ECサイト、代理店)、在庫状況、輸送方法など。顧客が「買いたい」と思ったときに、スムーズに提供できる経路を確保します。

Promotion
(販促)
どうやって知らせるか

広告、SNS、広報、キャンペーン、店内POP、接客など。商品の存在をターゲットに認知させ、購買意欲を高めるためのコミュニケーション戦略を立てます。

現場の「実態」と顧客の「本音」を効率的に集めるには?

上記10項目を全国の拠点で、かつ客観的に調査するのは容易ではありません。そこでおすすめなのが、「ラウンダー調査」「Webアンケート」の組み合わせです。
現地での視覚的な事実(ラウンダー)と、顧客の心理的なデータ(アンケート)。この両輪を回すことで、より精度の高い競合分析が可能になります。

モニターによるラウンダー調査(実態把握)

一般モニターが「一人の顧客」として店舗を訪問し、指定の棚や外観を写真撮影・報告します。自社スタッフでは気づきにくい「普段の姿」を、証拠写真付きで全国から収集できます。

Webアンケート(定量調査)

競合店の利用客に対し、「なぜその店を選んでいるのか?」という深層心理を調査します。
競合店調査の完全ガイド │ 失敗しない手順と売上アップにつなげる分析のコツ

まとめ

本記事では、競合店調査の目的から具体的なやり方、見るべき項目、分析フレームワーク、そして成功のポイントまでを網羅的に解説しました。
競合店調査は、不確実な市場でビジネスを成功させるための羅針盤です。競合を知り、顧客を理解し、そして自社の強みを再認識することで、競争優位性を確立するための具体的な戦略が見えてきます。
まずは本記事で紹介した57つのステップに沿って、小さな調査からでも始めてみてください。その一歩が、あなたのビジネスを新たな成長ステージへと導くきっかけになるはずです。

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