韓国の市場調査で失敗しない方法は?具体的な手順や費用、成功のポイントを解説

07 2025.08

海外調査

海外調査は企業のグローバル化や市場拡大、競争力強化、海外進出時の文化理解などを目的に、近年頻繁に行われるようになりました。海外調査は国内調査と同様に日本に居ながら実施可能であるものの、その国の特性や文化に合わせて行う必要があります。

本記事では、海外調査の中でも韓国で行う調査について、国の基本情報や現況を紹介しながら、調査を実施する際の注意点などを解説します。
韓国市場調査の方法とは? 有意義な調査にするためのポイント・注意点を解説

韓国の基本情報

韓国の人口は約5,171万人で減少傾向にあり、高齢化が進む一方で出生率は世界で最も低い水準となっています。民族構成は韓民族が約96%を占め、少数の外国人労働者が存在します。

国の面積は約10万平方キロメートルで、日本の1/4程度です。古代から伝わる儒教や仏教の考えが、今もなお現代人の生活や意識に色濃く根付いています。近年では韓流文化が世界的に広がり、多くの人々に影響を与えています。

【面積】約10万平方キロメートル(朝鮮半島全体の45%、日本の約4分の1)
【人口】5,171万7590人(2024年国際連合人口部United Nations Population Division)
【GDP】1兆7,127億ドル(名目、2023年)
【首都】ソウル
【言語】韓国語
【通貨/レート】ウォン 1ドル=約1,385ウォン(出典:2025年8月1日時点、CurrencyLive)
【民族構成】韓民族96%
【宗教】仏教(約762万人)、プロテスタント(約968万人)、カトリック(約389万人)等(出典:2015年、韓国統計庁)

P:Politics/Political(政治面)

韓国は民主主義体制で大統領が行政の最高責任者であり、現在は李在明(イ・ジェミョン)大統領率いる民主党が主導しています。李政権は実用主義外交を掲げ、日韓関係の安定的発展と朝鮮半島平和の実現を目指しています。
国内では経済格差の拡大や住宅価格高騰、世界最低水準の少子高齢化が深刻な課題となっているほか、非常戒厳宣言で弾劾された尹錫悦前政権の政策転換と、政治的分断の修復が新政権の重要課題となっています。

E:Economy/Economical(経済面)

韓国の経済は2023年も堅調に推移しており、GDP成長率は1.4%(出典:2023年、韓国銀行)となっています。製造業とIT産業が主要産業で、サムスンやLGなどの企業が世界市場をリードしています。政府はデジタル化を推進し、スマートシティプロジェクトを進行中です。また少子高齢化が進む中で、労働市場の改革や社会保障制度の改善が求められています。

S:Society/Social/Cultural(社会/文化/ライフスタイル面)

韓国は急速な経済発展とともに、現代的なライフスタイルが浸透しています。ソウルや釜山などの都市部では高層ビルが立ち並び、カフェ文化やショッピングが盛んです。最近は韓流(K-POPや韓国ドラマ)が世界的に人気を博し、エンターテインメント産業が発展しました。伝統的な家族構造が多く、家族行事や祭りを大切にしています。食文化も多様で、キムチやビビンバ、焼肉などが日常の食事に登場します。デジタル化が進み、スマートホームやキャッシュレス決済が浸透しています。

T:Technology/Technological(技術面)

韓国は、5G技術やバイオテクノロジーで世界をリードしています。特にサムスンやLGなどの企業が先進的な技術を開発し、スマートフォンや家電製品の分野で世界市場を席巻しています。また政府が進めるスマートシティプロジェクトによって、国全体の経済成長が底上げされています。

特筆すべきトピックス

韓国の財閥企業は、経済の柱として重要な役割を果たしています。サムスン、LG、現代自動車などの大手財閥は、国内外での競争力を維持しつつ、技術革新と多角化を進めています。一方で財閥の支配構造や不透明な経営慣行が批判されており、政府は財閥改革を推進しています。特に透明性の向上やガバナンスの強化が求められており、社会的責任を果たす企業経営が期待されています。
韓国市場調査の具体的な方法

韓国市場調査の具体的な方法

韓国市場を理解するためには、目的に応じて様々な調査方法を組み合わせることが有効です。ここでは、代表的な調査方法とその特徴を紹介します。

デスクトップリサーチ(公開情報の活用)

デスクトップリサーチは、公的機関や調査会社が公表しているレポート、統計データ、ニュース記事などを活用して市場の全体像を把握する方法です。日本貿易振興機構(JETRO)などが提供する情報は、信頼性が高く、韓国の経済動向や法規制、主要産業のデータを収集する上で非常に役立ちます。 この方法は、低コストで迅速に情報を集められるため、市場調査の初期段階で必ず行うべきです。

定量調査(アンケート)

定量調査は、アンケートなどを通じて数値データを収集し、市場の規模や消費者の意識、行動を統計的に分析する手法です。 例えば、「自社ブランドの認知度は何%か」「どのような価格帯の商品が好まれるか」といった事実を客観的なデータで把握したい場合に有効です。韓国はインターネット普及率が非常に高いため、オンラインでのアンケート調査が主流となっています。

定性調査(インタビュー)

定性調査は、グループインタビューや1対1のデプスインタビューを通じて、消費者の深層心理やインサイト、つまり「なぜそう思うのか」「なぜそのように行動するのか」といった背景を探る手法です。 新商品のコンセプト評価や、ブランドイメージの具体的な要因を探る際に効果を発揮します。韓国では、初対面の相手には本音を話しにくい文化的背景があるため、対象者の年齢や性別を揃えるなど、グループ構成に配慮することが成功の鍵となります。

現地でのフィールド調査

フィールド調査は、実際に現地の店舗を訪れたり、街の様子を観察したりすることで、データだけでは分からないリアルな市場環境や消費者の雰囲気を肌で感じる調査方法です。競合商品の陳列状況や価格、プロモーション活動などを直接確認することは、具体的な販売戦略を立てる上で非常に有益な情報となります。
韓国市場調査を進める手順

韓国市場調査を進める手順

効果的な市場調査を実施するためには、計画的にステップを踏むことが重要です。ここでは、市場調査を成功に導くための標準的な手順を解説します。

目的と課題を明確にする

最初に、「何のために調査を行うのか」「この調査で何を明らかにしたいのか」という目的と課題を明確にします。例えば、「韓国市場への参入可否を判断する」「20代女性向けの化粧品のコンセプトを固める」「競合製品に対する自社製品の優位性を見つける」など、具体的であればあるほど、その後の調査設計がスムーズになります。

調査手法と対象者を選定する

明確になった目的に基づいて、最適な調査手法(定量調査、定性調査など)と、調査対象者の条件(年齢、性別、居住地、ライフスタイルなど)を決定します。課題が仮説の検証であれば定量調査、インサイトの発見であれば定性調査が適しているなど、目的に合わせて手法を使い分けることが重要です。

調査票やインタビュー項目を設計する

選定した調査手法に合わせて、具体的な質問項目を作成します。アンケートの設問やインタビューの質問フローは、調査の質を左右する最も重要な要素です。質問が回答者を誘導したり、誤解を招いたりしないよう、中立的で分かりやすい言葉を選ぶ必要があります。特に海外調査では、現地の文化や言語ニュアンスを理解した上での設計が不可欠であり、直訳は避けるべきです。

実地調査とデータ収集を行う

設計した調査票やインタビューガイドラインに基づき、実際に調査を実施します。オンラインアンケートの配信、インタビューの実施、現地での観察など、計画に沿ってデータを収集します。この段階では、調査がスムーズに進行するよう、進捗管理を徹底することが求められます。

分析とレポーティング

収集したデータを分析し、調査目的の答えとなるインサイトを導き出します。定量データはグラフなどを用いて視覚的に分かりやすく整理し、定性データからは消費者の発言の背景にある本音を読み解きます。最終的に、分析結果から得られた結論と、それに基づく具体的なアクションプランを報告書としてまとめ、次の意思決定に繋げます。
韓国市場調査のポイント・注意点

韓国市場調査のポイント・注意点

ここからは、韓国を対象とした海外調査を行う際に注意しておきたいポイントについて解説します。

急速な市場変化

韓国はアジア屈指の経済大国であり、製造業やIT産業を中心に急速な経済成長を遂げています。市場の動きが非常に早いため、最新のトレンドを常に把握することが重要です。市場調査を行うには、消費行動に影響する経済の安定性やインフレ率、通貨の変動等も考慮しておくとよいでしょう。

韓国特有の消費文化の把握

韓国の消費者行動は急速に変化しており、特に若年層はトレンドに敏感で、ファッションや美容、エンターテインメントに対する支出が多いのが特徴です。市場調査では、こうした消費者の購買行動や嗜好、文化的背景を理解することが重要です。特にK-POPや韓国ドラマの影響力が強く、デジタルメディアの利用が多いことからデジタルツールによる調査が効果的です。

法規制の確認

韓国の市場調査を行うには、現地の法的・規制環境を理解することが重要です。特にデータプライバシーに関する法律などを把握することで、調査のリスクを最小限に抑えることができるでしょう。

言語と文化の壁を乗り越える翻訳の重要性

アンケートの設問やインタビューの質問を韓国語に翻訳する際、単なる直訳は禁物です。言葉の背後にある文化的なニュアンスや、現地で使われる自然な表現を反映させなければ、回答者に意図が正しく伝わらない可能性があります。 調査の品質を担保するためには、現地の文化を深く理解しているネイティブスピーカーによる翻訳、またはダブルチェックが不可欠です。

韓国市場調査にかかる費用と期間

市場調査の計画を立てる上で、費用と期間は避けて通れない要素です。ここでは、その目安について解説します。

調査手法別の費用相場

韓国での市場調査費用は、調査の手法や規模、対象者の条件によって大きく変動します。あくまで一般的な目安として、以下のような費用感が考えられます。
調査手法 費用相場の目安 備考
オンラインアンケート 50万円~150万円 設問数15問、サンプル数300程度の場合
グループインタビュー 80万円~200万円 1グループ(6名)、2グループ実施の場合。通訳費含む
デプスインタビュー 60万円~150万円 5名程度へのインタビューの場合。通訳費含む
デスクトップリサーチ 30万円~100万円 調査範囲やレポートのボリュームによる
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調査内容による期間の目安

調査にかかる期間も、内容によって異なります。調査の企画・設計から最終的な報告までを含めると、一般的には数週間から数か月を要します。

・オンラインアンケート: 企画からレポーティングまで約3週間~1.5か月
・インタビュー調査: 対象者のリクルーティングに時間がかかるため、約1.5か月~2.5か月

迅速な意思決定が求められる場合は、スピード感のあるオンラインアンケートが適しています。一方、消費者の深いインサイトを得たい場合は、時間をかけてでもインタビュー調査を行う価値があります。
信頼できる市場調査会社の選び方

信頼できる市場調査会社の選び方

自社だけで精度の高い調査を行うのが難しい場合は、専門の市場調査会社に依頼するのが一般的です。ここでは、良いパートナーを選ぶためのポイントを紹介します。

韓国市場への専門性と実績を確認する

最も重要なのは、その会社が韓国市場にどれだけ精通しているかです。韓国での調査実績が豊富か、現地の文化や消費者行動を深く理解しているかを確認しましょう。過去にどのような業界の調査を手がけたか、具体的な事例を見せてもらうのが有効です。

調査手法の提案力と柔軟性を評価する

こちらの課題に対して、画一的な調査方法を提示するのではなく、課題解決に最適な調査デザインを提案してくれる会社を選びましょう。定量調査と定性調査を組み合わせるなど、柔軟な発想で提案してくれるかどうかが、実力を見極めるポイントです。

レポートの質と分析の深さを見極める

最終的なアウトプットであるレポートの質も重要です。単にデータを羅列しただけのレポートではなく、そこから何が言えるのか、どのような戦略的示唆が得られるのか、深く分析されているかを確認しましょう。可能であれば、サンプルレポートを見せてもらい、そのクオリティを事前にチェックすることをお勧めします。
韓国進出に成功した日本企業の事例

韓国進出に成功した日本企業の事例

韓国市場調査をうまく活用し、成功を収めている日本企業は少なくありません。ここでは、その代表的な事例を紹介します。

化粧品業界の成功事例

日本の化粧品メーカー(資生堂やSK-IIなど)は、韓国市場のトレンドや消費者ニーズを詳細に分析し、現地の嗜好に合わせた製品開発やマーケティングを行うことで成功を収めています。例えば、特定の成分や効能を訴求するだけでなく、韓国の若者が好むパッケージデザインやSNSでのプロモーションを展開することで、多くのファンの獲得に繋がっています。

食品・外食業界の成功事例

日本の食品・外食チェーンも、韓国市場で存在感を高めています。成功の鍵は、日本の味を忠実に再現しつつも、韓国の食文化やライフスタイルに合わせたローカライズです。例えば、焼き鳥チェーンの「鳥貴族」は、韓国の外食市場における「リーズナブルな価格帯の焼き鳥専門店」というニッチなポジションを見出し、2024年9月に進出を果たして注目を集めています。 このような成功の背景には、現地の外食トレンドや競合状況を的確に把握する市場調査がありました。

キャラクター・コンテンツビジネスの成功事例

日本のゲームやアニメ、キャラクターは韓国でも非常に人気が高く、多くの企業が進出しています。サイバーステップ株式会社が開発したオンラインゲーム「GetAmped」は、いち早くオンラインゲーム市場が活発だった韓国でリリースし、大ヒットを記録しました。 これを足がかりにアジア全域へと展開を広げたこの事例は、市場のポテンシャルを早期に見抜き、戦略的に参入した好例と言えます。

韓国市場調査にはサーベロイド

韓国をはじめ海外調査を行うには、その国の特性や現況を理解する必要があり、そのためのノウハウも不可欠です。自社で海外調査に対応するノウハウや人材といったリソースが不足している場合は、調査会社やアンケートツールなどを活用するとよいでしょう。

セルフ型アンケートツールの「Surveroid(サーベロイド)」は、セルフツール業界では最大規模の国内600万人のモニターを有し、2008年からサービス開始しているリサーチツールです。アンケート画面作成、配信、集計まで全ての業務をWeb上で完結でき、御社の目的に合ったデータを低コストで回収できます。

また、世界24ヶ国を対象とした海外調査が可能です。翻訳機能で簡単にアンケートを作成でき、国内調査同様ワンストップで完結できるほか、「初期費用・継続費用0の完全従量課金制」のため、海外調査コストの「業界平均約1/10削減」を実現しました。調査会社に委託するコストと比較すると、圧倒的なコスト削減を期待できるでしょう。

さらにサポート体制も充実しており、初めて海外調査をされる方でも安心してご利用いただけます。
海外調査を検討しているなら、「Surveroid」のサービス内容をご確認ください。

まとめ

韓国は、サムスンやLGなどの企業が世界市場をリードする製造業とIT産業が盛んで、デジタル化が進む国です。韓国を対象とした調査を行うには、急速な市場変化や韓国特有の消費文化を把握する必要があります。

セルフ型アンケートツールの「Surveroid(サーベロイド)」では、世界24か国ヶ国における調査が可能です。国内調査と同様にワンストップで調査が完結し、低コストで海外調査を実施できるのが特徴です。
自社のビジネス拡大のために海外調査を検討しているなら、ぜひ「Surveroid」をご活用ください。

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