目次
日本企業の新たな進出先として注目されている「フィリピン」。人口構成、経済成長、英語力に優れた労働力など、数多くの魅力を備えた市場として関心が高まっています。
本記事では、フィリピン市場に関する基本情報から、調査の進め方、費用相場、そして進出時の注意点まで、初期検討に必要な要素を網羅的に解説します。これから海外進出の判断材料を揃えたい方や、説得力のある社内報告書を作成したい方にとって、実用的な内容となっています。
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フィリピン市場が注目される理由とは?
近年、多くの日本企業が新たな進出先としてフィリピンに熱い視線を送っています。その背景には、他のASEAN諸国とは一線を画す、フィリピンならではの魅力とポテンシャルがあります。ここでは、なぜ今フィリピン市場が注目されているのか、その主な理由を解説します。
高い経済成長率と将来性
フィリピン経済は、安定して高い成長率を維持しています。フィリピン統計庁によると、2023年のGDP成長率は5.6%を記録しました。 コロナ禍で一時的な落ち込みはあったものの、力強い回復を見せており、今後も内需主導の安定した経済成長が期待されています。 この成長を支えているのが、旺盛な個人消費です。所得水準の向上に伴い中間所得者層が増加しており、消費市場としての魅力が年々高まっています。
経済指標 | 数値 | 出典 |
---|---|---|
2023年GDP成長率 | 5.6% | フィリピン統計庁 |
2021年一人当たりGDP | 3,572 USドル | グローバルマーケティングラボ |
豊富な若年層による人口ボーナス
フィリピンの人口は約1億1,500万人を超え、その最大の特徴は「人口ピラミッド」の形にあります。 若年層の割合が非常に高く、生産年齢人口がそれ以外の人口(従属人口)を大きく上回る「人口ボーナス」期が2050年頃まで続くと予測されています。 これは、豊富な労働力が確保できるだけでなく、将来にわたって消費市場が拡大し続けることを意味しており、多くの企業にとって大きな魅力となっています。
高い英語力を持つ優秀な労働力
フィリピンの公用語はフィリピノ語と英語であり、国民の英語能力が非常に高いことで知られています。 ビジネスシーンでも問題なく英語でのコミュニケーションが可能なため、海外企業にとっては事業を進めやすい環境です。特に、コールセンターなどのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)産業は世界的な競争力を持ち、フィリピン経済を牽引する重要な柱の一つとなっています。
親日的な国民性と日本文化への関心
フィリピンはアジアでも有数の親日国として知られています。 歴史的な背景から日本に対して良好なイメージを持つ人が多く、日本の製品や文化、食に対する関心も非常に高いです。実際に、多くの日本食レストランが人気を博し、日本のポップカルチャーも広く受け入れられています。 このような親日的な国民性は、日本企業が市場に参入し、現地でビジネスを展開する上での大きなアドバンテージとなります。
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フィリピンの基本情報
フィリピンの人口は約1億1,584万人で増加傾向にあり、若年層の割合が高くピラミッド型の人口構成となっています。民族構成はマレー系のタガログ族、セブアノ族、イロカノ族などのほか多様な民族が混在しています。国の面積は約30万平方キロメートルで、日本の8割程度です。
スペイン植民地時代やアメリカ統治時代を経て独立し、カトリック教会の影響が強い国です。多様な文化と急速な経済発展が特徴で、特にサービス業と農業が重要な役割を果たしています。
【面積】約298,170平方キロメートル(日本の約8割)7,641の島々がある。
【人口】1億1,584万3670人(2023年国際連合人口部United Nations Population Division)
【GDP】4,366億ドル(名目、2023年)
【首都】マニラ
【言語】国語はフィリピノ語、公用語はフィリピノ語及び英語。180以上の言語がある。
【通貨/レート】ペソ
【民族構成】マレー系が主体。ほかに中国系、スペイン系及び少数民族がいる。
【宗教】ASEAN唯一のキリスト教国。国民の83%がカトリック、その他のキリスト教が10%。イスラム教は5%(ミンダナオではイスラム教徒が人口の2割以上)。
スペイン植民地時代やアメリカ統治時代を経て独立し、カトリック教会の影響が強い国です。多様な文化と急速な経済発展が特徴で、特にサービス業と農業が重要な役割を果たしています。
【面積】約298,170平方キロメートル(日本の約8割)7,641の島々がある。
【人口】1億1,584万3670人(2023年国際連合人口部United Nations Population Division)
【GDP】4,366億ドル(名目、2023年)
【首都】マニラ
【言語】国語はフィリピノ語、公用語はフィリピノ語及び英語。180以上の言語がある。
【通貨/レート】ペソ
【民族構成】マレー系が主体。ほかに中国系、スペイン系及び少数民族がいる。
【宗教】ASEAN唯一のキリスト教国。国民の83%がカトリック、その他のキリスト教が10%。イスラム教は5%(ミンダナオではイスラム教徒が人口の2割以上)。
P:Politics/Political(政治面)
フィリピンは大統領制の民主主義国家で、現在は2022年に就任したフェルディナンド・ロムアルデス・マルコス・ジュニア(通称ボンボン・マルコス)大統領が政権を担っています。現政権は経済改革とインフラ投資の推進を掲げ、特に外国直接投資(FDI)の拡大を重視しています【出典:Philippine News Agency, 2024】。
一方、前政権(ロドリゴ・ドゥテルテ政権)に端を発する人権問題や汚職の根深さは依然として懸念材料であり、南シナ海をめぐる領有権問題や米中との外交バランスも注目されています。
一方、前政権(ロドリゴ・ドゥテルテ政権)に端を発する人権問題や汚職の根深さは依然として懸念材料であり、南シナ海をめぐる領有権問題や米中との外交バランスも注目されています。
E:Economy/Economical(経済面)
フィリピンの経済は2023年も堅調に推移しており、GDP成長率は近年概ね5~7%の水準を維持しています。主要産業はサービス業と工業で、農業も一部地域で重要な役割を果たしています。政府はインフラ投資を強化し、一部都市ではスマートシティ構想の推進も見られます。観光業も回復基調にあり、経済全体の活性化が期待されています。
また、年間380億ドル規模の海外労働者送金(OFW remittances)は個人消費を下支えしており、内需主導の経済構造に大きく寄与しています。
また、年間380億ドル規模の海外労働者送金(OFW remittances)は個人消費を下支えしており、内需主導の経済構造に大きく寄与しています。
S:Society/Social/Cultural(社会/文化/ライフスタイル面)
フィリピンは多民族国家であり、国民の約83%がカトリックを信仰する、ASEANで唯一キリスト教が多数派の国です。家族単位での生活文化が根強く、都市部ではショッピングモールがコミュニティの中心としての役割を果たしています。
2023年上半期時点の所得貧困率は22.4%に達しており、教育格差や治安の不安定さといった社会課題も依然存在します。一方で、若年層を中心にK-POPやアメリカ文化の影響を受けたライフスタイルが浸透しており、多文化的で柔軟な消費傾向が特徴的です。
2023年上半期時点の所得貧困率は22.4%に達しており、教育格差や治安の不安定さといった社会課題も依然存在します。一方で、若年層を中心にK-POPやアメリカ文化の影響を受けたライフスタイルが浸透しており、多文化的で柔軟な消費傾向が特徴的です。
T:Technology/Technological(技術面)
フィリピンではIT-BPM産業が急速に発展しており、特にBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)分野が盛んです。マニラやセブではスタートアップ企業の数も増加しており、デジタル経済が拡大傾向にあります。政府も行政のデジタル化やICTインフラの整備を進めており、一部都市ではスマートシティ構想も進行中です。これらの取り組みが経済の多様化と成長に貢献しています。
特筆すべきトピックス
フィリピンでは、2022年に就任したマルコス大統領のもとで政治的な混乱は見られず、経済も2023年には5.6%の成長を記録するなど堅調に推移しています。経済はサービス業を中心に構成されており、工業や農業も地域によって重要な役割を果たしています。また、海外労働者からの送金はGDPの約8%を占め、個人消費を下支えする重要な要素です。一方で、貧困率の高さや教育格差、治安の不安定さといった社会問題も残されており、マルコス政権の政策運営能力が注目されています。

フィリピン市場調査の具体的な方法
フィリピン市場の基本情報を把握したら、次はいよいよ具体的な市場調査のステップに進みます。自社の製品やサービスが現地で受け入れられるのか、どのようなニーズが存在するのかを明らかにするため、多角的なアプローチで調査を行いましょう。
デスクリサーチで基礎情報を収集する
最初に行うべきは、公的機関や調査会社のレポートなど、既存の資料を活用したデスクリサーチです。日本貿易振興機構(JETRO)のウェブサイトでは、フィリピンに関する詳細なレポートが公開されており、マクロ経済の動向や法規制、貿易統計などを把握するのに非常に役立ちます。 この段階で、市場の全体像や構造を理解し、後の現地調査に向けた仮説を立てることが重要です。
現地での定量調査(アンケート)を実施する
デスクリサーチで立てた仮説を検証するために、現地でのアンケート調査(定量調査)が有効です。例えば、「自社製品の認知度はどのくらいか」「どのような価格帯なら購入したいか」といった質問を通じて、消費者の意識やニーズを数値で把握することができます。最近では、オンラインで手軽に海外の消費者にアンケートを実施できるツールもあり、低コストかつ迅速に調査を行うことが可能です。
調査項目例 | 質問例 |
---|---|
製品認知度 | 「〇〇という製品を知っていますか?」 |
購入意向 | 「〇〇をいくらなら購入したいと思いますか?」 |
消費行動 | 「普段どこで買い物をしますか?」 |
現地での定性調査(インタビュー)で深掘りする
アンケートで得られた数値データの背景にある「なぜそう思うのか」という理由やインサイトを探るためには、インタビュー調査(定性調査)が欠かせません。現地の消費者に直接インタビューを行うことで、彼らのライフスタイルや価値観、製品に対するリアルな本音を聞き出すことができます。数値だけでは見えてこない、文化的な背景に基づいた消費者理解を深めることが、製品開発やマーケティング戦略を成功させる上で非常に重要です。
調査会社に依頼する際のポイント
自社での調査が難しい場合や、より専門的な知見が必要な場合は、市場調査会社に依頼するのも有効な選択肢です。調査会社を選ぶ際は、フィリピンでの調査実績が豊富かどうかを確認しましょう。 また、調査の目的を明確に伝え、どのようなアウトプットを期待するのかを事前にすり合わせることが成功のポイントです。現地の文化や商慣習に精通したパートナーを選ぶことで、より精度の高い調査が期待できます。
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フィリピン市場調査の一般的な期間
フィリピンを対象とした調査の一般的な期間は、オンラインアンケートのような定量調査もインタビューなどの定性調査も、数週間~数か月を見込んでおくとよいでしょう。
フィリピン市場調査の費用相場
フィリピンを対象とした調査の費用相場は、数十万円~数百万円かかるのが一般的といえます。
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フィリピンをはじめ海外調査を行うには、その国の特性や現況を理解する必要があり、そのためのノウハウも不可欠です。自社で海外調査に対応するノウハウや人材といったリソースが不足している場合は、調査会社やアンケートツールなどを活用するとよいでしょう。
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世界24か国の消費者に調査が出来るサーベロイドの海外調査とは
フィリピン進出を成功させるためのポイント
入念な市場調査を経て、いよいよフィリピンへの進出を具体化する段階では、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。ビジネスを円滑に進め、持続的な成長を遂げるために、以下の点を常に意識しましょう。
現地の法律や規制を遵守する
海外でビジネスを行う上で、現地の法律や会社設立手続き、労働法、税法などを厳密に遵守することは大前提です。 フィリピンで事業を行う上で、必ず確認しなければならないのが「ネガティブリスト」の存在です。これは、国の安全保障や国民の利益保護などを目的に、外資による投資が制限または禁止されている業種を定めたリストです。 例えば、小売業や一部の専門職サービスなどでは、外国資本の比率に上限が設けられています。進出を検討している事業分野がネガティブリストに該当しないか、事前の確認が不可欠です。
このように、フィリピンには外資に関する独自の規制が存在します。法的なリスクを回避するためにも、現地の法律に詳しい弁護士やコンサルタントといった専門家のアドバイスを受けながら、慎重に手続きを進めることが不可欠です。
このように、フィリピンには外資に関する独自の規制が存在します。法的なリスクを回避するためにも、現地の法律に詳しい弁護士やコンサルタントといった専門家のアドバイスを受けながら、慎重に手続きを進めることが不可欠です。
信頼できる現地パートナーを見つける
フィリピンでは、ビジネスにおいて人との繋がりが非常に重視される傾向にあります。そのため、信頼できる現地のパートナーを見つけることが、成功への近道となります。 現地パートナーは、強力なネットワークやリソースを提供してくれるだけでなく、現地の市場や文化に対する深い理解を補ってくれます。合弁会社の設立やフランチャイズ展開など、パートナーシップの形態は様々ですが、良好な関係を築くことが重要です。
パートナー探しの方法 | 特徴 |
---|---|
現地商工会議所からの紹介 | 信頼性の高い企業が見つかりやすい |
JETROなどの公的機関への相談 | 日系企業との連携に慣れた企業を紹介してもらえる |
業界展示会への参加 | 多くの企業と直接コンタクトが取れる |
競合の動向を正確に把握する
どのような市場であっても、競合他社の動向を把握することは戦略立案の基本です。フィリピン市場にすでに進出している日系企業や現地企業、その他の外資企業が、どのような製品・サービスを、どのような価格で、どのように販売しているのかを徹底的に分析します。 これにより、自社の強みを活かせるポジショニングや、差別化戦略を明確にすることができます。
インフラの整備状況を考慮する
フィリピンの経済は急速に成長していますが、その一方で交通や通信、電力といったインフラの整備が追いついていないという課題も抱えています。 特にマニラ首都圏では交通渋滞が深刻化しており、物流の遅延などに繋がる可能性があります。また、地方によってはインターネット環境が不安定な地域もあります。進出する地域のインフラ状況を事前に調査し、事業計画に織り込んでおくことがリスク管理の観点から重要です。
まとめ
フィリピンは若年層が多くGDP成長率も高い水準で推移しており、経済成長が著しい国です。フィリピンを対象とした調査を行うには、経済成長に対する理解を深め法規制やインフラの問題を把握する必要があります。
セルフ型アンケートツールの「Surveroid(サーベロイド)」では、世界24か国における調査が可能です。国内調査と同様にワンストップで調査が完結し、低コストで海外調査を実施できるのが特徴です。
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