2023年3月20日 更新

顧客満足度調査(CS調査)に必要な質問項目とは?調査設計やテンプレートを公開!

顧客満足度調査(CS調査)とは

顧客満足度調査(Customer Satisfaction:CS)とは、自社のビジネスやサービス、プロダクトにおいて顧客がどれだけ満足しているかを把握するために行う調査のことを指します。
顧客満足度調査をすることで、満足度だけではなく自社と競合を比較した際の強みや弱点なども設計次第では把握することが出来ます。調査結果は既存顧客の離反防止や、新規顧客獲得のためにアクションを起こす際の意思決定に役立ちますので、有効的に活用しましょう。
Surveroid(サーベロイド)が運営するYouTubeチャンネルにて、現役リサーチャーが顧客満足度調査について解説しておりますので、記事と併せてご覧ください。

【満足度調査】のコツが知れる動画~えばしん流~

顧客満足度調査の調査方法

顧客満足度調査を自社でするのか調査会社に依頼するのかを決めます。
初めて実施する場合や、自社のオリジナルな設計が欲しいなどの希望がある場合は調査会社に依頼して調査票を作成してもらうと良いでしょう。
ただし、インターネットで検索すると顧客満足度を実施する際に必要な調査項目などが参考になるサイトも多くあります。調査会社に依頼するとコストがかかるので、基本的な項目でまずはやってみる、今まで実施したことがあり調査内容はほぼ変わらないなどの場合は自社で実施してみても良いでしょう。

定量調査

定量調査とは「何が?」や「どれが?」といったリサーチ項目を、数的データとして導き出し、統計的に分析する方法です。現在は統計的に信憑性のあるサンプル数を比較的安価かつ簡単に回収することが出来るネットリサーチで実施することが多いです。アンケートを実施する際は、顧客であることが重要ですので不特定の回答者からの回答は得ないようにする工夫が必要になります。

定性調査

定性調査とは「なぜ?」や「どうやって?」といったリサーチ項目を、質的データ(ことば)として導き出す調査です。
実際に自社の商品・サービスを使っている顧客にコンタクトを取り、満足度に対する理由やきっかけ、課題などを深堀しながら聴取することが可能です。
アンケートの調査手法としてご紹介した定量調査や定性調査に関しては、「定量調査とは?定性調査との違いからやり方まで紹介」にて2つの手法の違いや、それぞれのメリットデメリットを詳しく解説しておりますので、併せてご覧ください。

顧客満足度調査の質問項目

顧客満足度調査はマーケティング上の課題を解決するために実施しますが、何を明らかにすれば次のアクションを決められるのかという視点を持って質問項目を考えます。
調査結果がアクションを起こす際の判断材料になるようなアウトプットになるように意識をしましょう。
下記では、顧客満足度調査において最低でも聞いておきたい質問項目2つをご紹介致します。

比較対象を用意する

自社の満足度だけを聞いた場合、結果的に数値の良し悪しの判断ができないことがあります。良し悪しがわからないと次のアクションに繋げることが難しくなるため、競合などの比較対象となるものを設問内に含めましょう。自社以外の満足度を同時に聞いておくことで相対的な評価をすることができますので、比較する会社を入れることが可能な場合は聴取しましょう。
ただし、会社ごとに満足度●%以上などの基準値を設けている場合もありますので、比較対象を用意するのは必須条件ではありません。

満足度の要因を探る質問を入れる

満足度について「あなたは○○にどのくらい満足していますか。」という単純な質問だけでは次のアクションに繋げることが難しくなるため、もう少し深堀をする必要があります。
満足度は、総合満足度と要素別満足度に分解して考えましょう。要素別満足度とは、食品を例に挙げると「味・使い勝手・価格」などのことを指します。満足度には総合的な評価を構成する要素があるはずなので、要素別にも満足度を詳しく聞いておくと、改善点や今度の課題が明確になります。また、要素内で分散の大きさを確認し、分散が大きい(=回答にばらつきがある)箇所を見つけることができれば、その点を改善するといった意思決定に繋がることもあります。

顧客満足度調査の調査設計のコツ

 (37)

対象と分析軸を決める

顧客満足度調査において多くの場合、「ビールを飲む人」や、「料理をする人」など、自社の顧客となり得る「カテゴリーユーザー」に調査対象者絞り込みます。
また、対象者を決める際に併せて分析軸も決めておくことをお勧めいたします。競合間の比較ができない場合でも、分析軸があることで満足度の評価をすることができるようになります。
ヘビーユーザーやライトユーザー別に満足度を比較したい場合は、利用頻度を設問内に含め、週1以上利用者はヘビーユーザーなど定義付けまでしておきましょう。

【分析軸例】
①性年代:20代男性、30代男性…60代男性、60代女性
②ユーザーレベル:ヘビーユーザー、ライトユーザーなどのカテゴリーに対する関与度
③時系列:昨年と今年、前回と今回

実態把握やカテゴリー重視点の設問を入れる

認知、利用経験などのマーケット浸透や、デモグラフィックなどの設問以外に、どのように使っているのか、どこで買っているのかなどの実態把握系の質問や、同じカテゴリーユーザーの中でも消費者によって重視している点は異なることから、カテゴリー重視点についても聞くことが多いです。入れるか迷った場合は入れておくと無難です。
また、NPS(推奨度)という顧客ロイヤリティに関わる指標についても設問に含めることが多くなっています。過去記事の「NPS®調査とは?業績に直結する注目の調査方法を分かりやすく解説!」にて詳細に解説しておりますので併せてご覧ください。
アンケート作成のポイントがわかる!


顧客満足度調査のテンプレート紹介

SCR.あなたの性別を教えて下さい。

□男性 □女性


SCR.あなたの年齢を教えて下さい。

□20代 □30代 □40代 □50代 □60代


SCR.あなたの居住地を教えて下さい。

□北海道~□沖縄県


SCR.あなたがビールを飲酒する頻度を教えて下さい。

□毎日 □週5~6日 □週3~4日 □週1~2日 □月に2,3日程度 □月に1日程度 □半年に1日程度 □年に1日程度 □それ以下


SCR.あなたがビールを選ぶときに重視している点を教えて下さい。

□価格 □のどごし □キレ味 □こく □香り □アルコール度数 □苦味 □銘柄 □その他


SCR.下記に提示するビールブランドについて知っているものを教えて下さい。

□ブランドA □ブランドB □ブランドC □ブランドD… □知っているブランドはない


SCR.下記に提示するビールブランドについて今までに購入したことがあるものを教えて下さい。

□ブランドA □ブランドB □ブランドC □ブランドD… □購入したことのあるブランドはない


SCR.下記に提示するビールブランドについて1年以内に購入したことがあるものを教えて下さい。

□ブランドA □ブランドB □ブランドC □ブランドD… □1年以内に購入したことのあるブランドはない


Q.下記に提示するビールブランドの総合的な満足度を教えて下さい。

□満足 □やや満足 □どちらでもない □やや不満 □不満


Q.下記に提示するビールブランドについて項目ごとの満足度を教えて下さい。

項目:□味 □香り □値段 □のどごし
選択肢:満足 □やや満足 □どちらでもない □やや不満 □不満


Q.あなたはビールブランドを友人や家族に薦めたいと思いますか。

□0点 □1点 □2点 □3点 □4点 □5点 □6点 □7点 □8点 □9点 □10点


Q.あなたは下記に提示するビールブランドを今後も購入しますか。

項目:□ブランドA □ブランドB □ブランドC
選択肢:満足 □やや満足 □どちらでもない □やや不満 □不満

顧客満足度調査の集計・分析方法

設計時に分析軸を決めておくと良いと前述しましたが、「どのような属性の顧客がどういった評価をしているのか」を知りたい場合は、クロス集計で確認することが出来ます。
また、総合満足度と要素別満足度の関係を重回帰分析でモデル化したり、カテゴリー重視点において人を分類するためにクラスター分析をするなどが考えられます。
分析手法によって、調査票作成時にどんな聞き方(5段階評価にするのか7段階評価にするのかなど)をするのかが変わるため事前に決めておきましょう。

顧客満足度調査の活用方法

市場における自社と競合のポジションを比較

自社のプロダクトやサービスの満足度を調査し、競合の評価と掛け合わせることで、自社が市場の中でどのようなポジションに位置し、どのような評価を受けているかなどを把握することができます。
集計時にはそれぞれの項目を競合と比較することによって、今後伸ばすべきところや、改善するべきところなどを客観的に把握し、改善点の優先順位を付けるなどして有効に活用しましょう。

満足度を高めるための要因を明らかにする

自社のプロダクトやサービスの特徴を細分化させた項目に分けてヒアリングすることで、全体的な満足度に貢献する項目はどのような項目になっているのかを特定することが出来るようになります。
このようにして見えてきた満足度を高めることに貢献する項目に注力してマイナーチェンジを行うことにより、より顧客から愛されるプロダクトやサービスを創出することも期待できるでしょう。

満足しているユーザの特徴を明らかにする

満足度調査を行う際に調査対象となった顧客のデモグラフィックを収集しておくことで、プロダクトやサービスのファンとなっている層はどのあたりになるのかといったことが判明するようになります。よりファン層に刺さるサービスや特長は何なのかを特定し、顧客が離反しづらいビジネスを展開する際のヒントを得ることが出来るでしょう。
また、プロダクトやサービスの特長となる項目を細分化して調査することで、ファンとなる層は何を評価し、どこで満足度が高いのか詳細についても特定出来ます。デモグラフィックと要素間満足度などを掛け合わせることでさらに深堀した分析も可能になりますので、自社プロダクトについて深く知りましょう。

まとめ

自社の商材を成長させるためには、マーケティング上の課題に向き合い常にアップデートをしていくことが必要になります。
課題に対して施策を打つ際に、定量的なデータは次のアクションへ繋げるための判断材料になります。
顧客満足度はマーケティング上重要な指標になりますので、定期的に調査をすることで自社のポジションやターゲット、ニーズなどの実態についても把握しておきましょう。
また、リサーチが初めての場合でも、調査を重ねるごとに新しい発見や課題が出てくるでしょう。
手軽に顧客満足度調査を実施できるセルフ型アンケートツールを使ってまずは小さくリサーチを回していくことからはじめてみませんか?
39 件

関連する記事 こんな記事も人気です♪

年末年始「節約を意識した」人は6割!消費者心理からお金の使い道まで徹底調査

年末年始「節約を意識した」人は6割!消費者心理からお金の使い道まで徹底調査

物価が高騰し値上げラッシュとなった2022年でしたが、年末年始の生活にも影響を及ぼしていたのでしょうか。政府による行動規制がなかった年末年始の過ごし方について、20~69歳の方を対象に調査を実施しました。
大石 | 224 view
2022年クリスマスに関する意識調査を公開!貰って嬉しいプレゼントとは?

2022年クリスマスに関する意識調査を公開!貰って嬉しいプレゼントとは?

セルフでネットリサーチができるSurveroid(サーベロイド)で、15~69歳の方を対象に今年のクリスマスについての調査を実施いたしましたので、調査結果をリリースします。一般消費者がクリスマスをどのように捉えているのか参考になれば幸いです。
大石 | 209 view
顧客満足度の精度を上げる調査方法とは?5段階評価を中心に解説。

顧客満足度の精度を上げる調査方法とは?5段階評価を中心に解説。

今回は、顧客満足度調査を実施するにあたり一般的な5段階評価を中心に、NPSやCESなどのいくつかの調査指標の紹介も交えて解説していきます。
大石 | 8,661 view
ネットリサーチとは?効果的に活用する方法から実施の流れを解説

ネットリサーチとは?効果的に活用する方法から実施の流れを解説

調査手法の中で、紙を使った従来のアンケートより気軽にでき、定量データとして信頼性のある数を簡単に安く集めることのできるネットリサーチについて、調査会社に委託する場合やセルフでする場合の活用シーンや注意点、メリット・デメリットについてご紹介します。
大石 | 195 view
調査事例紹介|メディア運営担当者 生活者の声をアンケートで集めて情報発信

調査事例紹介|メディア運営担当者 生活者の声をアンケートで集めて情報発信

マーケティング活動の一環として、オウンドメディアを保有している企業や個人が増えています。今回は、お役立ちコンテンツの定期的な発信や、調査リリースを出す時などにアンケートから得た結果を使って情報を発信しているサーベロイドユーザー様の調査事例をご紹介いたします。
大石 | 99 view

この記事のキーワード

この記事のキュレーター

Sayuri Sayuri