重回帰分析とは?ビジネスにおける活用シーンや注意点・結果の見方を解説

01 2024.08

データ分析手法

重回帰分析とは?ビジネスにおける活用シーンや注意点・結果の見方を解説

重回帰分析とは?

重回帰分析とは、ある結果(目的変数)を説明・予測するために、2つ以上の関係がある変数(説明変数)を使い数式化する統計手法のことです。
重回帰分析の例

重回帰分析の例

例えば家賃を予測したい時に、駅からの距離や部屋の広さ、築年数を基に予測しようと考えます。

この家賃のことを目的変数、駅からの距離や部屋の広さなど、家賃を決めるのにどれくらい影響があるか、という数値のことを説明変数と言います。
影響する数値を偏回帰係数と呼び、それに切片が組み合わさると家賃が予測できます。

こういう関係を図で表しているものをパス図と呼びます。
数式化すると下記の図のようになります。
家賃の例

家賃の例

説明変数が1つだけの場合は、単回帰分析と言います。
(例)身長と体重など

目的変数が2値の質的変数の場合はロジスティック回帰分析で扱えます
(例)合格、不合格など

回帰分析は統計分析の手法の中で最もよく使われると言われます。

重回帰分析で使うデータ

重回帰分析で使うデータは、目的変数(数量データ)と、説明変数(数量も質的データどちらでもOK)です。
質的データを使用する場合、ダミー変数にして使います。

ビジネスでの利用シーン

結果(目的変数)を関連がある変数を使って予測する

ビジネスでの利用シーン①

ビジネスでの利用シーン①

例えば新店舗の売り上げを広告費や通行量、店員数から予測しようといった時や、取引先のA社からの売り上げがどれくらい上がってくるかということを、提案数や値引率、満足度から予測するといった使い方があります。
これらは図の枠で囲ってある目的変数を予測したい時に利用します。

説明変数がどれくらい効いているかを把握する

ビジネスでの利用シーン②

ビジネスでの利用シーン②

どの要素の満足度が総合満足度に効いているかを確認したり、どういうイメージを持っているとブランドの好感度に影響するかを把握するために使います。
マーケティングリサーチではこちらの方が多く登場します。
重回帰分析の結果の見方

重回帰分析の結果の見方

切片と偏回帰係数を確認する(どういう式になったかを確認)

①どういう式になったか

①どういう式になったか

まず最初にどういう式になったかを確認するために切片と偏回帰係数を見ます
上記の図の枠で囲われた部分です。
重回帰分析のデータの見方②

重回帰分析のデータの見方②

そのデータを、上記の例のように偏回帰係数を式に直します。

回帰式の説明力がどのくらいか

②回帰式の説得力

②回帰式の説得力

次に回帰式の説明力を見るために自由度調整済み決定係数を確認します。

上記の例の場合は枠で囲まれた補正 R2が「0.8090」なので80%となります。
これは相関係数の二乗で求められ、0~1の値になります。
目的変数が説明変数でどれくらい説明ができるかを表しています。

それぞれの説明変数に意味があったか

③それぞれの説明変数に意味があったか

③それぞれの説明変数に意味があったか

最後にそれぞれの説明変数に意味があったかを確認するためP値を見ます
(切片のP値は見なくても大丈夫です)

一般的には10%か5%(0.05)を超えると統計的に意味がない、と言われています。
今回の上記の例だと平均再生数は見なくても大丈夫、ということです。
重回帰分析をする際の注意点

重回帰分析をする際の注意点

どの説明変数が一番効いているかを確認する時は、標準化(平均0、標準偏差1)した「標準偏回帰係数」で!

 (1649)

上記の図だと一見「えばしん出演」の影響が1番大きいように見受けられますが、これは単位が揃っていないからです。
確認するときは必ず単位を揃えましょう。

上記の例も標準化して単位を揃えるとこうなります。
標準化

標準化

回帰分析でわかることは、あくまで変数間の共変性、相関。


必ずしも因果関係そのものとは限りません。
特に説明変数ごとのアクションをするときは注意してください。

その他注意点

以下の注意点に関しては、結果を見るだけの場合はとりあえず理解しなくても大丈夫です。

①説明変数がたくさんあるときの選択方法は、仮説ベースか探索ベース。  
 探索ベースのときはステップワイズ法※が多い。
 ※統計ソフトが一定の基準(AICなど)で自動選択

②説明変数の選択時には多重共線性(マルチコとも言う)※を気にしている。
 ※説明変数同士の相関が強いと、回帰係数の推定が不安定になり、
 偏回帰係数の正負の符号が逆転したりする問題。

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