因子分析とは?活用シーンから結果の見方・注意点をわかりやすく解説

04 2023.12

データ分析手法

因子分析とは?

因子分析とは?

因子分析とは、観測された変数が、背後にある潜在的変数(因子)からどのような影響を受けているかを明らかにし、数多くの観測変数を少数の潜在変数(因子)に分類・集約する分析手法のことです。
上記を簡単にまとめると、たくさんある変数から少ない変数で説明することができる分析手法のことです。

例えば国語や英語、数学や理科などの教科の点数があった時に文系の能力は○点、理系の能力は○点、という風に少ない変数で説明することができるのが因子分析の考え方です。
因子分析の考え方

因子分析の考え方

マーケティング以外にも心理学、社会学、経済学、医学など様々な分野で利用されているポピュラーな分析手法です。

マーケティングリサーチでの利用シーン

因子得点を使ってアンケート回答者のグループ分けをする

先程の教科の例で話すと、英語や国語の得点の方が高いから文系の人、数学や理科の得点が高いから理系の人、というようにグループ分けをするイメージを持っていただければわかりやすいと思います。

例えば、データを比較する際に年代別(20代や30代)などのデモグラフィック情報だけではなく、サービスやコスパなど重視するものによる比較をしたい場合は、因子得点を使うことでサービス重視層やコスパ重視層などグループ分けをした上で分析することができます。
マーケティングリサーチでの利用シーン①

マーケティングリサーチでの利用シーン①

因子得点を使ってクラスター分析をし、その後グループ分けをする、というのがマーケティングリサーチではよくあるシーンです。

たくさんの項目を少ない変数で要約(説明)したい

ブランドのイメージやカテゴリーの重視点、商品の評価やテーマ、満足度などを要約したい場合に使用されます。
単純に要約(説明)するだけではなく、そもそもどういう因子が背後にあって、それがどれくらいそれぞれの項目に影響しているかという構造も明らかにすることができます。
マーケティングリサーチでの利用シーン②

マーケティングリサーチでの利用シーン②

また、応用としては重回帰分析で説明変数を使う時、そのまま説明変数を使用するのではなく因子分析を使って説明変数をまとめ、まとまったもので重回帰分析を行う、という場合もよくあります。
因子分析で使うデータと結果の見方

因子分析で使うデータと結果の見方

使うデータ

使う(使える)データは数量データです。
男性、女性のようなメイン尺度と言われるデータは使えません。
よくある例

よくある例

上記のようなマトリクスシングル形式のデータが利用できます。
これだけに限らず、数量データであれば先程の教科の例のように国語の点数なども利用できます。

結果の見方

まず最初に見ていただくのは、どのような因子が抽出されたのか、という点です。
因子分析の結果①

因子分析の結果①

上記の場合、9個の項目があって3つの因子(商品力、接客力、ブランド力)が抽出されたという結果になっています。
次に因子と質問項目の関係性を確認します。
因子分析の結果②

因子分析の結果②

上記の画像の緑枠で囲われた「因子不可量」を見てください。
枠内の数値のうち、関係性が深いものに色が塗られています。

例えば商品力の場合、
・品揃えがいい
・話題の商品がある
・独自商品が魅力的
という3つの項目となります。

色を塗る基準は調査会社やリサーチャーによって変わってきます。
因子1の商品力はどの項目と関係性が強いか、因子2の接客力はどの項目と関係性が強いか、というように因子と質問項目の関係性を確認することが重要です。

もし余裕があれば因子ごとにどれくらい寄与しているか、という点を確認してもいいかもしれません。
因子分析の結果③

因子分析の結果③

上記図の因子寄与と寄与率で確認します。
因子1がどれくらいこの質問項目のことを説明できているか、というのが寄与率になります。
因子分析をする際の注意点

因子分析をする際の注意点

注意点は4つあります。
因子分析をする上で調査設計は非常に重要ですので参考になれば幸いです。

①因子名は分析者の主観でつけている
分析者が関係性が高い項目を見ながら主観でつけているので、統計ソフトなどで勝手に出てくるものではありません。

②全ての観測変数(質問項目)を使わないことが多い
因子分析をやった結果、複数の項目にまたがって関係性が強い項目だったり、逆に全部の因子に関係性が強くない項目が出てしまったりした場合、それらの項目を外してもう一度因子分析をすることがあります。

③1つの因子を説明するのに最低でも3〜4つの観測変数(質問項目)が必要
因子に関わるものが少ないと因子が出てこないこともあるのでご注意ください。

④サンプル数は観測変数の5〜10倍程度が目安

因子分析で覚えておいたほうがいい用語の説明

共通性:観測変数(質問項目)が共通因子によって説明される程度を表すもの。
因子得点:アンケート回答者ごとに、それぞれの共通因子をどれくらい持っているかを表すもの。

【補足】
調査会社に因子分析を依頼すると、結果に以下のような説明が記載されていることがあります。

“20項目の質問項目を用いて因子分析を行った。
因子の抽出には最尤法を用いた。
因子数はスクリープロットにより判断し4因子とし、プロマックス回転を行った。”


上記は分析のやり方についての説明なので、結果を見るだけの場合は理解しなくても大丈夫です。

▼参考(覚えなくても大丈夫)
・因子の抽出方法:主因子法、最小二乗法、最尤法など
・軸の回転
 -直行回転:バリマックス、クォーティーマックスなど
 -斜交回転:プロマックス回転、直接オブリミンなど
・その他:スクリープロット、初期解など

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