目次
「主成分分析」という言葉を調査結果や論文で目にしたものの、意味や結果の見方がわからず困っていませんか。
主成分分析とは、たくさんの観測変数をより少ない合成変数(主成分)に要約する統計手法です。
この記事では、具体例を交えながら基本的な考え方と、実際に分析結果を受け取ったときの見方、よく似た手法である因子分析との違いをわかりやすく解説します。
主成分分析とは、たくさんの観測変数をより少ない合成変数(主成分)に要約する統計手法です。
この記事では、具体例を交えながら基本的な考え方と、実際に分析結果を受け取ったときの見方、よく似た手法である因子分析との違いをわかりやすく解説します。

主成分分析とは
主成分分析とは、観測された多くの量的な説明変数をより少ない合成変数(主成分)にして要約する手法のことです。
たとえば教科の点数を例にとって話すと、国語の点数や数学の点数のような実際に出ている点数(観測変数といいます)を要約して新しく総合学力、という合成変数を作るやり方を主成分分析と言います。
たとえば教科の点数を例にとって話すと、国語の点数や数学の点数のような実際に出ている点数(観測変数といいます)を要約して新しく総合学力、という合成変数を作るやり方を主成分分析と言います。
ちなみに「4教科の合計点でもいいのでは」と思うかもしれません。しかし合計点では、教科ごとの平均点の差がそのまま結果に影響してしまいます。平均点が高い科目が得意な人が有利になり、公平な比較ができません。
そういったパターンを避けるために主成分分析は利用されます。
主成分分析は幅広い分野(ビジネス、研究開発等)で使用され、近年では、機械学習でも使用されています。
そういったパターンを避けるために主成分分析は利用されます。
主成分分析は幅広い分野(ビジネス、研究開発等)で使用され、近年では、機械学習でも使用されています。
主成分分析の利用シーン
主成分分析は、マーケティングリサーチやデータサイエンスなど、幅広い分野で活用されています。
ここでは代表的な2つの利用シーンを紹介します。
ここでは代表的な2つの利用シーンを紹介します。
マーケティングリサーチでの利用シーン
マーケティングリサーチにおいて、たくさんの項目を少ない変数で要約(説明)したいときに主成分分析を利用します。
たとえば上記の図のように、味の評価について「飲みごたえ」など6つの項目があったとします。それぞれの評価を個別にランキング化することもできますが、項目数が多いと比較が煩雑になります。そこで主成分分析を使ってこれらをまとめ、総合評価のランキングとしたり、ポジショニングマップを作成したりします。
このように主成分分析は、味やブランド、企業の評価を少ない指標で要約したい場面で活用されており、総合評価ランキングやポジショニングマップの作成にも応用できます。
このように主成分分析は、味やブランド、企業の評価を少ない指標で要約したい場面で活用されており、総合評価ランキングやポジショニングマップの作成にも応用できます。
データサイエンスでの利用シーン
データサイエンスでの利用シーンも基本的にはリサーチの時と同じように、たくさんの項目を少ない変数で要約(説明)したいという場面で使います。
たくさんのデータがある場合、そのまま扱うと計算コストが大きくなってしまいます。そこで主成分分析を使って特徴量(データの持つ性質を表す項目)を要約し、データの規模を小さくします。このような方法を次元削減と言います。
ここでの「次元」とは、データが持つ項目(変数)の数のことを指します。項目数が多いほど計算に時間がかかるため、主成分分析によって次元(項目数)を減らし、扱いやすい形にするのです。
ここでの「次元」とは、データが持つ項目(変数)の数のことを指します。項目数が多いほど計算に時間がかかるため、主成分分析によって次元(項目数)を減らし、扱いやすい形にするのです。
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主成分分析の結果の見方
主成分分析を実施すると、調査会社などから分析結果の数表が納品されます。
ここでは、その結果をどのような順番で確認すればよいかを3つのポイントに分けて解説します。
ここでは、その結果をどのような順番で確認すればよいかを3つのポイントに分けて解説します。
①どのような主成分が作成されたかを確認する
主成分分析の結果として、調査会社などから以下のような数表が納品されます。
↓ 主成分名
まず最初に確認するのは、どのような主成分が作成されたかという点です。表の枠で囲っている部分が「主成分名」にあたります。
今回の場合、2つの主成分が算出されており、第1主成分は「総合的な味の良さ」、第2主成分は「爽快さ」と名付けられています。
今回の場合、2つの主成分が算出されており、第1主成分は「総合的な味の良さ」、第2主成分は「爽快さ」と名付けられています。
②主成分と質問項目の関係を確認する
次に確認するのは、主成分と質問項目がどのような関係にあるかという点です。
表の枠で囲われた部分は「主成分負荷量」と呼ばれます。
表の枠で囲われた部分は「主成分負荷量」と呼ばれます。
主成分負荷量
| 調査項目 | 第1主成分 総合的な味の良さ |
第2主成分 爽快さ |
|---|---|---|
| 項目5 後味の良さ | 0.332 | 0.699 |
| 項目4 爽やかさ | 0.423 | 0.795 |
| 項目3 飲みごたえ | 0.790 | -0.121 |
| 項目6 甘味の強さ | 0.215 | -0.586 |
| 項目2 果汁感の強さ | 0.340 | -0.342 |
| 項目1 自然な味 | 0.848 | 0.154 |
| 寄与率(%) | 43.398 | 27.555 |
| 累積寄与率(%) | 43.398 | 70.953 |
今回の場合、第1主成分はすべての質問項目に対してプラスの値になっています。このようにすべての項目がプラスになっている場合は、その主成分を総合的な能力を表すものと判断します。主成分分析を行うと、最初に算出される主成分がこうした総合的な指標になるケースが多く見られます。
一方、第2主成分はプラスとマイナスが混在しています。黄色でハイライトした「後味の良さ」「爽やかさ」の値が大きいことから、この2項目が第2主成分の内容に強く影響していると考えられ、「爽快さ」という名前が付けられています。
一方、第2主成分はプラスとマイナスが混在しています。黄色でハイライトした「後味の良さ」「爽やかさ」の値が大きいことから、この2項目が第2主成分の内容に強く影響していると考えられ、「爽快さ」という名前が付けられています。
③主成分ごとの寄与度を確認する
最後に確認するのは、各主成分がどの程度データを説明できているかという寄与度です。表の枠で囲われた部分をご覧ください。
第1主成分の寄与率は43.398%であり、これは今回のデータのうち約43%の情報を第1主成分だけで説明できることを示しています。
第2主成分の寄与率は27.555%で、両者を合計した累積寄与率は70.953%です。
つまり、第1主成分と第2主成分の2つを合わせることで、元のデータが持つ情報のうち約70%を説明できていることになります。
第2主成分の寄与率は27.555%で、両者を合計した累積寄与率は70.953%です。
つまり、第1主成分と第2主成分の2つを合わせることで、元のデータが持つ情報のうち約70%を説明できていることになります。
主成分分析の注意点
全てのデータに主成分分析が適切なわけではありません。
例えば下記のようなデータは不適切です。
①相関のないデータ
変数同士に関連性がない場合、無理に1つの合成変数にまとめても意味のある解釈ができません。
計算自体は可能ですが、結果を実務に活かすことは難しくなります。
②「総合力」を仮定しない場合
主成分分析は「複数の要素を総合化した1つの軸がある」という前提に立った手法です。
そうした総合軸を仮定しない場合は、共通の背景要因を探る因子分析の方が適していることがあります。
例えば下記のようなデータは不適切です。
①相関のないデータ
変数同士に関連性がない場合、無理に1つの合成変数にまとめても意味のある解釈ができません。
計算自体は可能ですが、結果を実務に活かすことは難しくなります。
②「総合力」を仮定しない場合
主成分分析は「複数の要素を総合化した1つの軸がある」という前提に立った手法です。
そうした総合軸を仮定しない場合は、共通の背景要因を探る因子分析の方が適していることがあります。
分析の際に知っておきたい3つのポイント
・主成分の軸の名前は、分析者が内容を見て主観的に名付けている
・累積寄与率が70〜80%に達するところまでの主成分数を採用することが多い(理論上は観測変数と同数の主成分が算出される)
・観測変数の単位が揃っていない場合は、基準値(標準化)に変換してから分析を行う
・累積寄与率が70〜80%に達するところまでの主成分数を採用することが多い(理論上は観測変数と同数の主成分が算出される)
・観測変数の単位が揃っていない場合は、基準値(標準化)に変換してから分析を行う
主成分分析と因子分析の違い
主成分分析と因子分析は、どちらも複数の要素をまとめて扱う手法ですが、考え方の方向性が異なります。
主成分分析は、複数の観測変数を総合化して新しい軸(主成分)を作る手法です。
一方、因子分析は、観測された結果の背景にある共通因子を推定する手法です。
文字だとわかりにくいので、具体的に教科の点数を例を挙げるとこのようになります。
主成分分析は、複数の観測変数を総合化して新しい軸(主成分)を作る手法です。
一方、因子分析は、観測された結果の背景にある共通因子を推定する手法です。
文字だとわかりにくいので、具体的に教科の点数を例を挙げるとこのようになります。
主成分分析
要因を総合化して
新しい軸(主成分)を作る
因子分析
要因に働きかける
共通因子を抽出する
主成分分析では、国語の点数や英語の点数といった複数の観測変数から、それらを総合化した1つの軸を作ります。これが「主成分」です。
一方、因子分析では、点数という結果の背後に共通の因子が存在し、その因子の影響を受けてテストの結果が現れている、と考えます。
このように、主成分分析と因子分析は矢印の向きが逆であり、一見似た手法に見えても考え方は異なります。
複数の要素を要約し、総合的な指標を作りたいだけであれば、計算がシンプルな主成分分析が適しています。どちらを使うべきか判断に迷う場合は、調査会社に相談することもひとつの方法です。
一方、因子分析では、点数という結果の背後に共通の因子が存在し、その因子の影響を受けてテストの結果が現れている、と考えます。
このように、主成分分析と因子分析は矢印の向きが逆であり、一見似た手法に見えても考え方は異なります。
複数の要素を要約し、総合的な指標を作りたいだけであれば、計算がシンプルな主成分分析が適しています。どちらを使うべきか判断に迷う場合は、調査会社に相談することもひとつの方法です。
まとめ
・主成分分析は、複数の観測変数をより少ない合成変数(主成分)に要約する手法である
・マーケティングリサーチやデータサイエンスなど、幅広い分野で活用されている
・結果を確認する際は「主成分名」「主成分負荷量」「寄与率・累積寄与率」の3点を順に見ていくとよい
・変数間に相関がない場合や、総合軸を仮定しない場合は、因子分析など他の手法が適していることもある
主成分分析の結果を実務に活かすには、まず自社で必要なデータをどのように収集するかを検討することも重要です。
・マーケティングリサーチやデータサイエンスなど、幅広い分野で活用されている
・結果を確認する際は「主成分名」「主成分負荷量」「寄与率・累積寄与率」の3点を順に見ていくとよい
・変数間に相関がない場合や、総合軸を仮定しない場合は、因子分析など他の手法が適していることもある
主成分分析の結果を実務に活かすには、まず自社で必要なデータをどのように収集するかを検討することも重要です。
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