目次
しかし、ただ闇雲に質問を投げかけるだけでは、価値あるインサイトを得ることはできません。
成果を左右するのは、事前の「設計」です。
結論から言うと、ユーザーインタビュー設計で重要なのは以下の3点です。
1. 「何を意思決定したいか」から逆算して目的を決める
2. 属性だけではなく「経験・行動」で対象者を定義する
3. 質問は「仮説検証」ではなく「事実の深掘り」に寄せる
本記事では、この3点を軸に、初心者でも失敗しないユーザーインタビュー設計の手順を、具体例付きで解説します。

ユーザーインタビューとは?
アンケートのように数値で傾向を把握するのではなく、「なぜその行動を取ったのか」「そのとき何を感じていたのか」といった、言葉の背景にある価値観や判断理由を明らかにすることを目的とします。
そのため、ユーザーインタビューは質問内容や進め方によって、得られる情報の質が大きく変わります。
定量調査との違い
定量調査は「どのくらいの人がそう思っているか」といった傾向や規模感を把握するのに適しています。一方、ユーザーインタビューは「なぜそう判断したのか」「どんな背景や迷いがあったのか」といった理由や文脈を深掘りするための手法です。
重要なのは、どちらが優れているかではなく、目的に応じて使い分け、組み合わせることです。
特に新規事業や改善初期のフェーズでは、仮説を立てるためにユーザーインタビューを行い、その後アンケートで検証する、という流れがよく取られます。
| 調査手法 | 目的 | 特徴 |
|---|---|---|
| 定量調査 (アンケートなど) |
実態の把握、仮説の検証 |
数値データで結果を把握できる。 多くの人から回答を得られる。 |
| 定性調査 (インタビューなど) |
仮説の発見、課題の深掘り | 個人の経験や感情など、数値化できない情報を得られる。 |
ユーザーインタビューの種類
事前に決めた質問を、順番通りに全員に同じように尋ねる手法です。回答を比較しやすく、経験が浅い場合でも進行しやすい一方で、想定外の話を深掘りしにくいという特徴があります。
仮説が明確で、確認したい項目が決まっている場合に向いています。
半構造化インタビュー
質問項目やトピックの大枠を用意しつつ、会話の流れに応じて質問を調整する柔軟な手法です。多くのユーザーインタビューで採用されており、初心者にもおすすめの形式です。
設計したガイドを軸にしながら深掘りできるため、インサイトの質と進行の安定性を両立できます。
非構造化インタビュー
大まかなテーマのみを決め、自由な会話の中で情報を引き出す手法です。予期せぬ発見が生まれやすい反面、話が脱線しやすく、インタビュアーのスキルに結果が大きく左右されます。
明確な目的や仮説がない初期探索フェーズで、経験者が行う場合に向いています。

なぜ今ユーザーインタビューの「設計」が重要なのか?
顧客の潜在的ニーズを把握するため
開発の方向性の手戻りを防ぐため

ユーザーインタビュー設計の全体像
▼関連記事
インタビュー調査とは?種類やメリット・デメリット、手順を事例付きで解説
手順1:目的を明確にする
手順2:対象者(聞くべき人)の選定
手順3:質問項目の設計
また、質問は“仮説を当てにいく”より、“事実を掘る”設計に寄せます。過去の具体的な行動を起点にし、「なぜ?」を重ねて背景の価値観まで掘り下げます。テーマを決めて自由に話すような手法をとらない場合は、話が飛び散らないようにテーマごとにグルーピングしインタビューガイド(進行表)に落とし込みます。
手順4:インタビューの実施
手順5:分析とレポーティング
▼関連記事
インタビュー調査の分析方法を徹底解説|手順・整理のコツ・伝わるレポートの作り方まで

ユーザーインタビュー設計の具体的な手順
結論として、設計の質は「目的→対象者→質問」の順番で決まります。最初にここを固めるほど、当日の深掘りも分析もラクになります。
Step1:目的とゴールを設定する
目的が抽象的だと質問が増え、時間内に深掘りできません。おすすめは、下の4点をセットで整理して、関係者と合意することです。
・現状の課題:何が問題で、どこが分からないのか
・インタビューの目的:何を明らかにしたいのか
・明らかにしたいこと(論点):当日必ず持ち帰る論点は何か
・活用方法:誰が、どんな意思決定に使うのか
(例)
・現状の課題:問い合わせが伸び悩むが原因が不明
・目的:サイト利用実態を把握し、改善の示唆を得る
・論点:どの情報が探しにくい?離脱理由は?比較は何としている?
・活用:コンテンツ改善/UI改修の施策立案に使う
ポイントは「聞きたいこと」ではなく「決めたいこと」から逆算することです。
Step2:インタビュー対象者の条件を決める
年齢・性別などの属性だけで決めると、目的に刺さらない“一般論”が集まりやすくなります。おすすめは「経験・行動」を条件にすることです。
(例)
・直近3ヶ月以内に比較検討した経験がある
・競合Aではなく自社Bを選んだ
・無料トライアルで離脱した/解約した
・特定機能を使っていない(使う理由がない)
さらに精度を上げるなら、“聞きたい論点に直結する場面”を条件に入れます(例:購入決定時に誰と相談したか、社内稟議があるか等)。
Step3:実施人数と構成(誰を何人に聞くか)を決める
・探索(仮説づくり):まずは少人数(5〜8人)でOK
・比較(セグメント差を見る):属性や行動別に各5人など設計が必要
・異なる立場を拾う:ヘビーユーザー/ライトユーザー/離脱者を混ぜる
「全員を同じ人にする」より、目的に合わせて“聞くべきタイプを分ける”ほうが失敗しにくいです。
Step4:聞きたいことを洗い出す(論点→情報→質問の順)
コツは、いきなり質問文を作らず、まずは論点レベルで出すことです。
(例:問い合わせが伸びない原因を知りたい場合)
・どんな目的でサイトに来た?(来訪の文脈)
・何を探した?どこで詰まった?(行動ログの補完)
・何と比較した?(競合・代替手段)
・何が不安で問い合わせしなかった?(障壁)
この段階はブレストでOK。順番や言い回しは気にせず、抜け漏れなく材料を集めます。
Step5:質問をグルーピングして構造化する(インタビューの流れを作る)
いきなり核心を聞くと警戒されるので、基本は「事実→判断→感情→背景」の順に深掘りするのが安全です。
(よく使う構造例)
1.背景・状況(どんな人で、どんな場面だったか)
2.具体的行動(何をしたか:検索、比較、検討、利用など)
3.判断ポイント(なぜそうしたか:決め手、迷い、障壁)
4.感情・価値観(何が嬉しい/嫌だったか、理想は何か)
5.まとめ(改善してほしい点、優先度、最後に言い残したこと)
この構造にすると話が散らばりにくく、分析もしやすくなります。
Step6:インタビューガイドを作成する(当日の進行表に落とす)
入れておきたい項目
・冒頭の説明(目的/所要時間/録音の同意/守秘)
・アイスブレイク(雑談テーマ)
・質問(順番・優先度・深掘りの追い質問)
・時間配分(各ブロックの目安)
・メモ欄(気づき・仮説・追加で聞きたいこと)
質問文は「Yes/No」にならないよう、基本はオープンにします。
加えて、仮説の当てっこではなく、過去の具体的な行動を起点にする質問に寄せると、事実ベースのインサイトが出やすくなります。

良質なインサイトを引き出す質問のコツ
▼関連記事
インタビューの質問作成完全ガイド!目的別に使える質問例120選も紹介
オープンエンドな質問を優先する
過去の具体的な行動について質問する
誘導的な質問を避ける
言葉以外のサインにも注目する

ユーザーインタビュー設計で見落とされがちなポイント
ここでは、質問設計とあわせて押さえておきたい、見落とされがちな設計ポイントを解説します。
実施形式(オンライン/対面)の違いと設計の考え方
オンラインインタビューは、場所を選ばず多様なユーザーに話を聞ける点がメリットです。一方で、表情や空気感が伝わりにくいため、質問はより具体的にし、言葉で状況を補足してもらう設計が求められます。
対面インタビューは、非言語情報を捉えやすく、深い話を引き出しやすいのが特徴です。その反面、準備や移動のコストがかかるため、実施環境や座席配置など、ユーザーが話しやすい場づくりまで含めて設計する視点が必要になります。
録音・録画の有無と、事前に決めておくべき注意点
必ず事前に、記録の目的と利用範囲を説明し、同意を得ましょう。「後から正確に分析するため」「社内での検討にのみ使用する」と明確に伝えることが大切です。
録画を行う場合は、カメラの位置や画角にも注意します。顔が強調されすぎないよう配慮することで、余計な緊張を与えず、安心して話してもらいやすくなります。
同席者(観察者・上司・開発メンバー)が与える影響
そのため、質問する役割は1人に絞り、他のメンバーは観察に徹するなど、役割分担を事前に決めておくことが重要です。オンラインの場合は、カメラ・マイクをオフにするのも有効です。
また、同席者からの質問は事前に集め、当日の思いつきで割り込まないルールを設けることで、ユーザーに安心感を与えられます。
インタビュアーの立ち位置と話し方の設計
また、相づちやリアクションにも注意が必要です。同意しすぎると誘導になりやすいため、「なるほど」と受け止めつつ、中立的に深掘りする姿勢が求められます。
話し方や立ち位置も設計の一部と捉え、安心して話せる関係性を作ることが重要です。
-
設計から実施・集計まで一気通貫サービス内容を確認する
-
1万円からリサーチ可能低コストで調査を始める

ユーザーインタビューでよくある失敗例と対策
目的が曖昧なまま進めてしまう
対策:事前に「このインタビューで何を明らかにするのか」というゴールを明確にし、関係者間で合意形成しておくことが不可欠です。
対象者の選定を間違えてしまう
対策:目的にもとづき、「誰に聞くべきか」を慎重に検討します。あえて利用頻度が低いユーザーや、解約してしまった元ユーザーに話を聞くことで、重要な発見がある場合もあります。
インタビュアーが話しすぎてしまう
対策:インタビューの主役はあくまでユーザーです。インタビュアーは「聞く」ことに徹し、会話の8割はユーザーが話している状態を目指しましょう。沈黙を恐れず、ユーザーが自分の考えをまとめるための「間」を大切にすることも重要です。
よくある質問
何人にインタビューすればいいですか?目安はありますか?
目的によって変わりますが、一般的には5〜6人程度でインタビューを重ねると似た回答が繰り返される「飽和」が見え始め、探索目的であれば十分な材料が得られることが多いです。属性やセグメントごとの差を見たい場合は各5人程度、異なる立場の声を拾いたい場合はヘビーユーザー・ライトユーザー・離脱者などを混在させて設計するとよいでしょう。
構造化・半構造化・非構造化インタビューは、どう選べばよいですか?
仮説が明確で確認したい項目が決まっている場合は構造化インタビュー、柔軟性とインサイトの質を両立させたい場合は半構造化インタビューがおすすめです。半構造化は多くのユーザーインタビューで採用されており、初心者にも向いています。非構造化インタビューは、明確な仮説がない初期探索フェーズで、経験豊富なインタビュアーが行う場合に適しています。
質問を作る際、「もし〜だったら」という仮説を確認する聞き方はよくないのでしょうか?
仮説ベースの質問はユーザーの想像で語られるため、信頼性が高くありません。「前回〇〇した時、どのように感じましたか」のように、過去の具体的な行動を起点にした質問にすることで、事実に基づいたリアルな回答を引き出しやすくなります。
オンラインと対面、どちらの形式を選ぶべきですか?
オンラインは場所を選ばず多様なユーザーに話を聞けるのが強みですが、表情や空気感が伝わりにくいため質問をより具体的にする工夫が必要です。対面は非言語情報を捉えやすく深い話を引き出しやすい一方、準備や移動のコストがかかります。どちらが優れているというものではなく、目的や対象者の特性に応じて選び、形式に合わせた設計をすることが大切です。
インタビューに上司や開発メンバーが同席しても問題ないですか?
同席自体が悪いわけではありませんが、開発担当者や上司が同席すると、ユーザーが遠慮して本音を話しにくくなる場合があります。質問する役割は1人に絞り、他のメンバーは観察に徹する、同席者からの質問は事前に集めて当日は割り込まないなど、役割分担を事前に決めておくと安心して話してもらいやすくなります。
インタビューガイドには、質問文以外に何を用意しておくとよいですか?
質問文だけでなく、冒頭の説明(目的・所要時間・録音の同意・守秘)、アイスブレイクのテーマ、質問の順番・優先度・深掘りの追い質問、時間配分の目安、気づきを書き込むメモ欄までセットで用意しておくと、当日の進行がスムーズになり、聞き漏れも防げます。
まとめ
セルフ型ネットリサーチツール「Surveroid」のご紹介
「Surveroid(サーベロイド)」は、アンケート調査からインタビュー調査まで1つのツールで完結ができるセルフ型のリサーチサービスです。
『アンケートの作成~配信~集計』をご自身で実施することができ、意思決定のためのデータをスピーディーに取得することができます。市場調査や、新商品のニーズの掘り出しを目的とした調査など、定量と定性の両面から調査をご実施いただけますので、ご興味のある方はぜひお問い合わせください。
◆こんな方におすすめ◆
・自社でスピーディーに市場調査を行いたい
・初めて調査を実施するので、設計から結果確認まで一括で完結したい
・定量・定性の両方を低コストで試したい



