【失敗しない】ユーザーインタビュー設計のやり方|目的設定から質問設計まで完全ガイド

06 2026.01

インタビュー調査

目次

ユーザーインタビューは、サービス開発や改善の過程でユーザーの生の声を聞き、本質的なニーズや課題を探るための重要な手法です。
しかし、ただ闇雲に質問を投げかけるだけでは、価値あるインサイトを得ることはできません。
成果を左右するのは、事前の「設計」です。

結論から言うと、ユーザーインタビュー設計で重要なのは以下の3点です。
1. 「何を意思決定したいか」から逆算して目的を決める  
2. 属性だけではなく「経験・行動」で対象者を定義する  
3. 質問は「仮説検証」ではなく「事実の深掘り」に寄せる  

本記事では、この3点を軸に、初心者でも失敗しないユーザーインタビュー設計の手順を、具体例付きで解説します。
【失敗しない】ユーザーインタビュー設計のやり方|目的設定から質問設計まで完全ガイド

ユーザーインタビューとは?

ユーザーインタビューとは、製品やサービスを利用している、または利用する可能性のあるユーザーに対して、対話を通じて体験や考え方を深く掘り下げる定性調査の手法です。
アンケートのように数値で傾向を把握するのではなく、「なぜその行動を取ったのか」「そのとき何を感じていたのか」といった、言葉の背景にある価値観や判断理由を明らかにすることを目的とします。
そのため、ユーザーインタビューは質問内容や進め方によって、得られる情報の質が大きく変わります。

定量調査との違い

ユーザーインタビュー(定性調査)とアンケート(定量調査)は、目的と役割が異なります。

定量調査は「どのくらいの人がそう思っているか」といった傾向や規模感を把握するのに適しています。一方、ユーザーインタビューは「なぜそう判断したのか」「どんな背景や迷いがあったのか」といった理由や文脈を深掘りするための手法です。
重要なのは、どちらが優れているかではなく、目的に応じて使い分け、組み合わせることです。
特に新規事業や改善初期のフェーズでは、仮説を立てるためにユーザーインタビューを行い、その後アンケートで検証する、という流れがよく取られます。
調査手法 目的 特徴
定量調査
(アンケートなど)
実態の把握、仮説の検証 数値データで結果を把握できる。
多くの人から回答を得られる。
定性調査
(インタビューなど)
仮説の発見、課題の深掘り 個人の経験や感情など、数値化できない情報を得られる。
両者は対立するものではなく、目的応じて使い分けたり、組み合わせたりすることで、より深くユーザーを理解できます。

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「定量」と「定性」の違い

ユーザーインタビューの種類

ユーザーインタビューは、質問の自由度によって大きく3つの種類に分けられます。それぞれの特徴を理解し、目的に合った手法を選択することが重要です。
構造化インタビュー
事前に決めた質問を、順番通りに全員に同じように尋ねる手法です。回答を比較しやすく、経験が浅い場合でも進行しやすい一方で、想定外の話を深掘りしにくいという特徴があります。
仮説が明確で、確認したい項目が決まっている場合に向いています。

半構造化インタビュー
質問項目やトピックの大枠を用意しつつ、会話の流れに応じて質問を調整する柔軟な手法です。多くのユーザーインタビューで採用されており、初心者にもおすすめの形式です。
設計したガイドを軸にしながら深掘りできるため、インサイトの質と進行の安定性を両立できます。

非構造化インタビュー
大まかなテーマのみを決め、自由な会話の中で情報を引き出す手法です。予期せぬ発見が生まれやすい反面、話が脱線しやすく、インタビュアーのスキルに結果が大きく左右されます。
明確な目的や仮説がない初期探索フェーズで、経験者が行う場合に向いています。
なぜ今ユーザーインタビューの「設計」が重要なのか?

なぜ今ユーザーインタビューの「設計」が重要なのか?

思いつきでユーザーインタビューを実施しても、得られる情報は少なく、時間とコストを無駄にしてしまう可能性があります。事前にしっかりと「設計」を行うことで、インタビューの価値を最大限に高めることができます。

顧客の潜在的ニーズを把握するため

ユーザー自身も言葉にできていない「潜在的なニーズ」を発見できることが、ユーザーインタビューの大きな価値です。ユーザーの過去の経験や行動について丁寧に質問を重ねることで、データだけでは見えてこない、プロダクト改善の重要なヒントが見つかります。適切な設計は、この深掘りを可能にするための羅針盤となります。

開発の方向性の手戻りを防ぐため

作り手の思い込みや仮説だけで開発を進めてしまうと、完成後に「ユーザーが求めていたものと違った」という事態に陥りがちです。開発の初期段階でユーザーインタビューを行うことで、ユーザーの真の課題を捉え、開発の方向性を定めることができます。これにより、無駄な開発コストや手戻りを防ぎ、効率的なプロダクト開発を実現します。
ユーザーインタビュー設計の全体像

ユーザーインタビュー設計の全体像

ユーザーインタビューは、思いつきで進めると「聞いたけど使えない情報」になりがちです。設計〜実施〜分析までをあらかじめ5ステップで捉えると、抜け漏れなく準備でき、チームにも説明しやすくなります。ここではまず全体像を押さえたうえで、次章で「設計(準備)」を具体化していきます。

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手順1:目的を明確にする

まず、「このインタビューで何を知りたいのか」「得た情報をどう活用するのか」という目的を明確にします。目的が曖昧だと、聞くべきことがぼやけてしまい、結果的に有益な情報を得られません。

手順2:対象者(聞くべき人)の選定

次に、設定した目的に対して、最も適切な情報を提供してくれるのはどのようなユーザーかを考え、対象者の条件を定義します。たとえば「直近3ヶ月で比較検討した人」「解約経験がある人」など、年齢や性別といった属性だけでなく、「特定の行動をしたことがある人」など、具体的な条件を設定することが重要です。誰に聞くかで得られる情報の質が決まります。

手順3:質問項目の設計

目的と対象者が決まったら、具体的な質問項目を作成します。ユーザーが答えやすく、かつ深いインサイトを引き出せるような質問を設計することが、インタビューの成否を分けます。
また、質問は“仮説を当てにいく”より、“事実を掘る”設計に寄せます。過去の具体的な行動を起点にし、「なぜ?」を重ねて背景の価値観まで掘り下げます。テーマを決めて自由に話すような手法をとらない場合は、話が飛び散らないようにテーマごとにグルーピングしインタビューガイド(進行表)に落とし込みます。

手順4:インタビューの実施

当日はユーザーが話しやすい空気を作り、インタビュアーは“聞く役”に徹します。誘導的な言い方を避け、相手の言葉を受け止めながら深掘りします。沈黙を恐れず、考える時間を渡すのも重要です。録音・メモ体制など、実施オペレーションも事前に整えます。

手順5:分析とレポーティング

インタビューで得られた音声データやメモを元に、内容を整理・分析します。発言の事実だけでなく、その背景にある感情や価値観を読み解き、サービス改善に繋がるインサイトを抽出してレポートにまとめます。

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インタビュー調査の分析方法を徹底解説|手順・整理のコツ・伝わるレポートの作り方まで
ユーザーインタビュー設計の具体的な手順

ユーザーインタビュー設計の具体的な手順

ここからは、上の全体像のうち「設計(準備)」にあたる部分を、Step1〜6に分解して解説します。
結論として、設計の質は「目的→対象者→質問」の順番で決まります。最初にここを固めるほど、当日の深掘りも分析もラクになります。

Step1:目的とゴールを設定する

まずは「このインタビューで何を決めたいのか」を1文で言える状態にします。
目的が抽象的だと質問が増え、時間内に深掘りできません。おすすめは、下の4点をセットで整理して、関係者と合意することです。

・現状の課題:何が問題で、どこが分からないのか
・インタビューの目的:何を明らかにしたいのか
・明らかにしたいこと(論点):当日必ず持ち帰る論点は何か
・活用方法:誰が、どんな意思決定に使うのか

(例)
・現状の課題:問い合わせが伸び悩むが原因が不明
・目的:サイト利用実態を把握し、改善の示唆を得る
・論点:どの情報が探しにくい?離脱理由は?比較は何としている?
・活用:コンテンツ改善/UI改修の施策立案に使う

ポイントは「聞きたいこと」ではなく「決めたいこと」から逆算することです。

Step2:インタビュー対象者の条件を決める

次に、「その目的に対して一番いい情報を持っているのは誰か」を定義します。
年齢・性別などの属性だけで決めると、目的に刺さらない“一般論”が集まりやすくなります。おすすめは「経験・行動」を条件にすることです。

(例)
・直近3ヶ月以内に比較検討した経験がある
・競合Aではなく自社Bを選んだ
・無料トライアルで離脱した/解約した
・特定機能を使っていない(使う理由がない)

さらに精度を上げるなら、“聞きたい論点に直結する場面”を条件に入れます(例:購入決定時に誰と相談したか、社内稟議があるか等)。

Step3:実施人数と構成(誰を何人に聞くか)を決める

人数に正解はありませんが、一般に5〜6人程度で、似た話が繰り返され始め(飽和)、大きな論点が見えやすくなります。とはいえ目的次第で適正は変わります。

・探索(仮説づくり):まずは少人数(5〜8人)でOK
・比較(セグメント差を見る):属性や行動別に各5人など設計が必要
・異なる立場を拾う:ヘビーユーザー/ライトユーザー/離脱者を混ぜる

「全員を同じ人にする」より、目的に合わせて“聞くべきタイプを分ける”ほうが失敗しにくいです。

Step4:聞きたいことを洗い出す(論点→情報→質問の順)

次に、目的を達成するために必要な情報を洗い出します。
コツは、いきなり質問文を作らず、まずは論点レベルで出すことです。

(例:問い合わせが伸びない原因を知りたい場合)
・どんな目的でサイトに来た?(来訪の文脈)
・何を探した?どこで詰まった?(行動ログの補完)
・何と比較した?(競合・代替手段)
・何が不安で問い合わせしなかった?(障壁)

この段階はブレストでOK。順番や言い回しは気にせず、抜け漏れなく材料を集めます。

Step5:質問をグルーピングして構造化する(インタビューの流れを作る)

洗い出した内容を、テーマごとにまとめて“ストーリー”にします。
いきなり核心を聞くと警戒されるので、基本は「事実→判断→感情→背景」の順に深掘りするのが安全です。

(よく使う構造例)
1.背景・状況(どんな人で、どんな場面だったか)
2.具体的行動(何をしたか:検索、比較、検討、利用など)
3.判断ポイント(なぜそうしたか:決め手、迷い、障壁)
4.感情・価値観(何が嬉しい/嫌だったか、理想は何か)
5.まとめ(改善してほしい点、優先度、最後に言い残したこと)

この構造にすると話が散らばりにくく、分析もしやすくなります。

Step6:インタビューガイドを作成する(当日の進行表に落とす)

最後に、構造化した内容を“当日使える形”にします。インタビューガイドには質問文だけでなく、運用に必要な情報も入れると失敗しにくいです。

入れておきたい項目
・冒頭の説明(目的/所要時間/録音の同意/守秘)
・アイスブレイク(雑談テーマ)
・質問(順番・優先度・深掘りの追い質問)
・時間配分(各ブロックの目安)
・メモ欄(気づき・仮説・追加で聞きたいこと)

質問文は「Yes/No」にならないよう、基本はオープンにします。
加えて、仮説の当てっこではなく、過去の具体的な行動を起点にする質問に寄せると、事実ベースのインサイトが出やすくなります。
良質なインサイトを引き出す質問のコツ

良質なインサイトを引き出す質問のコツ

設計した質問をただ投げかけるだけでは、ユーザーの表面的な意見しか引き出せないことがあります。ここでは、より深いインサイトを得るための質問のコツを紹介します。

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インタビューの質問作成完全ガイド!目的別に使える質問例120選も紹介

オープンエンドな質問を優先する

「はい/いいえ」で答えられるクローズドな質問ではなく、「それについて、もう少し詳しく教えてください」のように、相手が自由に話せるオープンエンドな質問を心がけましょう。これにより、こちらが想定していなかった事実や感情が明らかになることがあります。

過去の具体的な行動について質問する

「もし〜だったらどうしますか?」といった仮説の質問は、ユーザーの想像で語られるため、信頼性が高くありません。「前回、〇〇した時はどのように感じましたか?」のように、過去の具体的な経験について尋ねることで、より事実に基づいたリアルな回答を引き出すことができます。

誘導的な質問を避ける

「この機能は便利ですよね?」のように、同意を求めるような質問は、ユーザーにバイアスを与えてしまい、本音を引き出せなくなります。こちらの仮説や期待を押し付けず、あくまで中立的な立場で「この機能について、どう思いますか?」と尋ねることが重要です。

言葉以外のサインにも注目する

ユーザーが話す内容だけでなく、表情や声のトーン、仕草といった非言語的な情報も重要なヒントです。何か言いにくそうにしている、特定の話題で表情が曇るなど、言葉と態度の間に矛盾を感じたら、「今、何か気になった点はありましたか?」と尋ねてみることで、本音を引き出せる場合があります。
ユーザーインタビュー設計で見落とされがちなポイント

ユーザーインタビュー設計で見落とされがちなポイント

ここまで質問設計を中心に解説してきましたが、実はユーザーインタビューの成否は「質問以外の設計」で決まるケースも少なくありません。
ここでは、質問設計とあわせて押さえておきたい、見落とされがちな設計ポイントを解説します。

実施形式(オンライン/対面)の違いと設計の考え方

ユーザーインタビューは、オンラインか対面かによって設計の考え方が変わります。どちらが正解というわけではなく、目的に応じて選ぶことが重要です。

オンラインインタビューは、場所を選ばず多様なユーザーに話を聞ける点がメリットです。一方で、表情や空気感が伝わりにくいため、質問はより具体的にし、言葉で状況を補足してもらう設計が求められます。
対面インタビューは、非言語情報を捉えやすく、深い話を引き出しやすいのが特徴です。その反面、準備や移動のコストがかかるため、実施環境や座席配置など、ユーザーが話しやすい場づくりまで含めて設計する視点が必要になります。

録音・録画の有無と、事前に決めておくべき注意点

インタビュー内容を正確に振り返るために、録音・録画は有効な手段です。ただし、設計段階で配慮を欠くと、ユーザーが本音を話しにくくなる可能性があります。
必ず事前に、記録の目的と利用範囲を説明し、同意を得ましょう。「後から正確に分析するため」「社内での検討にのみ使用する」と明確に伝えることが大切です。
録画を行う場合は、カメラの位置や画角にも注意します。顔が強調されすぎないよう配慮することで、余計な緊張を与えず、安心して話してもらいやすくなります。

同席者(観察者・上司・開発メンバー)が与える影響

インタビューに誰が同席するかは、ユーザーの発言内容に大きく影響します。特に、開発担当者や上司がいると、ユーザーが遠慮して本音を控えてしまうケースもあります。

そのため、質問する役割は1人に絞り、他のメンバーは観察に徹するなど、役割分担を事前に決めておくことが重要です。オンラインの場合は、カメラ・マイクをオフにするのも有効です。

また、同席者からの質問は事前に集め、当日の思いつきで割り込まないルールを設けることで、ユーザーに安心感を与えられます。

インタビュアーの立ち位置と話し方の設計

インタビュアーは、説明者や評価者ではなく、「体験を聞かせてもらう聞き手」であることを意識する必要があります。自社サービスの補足説明や弁解は、ユーザーの本音を遠ざけてしまいます。
また、相づちやリアクションにも注意が必要です。同意しすぎると誘導になりやすいため、「なるほど」と受け止めつつ、中立的に深掘りする姿勢が求められます。
話し方や立ち位置も設計の一部と捉え、安心して話せる関係性を作ることが重要です。
ユーザーインタビューでよくある失敗例と対策

ユーザーインタビューでよくある失敗例と対策

最後に、ユーザーインタビューで陥りがちな失敗とその対策について解説します。事前に知っておくことで、同じような失敗を避けられます。

目的が曖昧なまま進めてしまう

失敗例:「とりあえずユーザーの声を聞いてみよう」と、目的が曖昧なままインタビューを実施。雑談に終始してしまい、結局何が分かったのか分からないまま終わってしまった。

対策:事前に「このインタビューで何を明らかにするのか」というゴールを明確にし、関係者間で合意形成しておくことが不可欠です。

対象者の選定を間違えてしまう

失敗例:サービスのヘビーユーザーにのみインタビューを実施。ポジティブな意見ばかりが集まり、サービスが抱える本質的な課題が見えなかった。

対策:目的にもとづき、「誰に聞くべきか」を慎重に検討します。あえて利用頻度が低いユーザーや、解約してしまった元ユーザーに話を聞くことで、重要な発見がある場合もあります。

インタビュアーが話しすぎてしまう

失敗例:インタビュアーが自社サービスの紹介や説明を長くしてしまい、ユーザーが話す時間が少なくなってしまった。

対策:インタビューの主役はあくまでユーザーです。インタビュアーは「聞く」ことに徹し、会話の8割はユーザーが話している状態を目指しましょう。沈黙を恐れず、ユーザーが自分の考えをまとめるための「間」を大切にすることも重要です。

まとめ

ユーザーインタビューの設計は、価値あるインサイトを引き出し、プロダクトやサービスを成功に導くための重要なプロセスです。目的を明確にし、適切な対象者を選び、練り上げられた質問を用意することで、インタビューの質は格段に向上します。本記事で紹介した手順とコツを参考に、ぜひ実践的なインタビュー設計に取り組んでみてください。

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ここまで設計の重要性を解説してきましたが、実務では「設計した後、どうやって実行するか」でつまずくケースも少なくありません。

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