D.I.Y.リサーチ入門(16)

01 2024.02

DIYリサーチ

D.I.Y.リサーチ入門(16)
D.I.Y.リサーチのためのツール紹介を、アンケート画面作成~対象者の抽出・配信・回収~データ処理・集計と長々としてきましたが、最後に、リサーチ結果のレポート作成について簡単に触れておきたいと思います。

リサーチ結果のレポートは、そのレポート/プレゼンテーションを見る人や、レポートの使い方に合わせて自由に作ればよいのですが、一般的に記載することについて少しだけ説明します。

レポートは、おおざっぱにいうと、次の3つの要素からなっています。
1.    リサーチがどう行われたかの説明(調査概要)
2.    リサーチ結果の記述
3.    リサーチ結果の解釈

1.リサーチがどう行われたかの説明(調査概要)

「1.    調査概要」には、調査の目的と調査方法について記載します。

調査の目的」には、調べたことと、何のために調べたかを書けばよく、簡単な例をあげれば「新商品アイデアについて、今後予算を組んで開発を進めるかどうかを決めるために、消費者のそのアイデアに対する反応を明らかにする」などとなります。「・・・決めるために」までの部分が「何のために調べたか」で、「消費者の・・・反応」が「調べたこと」、というわけです。

調査方法」は、どうやって調べたかということで、結果を理解・解釈するために必要な情報です。一般に、次のことがらを記載します。

・調査対象
・調査地域
・標本サイズ
・標本抽出法
・調査方法
・調査時期

調査対象」は、基本的には、アンケートに答えてもらった人の条件です。「週1回以上コンビニを利用する20~49歳の人」などと書きます。

「基本的には」としたのは、調査対象が人(個人)とは限らないことがあるからで、調査対象は世帯であったり、会社であったり、実態調査などの場合には物であったりします。集合住宅における固定電話の設置率についてアンケートで調べたい場合、調査対象は一義的には「集合住宅」となります。マンションやアパートに住んでいる人へのアンケートを通じて設置の有無を調べる、というわけです。

調査地域」は文字通り調査した地理的範囲です。

標本サイズ」「標本抽出法」は、D.I.Y.リサーチの様々なケースを想定しますと、以前説明した「リストがある場合」「ない場合」の2つに場合分けしてください。

リストがある場合は、次のように考えます。
例えば「10000人の顧客リストがあり、その中からランダムに1000人を選び出してアンケートの協力依頼をした。その結果500人がアンケートに答えた」とすると、
標本サイズ 1,000人
有効回収数 500人(回収率50%)
標本抽出法 顧客リストより無作為抽出

リストがない場合、多くのケースでリサーチ会社のパネルを利用すると思いますが、このとき、たいていは「1000人集めてください」というような依頼形態になると思います。そして、リサーチ会社からは実際何人に依頼したのかの報告はないことが多いと思います。ばあいによると、尋ねてもはっきりわからないこともあるかもしれません(その会社のパネルの構築方法によっては)。この場合は、単に
標本サイズ 1,000人
標本抽出法 〇社のパネルより抽出

と書けばよいです。パネルを使う場合、たいてい性・年代などの割付をすることが多いと思うので、その場合標本抽出法には「割当法」とか「クオータサンプリング」と書いても良いです。

調査方法」には、「インターネット調査」とか、「オンライン調査」などと記載します。

「調査時期」は、年月日を記載します。例えば、このような感じです。
調査時期 2020年11月10日~11月12日

上記のほか、どんな人が実際回答したかという情報を「調査概要」に記載することもあります。どんな人が答えたかということも結果を理解・解釈するために必要な情報の一つだからです。例えば、こんな感じになります。

回答者の基本情報(プロフィール)
性別 男性 55% 女性 45%
年代 20代 25% 30代 32% 40代 43%
職業 会社員 55% 自営業 10% 学生 5% 無職・家事専業 30%

「調査概要」には以上のような情報を簡単に書けばよいです。

次回は、リサーチ結果の記述と解釈、レポーティングツールについてご紹介します。
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