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最小二乗法とは?意味・計算の仕組み・エクセルでの求め方を初心者向けに解説

24 2026.06

統計学

データ分析や需要予測の資料で「最小二乗法」という言葉を目にしたものの、仕組みやエクセルでの使い方がわからず困っていませんか。
最小二乗法とは、バラバラなデータに最も当てはまる直線を数学的に導き出す計算手法です。売上予測や品質管理など、ビジネスの現場で広く使われています。

この記事では以下の内容を、統計の専門知識がない方にもわかるよう解説します。
・最小二乗法の意味と、誤差を二乗する理由
・回帰分析との違い
・エクセルで直線を求める具体的な手順
・実際の企業での活用事例

読み終わると、最小二乗法の仕組みを同僚に説明できるレベルで理解し、エクセルを使った予測を自分で実行できるようになります。
最小二乗法とは?意味・計算の仕組み・エクセルでの求め方を初心者向けに解説

最小二乗法とは何か

最小二乗法は、製造業やマーケティング、金融など、数値データを扱うあらゆるビジネス場面で活用されており、精度の高い予測や客観的な意思決定を支える土台として広く普及しています。まずは基本的な仕組みを正しく理解することが、実務への応用につながります。

データに一番当てはまる直線を導き出す手法

最小二乗法とは、バラバラな観測データから「最も当てはまる直線(回帰直線)」を数学的に求める計算手法です。実測値と予測値のズレである誤差を算出し、その二乗和が最小になる直線の傾きと切片を導き出します。
このようにして求められた直線を活用することで、未知のデータへの予測が可能になるのです。たとえば気温と売上の関係を式で表せれば、明日の気温情報をもとに売上を精度高く見積もれるようになります。

誤差の二乗和を最小化する理由

実測値と直線のズレである誤差を、あえて二乗してから足し合わせるのには重要な理由があります。
誤差にはプラスの方向とマイナスの方向のズレが存在するため、そのまま足し合わせると互いに打ち消し合ってしまい、正しい誤差の大きさを測ることができません。そのため、数値を二乗してすべてプラスの値に変換してから合計し、その値が最小になるポイントを探す仕組みになっています。
ただし、二乗する特性上、極端に離れた外れ値の影響を大きく受けてしまう点には注意が必要です。

最小二乗法を活用する具体的な場面

最小二乗法は、業界や職種を問わず、売上の予測から品質の管理まで幅広い課題解決に役立てられています。
以下の表では、代表的な活用業界とその目的・期待効果を整理しているので、自社業務との共通点を確認してみてください。
業界 活用目的 具体例
小売・流通 需要予測・在庫最適化 気温や曜日をもとに翌週の来客数を予測する
製造業 品質管理・不良率分析 製造条件と不良品発生率の関係を分析する
金融・保険 リスク評価・価格設定 過去の損害データをもとに保険料を算出する
マーケティング 広告効果の測定 広告費と売上の相関から最適な予算配分を決める

売上予測や需要予測における活用

ビジネスの現場において、将来の数値を予測するために最小二乗法は頻繁に利用されています。過去の販売データや気温、広告費などの要因と結果のデータをプロットし、そこに当てはまる直線を引くことで、今後の需要をより高い精度で予測しやすくなります。これにより、仕入れコストの無駄を抑え、収益改善にもつながることが期待できます。こうした背景から、多くの企業がこの計算手法を売上予測の基礎として取り入れています。

製造業における品質管理や傾向分析

製造業の生産現場でも、品質の安定化や不良品の発生要因を分析するためにこの計算手法が役立っています。製品の完成率と、それに影響を与える製造条件や部品の寸法などを分析し、回帰直線を導き出すことで、どの条件が品質に大きく影響しているかを把握しやすくなります。これにより、製造プロセスの異常をいち早く検知し、トラブルを未然に防ぐ体制を整えられるでしょう。経験や勘に頼らない、データに基づく論理的な品質管理が実現します。

最小二乗法と回帰分析の関係性

データ分析を学ぶ中で、最小二乗法と回帰分析は目的と手段の関係にあり、明確に区別して理解することが重要です。
以下の表では分析手法の種類と説明変数の数を整理しています。それぞれの違いを把握することで、場面に応じた適切な分析手法を選べるようになります。
分析の手法 説明変数の数 具体的な活用例
単回帰分析 1つ 気温の変化からアイスコーヒーの売上を予測する
重回帰分析 複数 気温・曜日・広告費から全体の売上を予測する

回帰分析という大きな枠組みの中の計算手法

データ分析を学ぶと回帰分析と最小二乗法が混同されがちですが、回帰分析とは、ある変数が別の変数にどう影響するかを関数の形で明らかにする「分析手法」です。一方、最小二乗法はその回帰分析を実行するための「計算プロセス」を指します。
つまり両者は目的と手段の関係にあり、回帰分析を実行するための道具が最小二乗法です。

単回帰分析と重回帰分析における役割

回帰分析には、一つの原因から結果を予測する単回帰分析と、複数の原因から結果を予測する重回帰分析が存在します。どちらの分析手法においても、予測値と実測値の誤差を最小にするという根本的なロジックは変わりません。原因となる変数が複数に増えたとしても、各変数に対する最適な係数を導き出すために最小二乗法が計算の基盤として働いています。変数の数に関わらず、高い精度の予測モデルを構築するために重要なアプローチと言えるでしょう。

エクセルを使った最小二乗法の求め方

最小二乗法は統計や数学の専門知識がなくても、エクセルの標準機能を通じて実務に取り入れられます。以下の表に示す通り、視覚的に確認する方法と数値として出力する方法の2種類があります。自社の業務フローや目的に合わせて使い分けることで、分析作業をより効率的に進められるでしょう。
エクセルの機能 特徴とメリット 適している状況
散布図の近似曲線 視覚的に直線の当てはまり具合を確認できる データの全体的な傾向を直感的に把握したいとき
LINEST関数 傾きと切片の数値をセルに直接出力できる 取得した数値を別の計算や予測モデルに流用したいとき

散布図を活用して近似曲線を表示する手順

エクセルのグラフ機能を使えば、複雑な数式を組まなくても視覚的に最小二乗法による直線を引くことが可能です。
1

データ範囲を選択する

予測に使いたいデータ(例:気温と売上)のセル範囲をドラッグして選択します。

2

散布図を挿入する

上部メニューの 挿入 タブをクリックし、グラフの種類から「散布図」を選択します。

3

近似曲線を追加する

グラフ上のデータ点を右クリックし、表示されたメニューから「近似曲線の追加」を選択します。種類は 線形 を選びます。

4

グラフに数式を表示する

近似曲線のオプション画面で「グラフに数式を表示する」にチェックを入れると、傾きと切片の数値がグラフ上に表示されます。

回帰直線と数式がグラフ上に表示されます

10° 15° 20° 25° 30° 35° 気温(℃) 0 20 40 60 80 売上(万円) y = 2.0x − 8.0 R² = 0.953 実測データ 近似直線

📌 グラフの見方

  • 青い点:実際に観測した気温と売上のデータ
  • 赤い直線:最小二乗法で導いた近似直線
  • y = 2.0x − 8.0:気温が1℃上がると売上が約2万円増加することを示す
  • R² = 0.953:直線のデータへの当てはまり精度(1に近いほど高精度)

LINEST関数を用いて傾きと切片を計算する方法

1

結果を表示したいセルを2つ選択する

傾きと切片の2つの値が横に並んで出力されるため、隣り合った2つのセル(例:C2:D2)をあらかじめ選択しておきます。

2

LINEST関数を入力する

選択したセルの先頭に以下の数式を入力します。

=LINEST(B2:B19, A2:A19)

※ 第1引数:目的変数(売上)の範囲 第2引数:説明変数(気温)の範囲

3

Ctrl + Shift + Enter で確定する

配列数式として入力するため、通常のEnterではなく Ctrl + Shift + Enter で確定します。
※ Microsoft 365・Excel 2021以降はEnterのみで確定できます。

傾きと切片がセルに自動で出力されます

Microsoft Excel C2 fx =LINEST(B2:B19, A2:A19) A列:気温(℃) B列:売上(万円) C列:傾き D列:切片 1 気温 売上 傾き 切片 2 25 42 2.0 -8.0 3 30 59 4 20 29 5 15 14 傾き 2.0 → 気温1℃上昇で売上+2万円 / 切片 −8.0 → 気温0℃時の基準値

📌 出力結果の見方

  • 傾き(C列)= 2.0:気温が1℃上がるごとに売上が約2万円増加することを示す
  • 切片(D列)= −8.0:回帰直線がY軸と交わる基準点。予測式はy = 2.0x − 8.0
  • データを更新すると、C・D列の数値も自動で再計算される

最小二乗法を用いた実際の活用事例

最小二乗法の概念や計算方法を理解した上で、実際のビジネス現場でどのように活用されているかを把握することは、自社への導入を検討する際に非常に参考になります。以下では実際の企業事例をもとに、導入の効果と活用のポイントを紹介します。

チェーン店舗の出店判断における売上予測(技研商事インターナショナル株式会社)

技研商事インターナショナル株式会社は、商圏分析・エリアマーケティングの分野で、最小二乗法を基礎とする重回帰分析を用いた売上予測の活用を自社サイトで公開しています。既存店舗の売上データを目的変数、商圏内の人口や競合情報などを説明変数として回帰式を構築し、新規出店候補地の売上を事前に推計するという手法です。同社が提供するGIS(地図情報システム)には重回帰分析モデルの作成機能が搭載されており、チェーン企業がトライアンドエラーを繰り返しながらモデルの精度を高められる設計になっています。出店の意思決定を数値根拠に基づいて行いたい企業にとって、参考となる取り組みといえるでしょう。

最小二乗法に関するよくある質問

Q最小二乗法と回帰分析は何が違うのですか?

A

回帰分析は変数間の関係を明らかにする「分析手法」であり、最小二乗法はその分析を実行するための「計算プロセス」です。

回帰分析という目的を達成するための道具が最小二乗法だと理解すると整理しやすいでしょう。

Q最小二乗法はエクセルで計算できますか?

A

はい、エクセルの標準機能で計算できます。

データの傾向を視覚的に確認したい場合は散布図の近似曲線機能、傾きや切片の数値を別の計算に使いたい場合はLINEST関数が適しています。

Q外れ値がある場合でも最小二乗法は使えますか?

A

使えますが注意が必要です。

最小二乗法は誤差を二乗するため、外れ値の影響を通常より大きく受けます。外れ値がデータに含まれる場合は、事前に外れ値を除外するか、外れ値の影響を受けにくいロバスト回帰などの手法も検討してください。

最小二乗法を理解するためのまとめ

この記事の要点をまとめます。
・最小二乗法は実測値と予測値の誤差の二乗和を最小化し最適な直線を求める手法である
・ビジネスにおける需要予測や製造業の品質管理など幅広い領域で活用されている
・回帰分析を実行するための具体的な計算プロセスとして機能している
・エクセルの散布図やLINEST関数を利用することで簡単に直線の式を算出できる
・企業ではこの仕組みを応用して発注業務の効率化や精度の高い予測を実現している

まずは手元にある売上データや気温データをエクセルに入力し、散布図を作成するところから始めてみましょう。直線が引けた段階で、傾きと切片の数値が実際のビジネス課題とどう結びつくかを考えると、最小二乗法の理解が一気に深まります。さらに精度の高い予測モデルを構築したい場合は、重回帰分析や専用の分析ツールの導入も検討してみてください。

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