【インタビュー調査事例】AIを使って初心者でもインタビュー調査は簡単にできるのか

24 2024.06

編集室メンバーコラム

はじめまして。マーケティングアプリケーションズの竹中です。
今回私は、弊社のアンケートモニターのためのスマートフォンアプリ「ポケアン」のサービス改善や「ポイ活ユーザー」の行動実態を探ることを目的として、「ポケアン」アプリユーザーにオンラインデプスインタビュー調査を実施しました。

インタビューを成功させるには事前準備が重要ですが、インタビューまでに準備しておくことが多く自分で行うにはハードルが高いと思っている方も多いのではないでしょうか。
今回のインタビュー調査は、事前準備を簡素化すべく生成AIを活用しながら進めてみたのですが、当初のインタビュー目的を達成することができ、新たな仮説の発見にも繋がりましので、自身の経験から得た気づきやノウハウを手順に沿って皆様にお伝えしたく今回の記事を書きます。
この記事がインタビュー調査を初めて実施する方の背中を押すことが出来れば嬉しく思います。
【インタビュー調査事例】AIを使って初心者でもインタビュー調査は簡単にできるのか

はじめに

私自身初めてデプスインタビュー調査を実施するため、一般的なインタビュー調査の流れに沿って進めようと思いましたが、実際に項目を進める部分がとても多く、どのように進めるか大変悩みました。
そこで生成AIの力を存分に借りながら実施してみることとしました。

結論から申し上げると、初めてインタビューを実施する私でも3人の対象者からかなり深い洞察を得ることができました。適切な課題設定を行うことができれば、AIを活用することによってマーケティングリサーチをとてもハードルが低いものにすることができると感じました。
また、AI活用の一番のポイントはインタビュー調査を実施するにあたって「本当に向き合うべきユーザー・事業上の課題は何か」という本来最も多くの時間を使うべき点の検討に対して多くの時間を使えたことが重要であったと振り返ります。

※今回の記事はあくまでAIを活用し、インタビュー調査を実施したことがない人でも簡単にインタビューが始められる方法を実践してみたことを紹介する記事です。
AIを活用したデプスインタビューの流れ

AIを活用したデプスインタビューの流れ

ここからは実際に弊社でデプスインタビューを実施した際の流れをご説明します。
以下の図は一般的なデプスインタビュー実施の流れを示したものになります。
一般的なデプスインタビューの流れ
ある程度こちらのステップに沿ってどの場面でどのようにAIを活用したかを皆様にご紹介します。
※AI活用をしたステップの見出しには「AI活用」と記載しています。

1-1.サービス課題のリストアップ

まずはポケアンアプリを運用しているチームにデプスインタビューでユーザーに聞いてみたいことはないかという社内ヒアリングから開始しました。
結果的に返ってきたのは以下のような箇条書きの一覧です。(※以下は一部抜粋)
ユーザーに聞いてみたいこと一覧
正直この一覧が返ってきた時は困りました笑
粒度も全く違う、おそらく分類されるジャンルもマーケティングのことからサービスUIに関することなど様々です。
この次のステップの対象者のリクルーティングに進みたくても、これではあまりにバラバラで定量調査のスクリーニングに設問をどう反映したらいいかわかりません。

1-2.項目のカテゴライズ(AI活用①)

こういう時はまずはカテゴライズです。箇条書きで出てきたヒアリング項目一覧を分類分けします。
以下が実際に入力したプロンプトです。

以下の文章はポイ活アプリにおいてのユーザーヒアリング項目をリストアップしたものです。

それぞれの項目を大枠で2-3個に分類するとどのような分類ができて、それぞれの項目はどの分類に入るか教えてください。


#ユーザーヒアリング項目

・ポケアンと他社のポイ活アプリの違い

~(中略)~

・ポケアン以外のポイ活アプリも利用しているモニタさんは普段貯めたポイントを何に交換することが多いのか

するとそれぞれの項目がどの分類に当てはまるかを教えてくれました。
・マーケティングとエンゲージメント
・ユーザー体験と満足度
・商品開発と改善提案

の3つです。
※この時点でかなり楽になりました!
項目のカテゴライズ(AI活用①)

1-2.カテゴライズごとのスクリーニング設問案(AI活用②)

先ほどのヒアリング項目の分類までできたところで、「これくらい高い精度で出力してくれるのであれば、もしかしてこのままスクリーニング設問も考えてくれるのでは?」という気持ちが出てきたので早速試してみました。

上記の「ポイ活アプリのヒアリング項目3つの大枠」に関して、対象者の「ペルソナ仮説」を設定してください。

~(中略)~

この「ペルソナの仮説」となる対象者を抽出するためのアンケート項目を5問以内で設問と選択肢どちらも考えてください。1問は必ず自由記述式の設問を入れてください。

~(中略)~

すると実際に先ほど分類した、項目1つ目の「マーケティングとエンゲージメント」に関してインタビュー対象者をリクルーティングするための設問と選択肢と対象者抽出のための合致条件が出てきました。(※以下は一部抜粋)
リクルーティングするための設問と選択肢
対象者抽出のための合致条件
ここまで、インタビュー対象者に対してヒアリングしたい項目を箇条書きでリストアップするだけで持ってくることが可能です。
個人的にはこれだけでかなりインタビュー調査のハードルが下がるなと思いながら作業を進めていました。

1-3.スクリーニング設問案の確定

他の分類に関しても設問と選択肢案を生成し、分類と設問選択肢を基にアプリ運用チームと今回特にインタビューを実施したい課題に関してディスカッションを行い、いくつかの選択肢の追加を行うだけで実際にリクルーティングのための調査画面を作成するところまで持ってくることができました。

2-1.対象者のリクルーティング・対象者の選定

先ほど作成した、スクリーニング設問案をベースに調査画面をSurveroidで作成し、配信を行い、スクリーニングの回答データが集まってきました。
ここから対象者の選定に移ります。
ここはAIの立ち入る隙はなく、アプリサービスを運用しているチームと定量データの回答で条件に合致する回答者の中から、フリーコメントを見ながらこの人に聞いてみたいというインタビュー対象者を選定します。
今回は特にサービスの使いやすさに関して言及している対象者を選定しました。

3-1.インタビュー項目のリストアップ

さて、対象者の選定も終わりインタビュー実施日時も決まったところで、実際にインタビュー内でヒアリングする項目を決めることとなりました。
アプリ運用をしているチームに今回設定した課題と選定した対象者に対して、インタビュー内で調査してみたいことをリストアップしてもらい、結果的に返ってきたのは以下のような箇条書きの一覧です。(※以下は一部抜粋)
インタビュー項目のリストアップ
「またか笑」と思いましたが、今回はどう取り扱えばいいのか分かっているので冷静に対処していきます。

3-2.インタビューガイドの作成(AI活用③)

まずは同じくカテゴライズからです。

以下はポイ活アプリに関するアンケートの質問です。

質問文を3-4のカテゴリーに分けてください。

 

#質問文


ポケアンで最も気に入っている機能や特徴は何ですか?

~(中略)~

どこからポケアンアプリを見つけてダウンロードしましたか?(広告、ストアで見つけた、知り合いの紹介など)

結果以下の4つの分類を生成し、それぞれの項目がどの分類にあてはまるかを教えてくれました。
・アプリの使用感と機能
・推奨と利用動機
・報酬とキャンペーン
・セキュリティとプライバシー
続いてはスクリーニング設問案を考えた時と同じく、そのままインタビューガイドの生成を依頼します。
インタビューガイドの生成をAIに依頼
するとすらすらとインタビューガイドが生成されました。
※初めてインタビューを実施する私は「そうか、イントロダクションから始まるのか」というのをここで学びました。(※以下は一部抜粋)
インタビューガイドの生成結果
このインタビューガイドが弊社の意図したことが本当に網羅されているのか、どういう意図をもってこのインタビューガイドを生成したのかを聞きました。(※以下は一部抜粋)
インタビューガイドの生成意図をAIに尋ねる
少し網羅性が高く、広く浅くな結果になっているなという印象です。
より他のポイ活アプリとの差分について深ぼりたいというアプリ運用チームからの要望もあり、ガイドラインの修正を依頼しました。
結果出てきたものが以下です。(※以下は一部抜粋)
インタビューガイドの修正をAIに依頼
これでかなり自分たちの聞きたいことに沿ったインタビューガイドができた感覚があります。
後は少し修正してインタビューを実施するのみです。

4-1.インタビュー実施_体制の話

ここからは実際に対象者にインタビューを実施した際のことを記載します。
会話の方法などは様々な方法が紹介されていますので、私はインタビュー調査を実施する際の体制についての推奨点を記載します。
弊社ではインタビュー調査を実施の際、インタビュアーは3人体制を組みました。
1.オンラインの画面に映りながら対象者と会話する人
2.インタビューガイドに沿ってメモをとる役割の人
3.追加で深堀たい部分を会話する人に指示する役割の人

もしこれから初めてインタビュー調査を実施する方がいれば、私は最低でもインタビュアー側は2人以上の体制で実施することを強く推奨します。
また、1人でインタビュー調査を実施することは可能な限り避けた方がよいです。
どうしても会話に夢中になってしまい、次に何を話すべきかを考えることで精一杯となります。
結果的に実施後、もう少し深ぼる点があったのではないかという後悔をする可能性は高いです。
仮に2人以上で実施することができれば、片方は客観的な視点を持ちながら対象者を観察し、感情の動きなどを見ながら深ぼる点などを指示することが可能です。
ぜひ、インタビュー調査実施の際は、「主観的にインタビューガイドに沿って深ぼっていく人」と「客観的に深ぼるべき点を指摘する人」の最低でも2人以上の体制での実施をお願いします。

5-1.結果振り返り

今回はインタビューの目的自体がまずはポケアンユーザー及びポイ活ユーザーの実態把握を目的としたものであったため、充分にその役割を果たすことはできました。
下記に一部得られた結果を抜粋して記載します。
・複数のポイ活サービスを併用している
・サービスのUIにはアプリだけでなく、アンケート回答画面も含まれる

その他いくつもの弊社が気づいていない示唆や、おそらくこうであろうと仮説を立てていたことが違った等の結果を得ることができ、次の仮説設計に大いに役立てることができました。

今回はヒアリング項目のリストアップの部分は結果だけを記載していますが、ヒアリング項目のリストアップの背景には今「何が数値上分かっている項目か」、「何が数値上も分かっていない項目か」、「それが分かるとどんな仮説や施策が思いつくか」、「その施策は本当に実現可能か」、「それは本当にユーザーのためになるのか」等、改めて事業の課題・ユーザーの価値最大化に向き合う場面が多くありました。
更にカテゴライズを通じて、項目が整理されたことにより、インタビューガイド作成のためのヒアリング項目のリストアップ時により高い解像度をもってヒアリング項目をリストアップすることもできました。

AI活用の結果として初心者でもインタビュー調査を実施できたことも大きいですが、AI活用の一番のポイントはインタビュー調査を実施するにあたって「本当に向き合うべきユーザー・事業上の課題は何か」という本来最も多くの時間を使うべき点の検討に対して多くの時間を使えたことが重要であったと振り返ります。

まとめ

・インタビュー調査を初めて自分でやってみるハードルは想像以上に高いと感じました。
・インタビュー調査のハードルはスクリーニング設問案を考えること、インタビューガイドを作成する部分等の「聞きたいことはあるがどう聞いたらいいか分からない」部分に集約されています。
・AIの活用は「聞きたいこと」をリストアップするだけで、「どのように対象者を抽出するか」、「どのように聞くか」の部分をかなり簡略化することができ、本質的な事業上の課題に対して向き合う時間を多く作ることができるという点が最も素晴らしい点だと考えます。

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