2021年9月30日 更新

捏造とHype:行動経済学

gettyimages (2487)

今年の8月、行動経済学の有名な研究論文について、データが捏造であるという告発が出され、大変な話題になっています。該当論文は撤回されたそうです。

Evidence of Fraud in an Influential Field Experiment About Dishonesty https://datacolada.org/98

この結果、近年話題を集めていた行動経済学に対する信頼は揺らぎ、「行動経済学の死」といったことも言われています。https://www.thebehavioralscientist.com/articles/the-death-of-behavioral-economics

この問題に対する反応は、まとめサイトhttps://togetter.com/li/1773329があるので、見ていただくと面白いです。

行動経済学はマーケティングリサーチの分野ともかかわりが大きいので、ショックを受けた関係者も多いと思います。私も、行動経済学的なリサーチの提案とか、「ナッジ」を探すような調査企画を求められた経験があります。今さら「ナッジなんてほとんど影響がない」とか言われても困る人も多そうです。

実のところ、マーケティングリサーチは認知心理学と昔から深い関係があり、行動経済学は、認知心理学の手法を経済学や経営・マーケティングに適用することで一種のブームになった、という風に私は考えています。ブームのおかげで、もともとやっていた種類のことを、あたかも新しいことのように言われたという感じがしています。

行動経済学がブームになったのは、経済や経営という心理学よりお金のにおいがする分野で展開されたからで、データの捏造もそうした野心が関係した、のかもしれません。

捏造といえば、「メンデルの法則」のメンデルの実験データも捏造・改ざんといわれていたことがあり(メンデル=フィッシャー論争)、私も「過適合」の例として覚えていたのですが、最近は意図的な改ざんはなかったことを示す論文が出ているようで、注意が必要です。

「捏造」や「改ざん」は、誇大広告(HYPE)のために行われる一方、「捏造」や「改ざん」の告発自体もまたHYPEととてもなじみやすいものなので、ブームとその反動に踊らされずに落ち着いて考えることが必要なのだなあ、と自戒しました。


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