表面的な理由の裏にある本音 インタビューが解像度を一段上げてくれた

Authense法律事務所様
弁護士法人 Authense法律事務所 マーケティング部 神波様

弁護士法人 Authense法律事務所は、企業法務から個人法務まで幅広く対応する総合型法律事務所です。2005年の創業以来、「すべての依頼者に最良のサービスを」をMissionに掲げ、依頼者一人ひとりの感情や背景に寄り添ったリーガルサービスを提供してきました。2024年5月にはブランドスローガン「Focus on Emotions(人の気持ちにフォーカスする)」を制定。法的課題の解決にとどまらず、「人の感情」に焦点を当てたアプローチを重視し、専門家でありながら悩みに寄り添い、より身近に感じていただける法律事務所であることを目指して、取り組みを続けています。今回は、マーケティング部で幅広い業務をご担当されている神波様に、インタビュー活用とその効果について詳しくお話を伺いました。

神波様が担当されている業務内容について教えて下さい。

マーケティング部門では、法律相談の問い合わせを増やすため、マーケティング施策全体の立案・実行を担当しています。 具体的には、SEO戦略の構築・実行やWebサイトのUX改善、アクセス解析を通じた効果測定といったデジタル施策に取り組む一方で、ホワイトペーパーの作成、メールマガジンやプレスリリースの配信、メディア対応などの情報発信も行っています。さらに、セミナーの企画・運営や展示会への出展といったチャネルを問わない多角的な取り組みを通じて、必要とされるタイミングで思い出していただける存在になれるよう、継続的な情報発信や多面的な取り組みを行っています。

今回、インタビュー調査を実施しようと思ったきっかけを教えてください。

普段は、定量的なデータを取得するためにSurveroidでアンケートを行っています。たとえば、「ニュースを見たときにどんな感情を抱いたか?」という質問に対して、感情の選択肢を用意し、その時々で取り上げたニュースに対して人々がどのように感じたのかを調査しています。その結果をAIに学習させて、Webサイトのトップページで「社会感情」を色で可視化する取り組みにも活用しています。

▶日本の感情、今は何色?

また、毎年11月には「遺言に関するレポート」をリリースしていて、遺言に対する印象などについての意識調査のデータもSurveroidで取得しています。これまでの調査からは、遺言書を書かない理由として「面倒だから」「死を連想してしまうから」といった傾向が見えてきていましたが、どこか表面的な動機にとどまっている印象もありました。もちろん、それも一つの真実ではありますが、その奥にはもっと複雑で深い“本当の気持ち”があるのではないかと考えるようになりました。そうした背景まで丁寧に理解するために、今回は定量データを出発点として、さらに踏み込んだ深掘りができるSurveroidを活用してインタビュー調査を行うことを決めました。

POINT

Surveroidでは実施済みのアンケート結果からもう少し詳しく聞きたい方に対していつでもインタビューの実施をすることが可能です。

インタビュー対象者はどのように選ばれましたか?

もともと実施していたアンケートの回答結果をもとに、インタビューの対象者を選定しました。アンケート内には自由記述欄を設けていたのですが、そこにしっかりと自分の考えを書いてくださっていた方を中心に、「この人なら真剣に話してくれそうだな」と感じた方にオファーをお送りしました。対象者は4名で、それぞれ下記の4つのセグメントに分けて実施しています。

  • ・すでに遺言書を作成している方
  • ・前向きに検討している方
  • ・遺言書を作成する予定のない方(子どもあり)
  • ・遺言書を作成する予定のない方(子どもなし)

これまで、直接インタビューを行ったことはありませんでしたが、遺言書を作成する・作成しないという選択だけでなく、その背景にある理由や価値観にも違いがあるはずだと思い、それぞれの立場からお話を伺ってみたいと考えました。マーケティング戦略の面でも、そうした違いを知ることは意味があると感じています。

セルフでのインタビュー実施にあたって、どのような工夫や準備をされましたか?

所内にインタビュー経験が豊富なスタッフがいたこともあり、安心して進めることができました。進行については、事前に「どんな話を聞きたいか」をすり合わせておいた上で、対象者ごとにアンケートの回答内容を整理したドキュメントも準備していました。「アンケートではこう答えていただきましたが、実際にはどう感じていますか?」といったかたちで、より深く掘り下げて詳しくお話をお伺いしました。セルフでの実施でしたが、全体的にスムーズでした。

また、インタビューの冒頭では「どういう目的でインタビューを行うのか」「どのように使う予定なのか」「個人情報は守られること」などを丁寧に説明しました。あわせて、「不安なことや疑問があれば、その場で遠慮なくお知らせください」とお伝えしていたこともあってか、対象者の方々にはかなり踏み込んだ内容までしっかりとお話しいただけた印象です。

数字の裏にある“深い想い”を掘り起こすインタビューの力

インタビューを行い、どんな発見を得られましたか?

一番大きな発見は、アンケートだけでは見えなかった“背景”や“理由の深さ”に触れられたことです。たとえば、これまでのアンケート結果から、「遺言書を書かない=ネガティブな印象」という前提で捉えてしまいがちだったのですが、実際に話を伺ってみると、そうとは限らないことがわかりました。たとえば、「遺言書を作成する予定はないが、自分の財産については家族に分かるようにしておくつもりでいる」というお考えや、「子どもたちみんな平等にと思っているので、遺言書で分け方を決めず、自分たちで話し合って決めてほしいと思っている」など、その人なりの価値観がしっかりあることに気がつけたのは大きな収穫でした。

特に印象的だったのは、「子どもはみんな平等に扱いたい」という想いが、書く人にも書かない人にも共通していたことです。“平等”の捉え方や実現方法はそれぞれ異なるのですが、根底にある気持ちは近いものがあって、アンケート回答の選択の違いだけで判断してはいけないなとあらためて思いました。

インタビューで得られた情報は、どのように活用されますか?

今年度の「遺言書に関するレポート」には、これまで通りの定量データに加えて、今回インタビューで得られた“声”も掲載する予定です。レポートはメディア向けにPDF形式で公開しているのですが、そこに“生の言葉”が加わることで、数字だけでは伝わりにくい背景や、生活者のリアルな感情をより深く届けられると考えています。

また、実際に話を聞いたことで、アンケートだけでは見えてこなかった意識や価値観が明らかになり、これまでの定量データの“解像度”が格段に上がったと感じています。今後の調査設計に活かせるのはもちろん、マーケティングにおいて「どんな言葉で、どう伝えるべきか」を検討する際のヒントにもなりました。今回得た気づきをもとに、より生活者の気持ちに寄り添った発信につなげていきたいと思っています。

▶遺言書年報2024はこちら

リサーチを通して、ブランドと社会の接点を丁寧に築いていく

マーケティング活動の中で、リサーチはどんな役割を担っていますか?

私たちとしては、今後、困ったときにまず頼られる存在となり、多くの方に信頼して選んでいただけるよう、ブランドの確立を目指していきたいと考えています。例えば、相続においては、トラブルが起きた“あと”だけではなく、その前段階から寄り添える存在として、社会との接点をつくっていきたいと考えています。

その上で、リサーチによって得た生活者の声は、単なるデータにとどまらず、共感や信頼を積み重ねるための大切な材料になります。調査結果を活用したリリースや発信活動は、すぐに問い合わせや受任といった成果に結びつくわけではありませんが、共感や信頼を少しずつ積み重ねることで、最終的に「遺言書について前向きに考えてみよう」と思っていただける方が増えていくきっかけをつくる大切な手段だと考えています。

また、いくら弁護士が優秀でも、案件がなければ仕事は始まりません。マーケティング部門として、Web経由の問い合わせやその先の受任数といったファネル全体の流れを見据える中で、リサーチを起点とした情報発信はとても重要な役割を担っていると感じています。リサーチを通じて社会との対話を続けていくことで、「オーセンスって、こういう視点で社会を見ているんだな」という気づきを生み出し、ブランドが少しずつ育っていく。そんな流れを、これからも大切にしていきたいと考えています。

インタビューにご協力いただきありがとうございました!

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