価格調査とは?調査方法と分析方法を解説

15 2023.11

アンケート調査手法

企業にとっては自社製品や提供するサービスの価格が、適正なのか調査するのは大事です。価格は消費者に影響を与える1つの要素であり、もしライバル企業よりも高額な設定であれば競争に負けてしまい、利益を損なうこともあります。

そのため、価格調査を行い、設定方針などを再度見直す必要がありますが、どのように調査すれば良いのか、分析の考え方などについて理解しておくのも大事です。今回は価格調査の内容について紹介していきます。
価格調査とは?調査方法と分析方法を解説

価格調査とは?

まず、価格調査とは何かを把握しておく必要があります。価格調査は、製品やサービスの最適な価格を知るための方法です。ターゲットになる市場に質問をして、消費者や企業がどのくらいの価格だと購入や支払いに至るのか、また製品にどれほどの価値があるのかなどを理解できます。

もし、自社が想定している価格と市場の価格に大きな差があれば、製品やサービスによる利益を損ない、会社は大きなダメージを受けます。また、競合との価格に差が生じれば競争に負けて、最悪倒産などの窮地に追い込まれる可能性もあるでしょう。

そのため、価格調査を行い、市場で得られたデータを元にして、価格の設定や収益を予想した方が、企業にとって大きな利益を得られます。
価格調査の重要性

価格調査の重要性

価格調査をすることは企業にとって重要な業務の1つです。ただ、なぜ重要なのかを理解するために、プライシングについて把握しておく必要があります。
プライシングとは消費者の心理や感覚を踏まえて商品の価値を定義するプロセスです。

製品やサービスを提供する際に消費者と感覚に大きな差が生じていれば購入には至らず、利益を生むことができません。そのため、企業と消費者の金銭感覚に差が生じないようにすべきですが、価格を決定する際もいろいろなポイントがあります。まず、製品やサービス提供にかかるコストと価格のバランスを考慮しなくてはいけません。価格が安過ぎると企業の利益が少なくなるからです。

そして、競合他社の価格も考慮すべきです。他社との価格差により、競争面で優位性が付くのかが決定するため、あらゆる分野でバランスを考慮しなくてはいけません。価格が適正でなくては利益を生み出すことはできないので、市場調査をしっかり行ってデータに基づいた設定を行うのは非常に重要です。

プライシングの考え方

スキミングプライス

スキミングプライスは、商品を市場へ出して販売する際に高めに価格設定し、普及していくにつれて値段を下げていく戦略です。価格が高めに設定して価値を消費者に認識してもらい、購入してある程度コストを回収した際に値段を下げて安定して販売できるようにします。

ペネトレーションプライス

商品を低価格で市場に販売し、多くの消費者にシェアしてもらうことを狙います。シェアしてもらえれば、商品の価格を上げていき利益率を狙う、または値段を維持してシェア率を高めていくなど、企業は幅広く対応できます。

コストプラス

コストプラスは、原価に利益を加えて価格設定する方法です。シンプルな戦略になるため、企業側が最も採用しやすい考え方ですが、市場の状況などを考慮しないケースもあるため、消費者と価格差が生じる可能性もあります。
従来の価格調査では有効な結果は得られない?

従来の価格調査では有効な結果は得られない?

企業にとって価格調査をすることは重要なポイントになりますが、従来のやり方では有効な結果が得られにくいです。従来のやり方とは主に消費者に対して価格の件について直接的な質問を行い、値段を決定する方法です。

例えば、「この商品が○円なら購入しますか?」「商品は使いやすいと思いますか?」などと単純質問します。この内容でもある程度、消費者の許容範囲をチェックできますが、表面的な回答しか得られず、詳細な点までは分からないと言えます。

例えば「ある商品を5,000円で購入しますか?」と質問した際、買うと回答することもあれば、最も安ければ購入すると回答するケースもあるでしょう。その場合、消費者が許容する価格帯は不透明になるため、データとして信頼できない部分もあります。

今では、どの分野でも企業の参入が増えており、価格調査する際は消費者が購入する詳細な値段まで把握しなくては、競争に敗れてしまうでしょう。企業にとっても価格調査の見直しをすべき時と言えます。
価格調査の代表的な方法3選

価格調査の代表的な方法3選

PSM分析による調査

PSM分析では主に、消費者が潜在的に考えている許容価格帯を考慮に入れて調査を行います。
そして、より価格帯を確認するため主に4つの質問を行います。
・いくらになると「高過ぎて購入できない」と思いますか?
・いくらから「この商品、またはサービスは高い」と思い始めますか?
・いくらであれば「安い」と思い始めますか?
・いくらぐらいから「安過ぎて購入はしたくない」と思えますか?


上記の4つの質問は消費者に対して、商品やサービスの価格を明確に答えてもらえるため有益です。

ある程度、消費者に対して質問を行うことができれば、集計してまとめるためにExcelなどを活用して結果をグラフ化しましょう。4つの質問の項目ごとにアンケートで得た回答金額を入力していき、表として計算します。

関数記入用の表を別のセルに作成しておくことで割合を出すこともでき、より詳細にデータを取れます。関数を記入した集計表を全範囲選択すると、画面上部からグラフを挿入し、「折れ線グラフ」にするとグラフの交点価格を確認できるでしょう。

交差点はそれぞれ、上限価格と妥協価格、理想価格、下限価格で見ることができ、結び合わせると消費者が許容できる範囲内の値段がわかります。PSM分析では、許容可能な範囲の価格帯から値段を決定するのが基本になるため、コストと消費者の要望価格のバランスを考慮して値段を検討できるなどメリットもあります。綿密に価格設定したい場合、PSM分析を用いてみるように検討してください。

CVM分析による調査

CVM分析とは、消費者やターゲットの購入意向率を価格別帯に算出する方法です。アンケートで複数の価格帯を提示し、それぞれの購入意向を段階的に評価します。価格変更による需要の変化をシミュレーションすることで「価格別の購入意向率の変化」または「購入意向率の高い価格帯などを把握できます。

専門的な商品や新しく提供するサービスなどは、適正価格をイメージしにくく、把握しにくい場合があるでしょう。そのため、CVM分析を用いて価格を導くことができます。CVM分析を用いた質問では、購入意欲を確認し、その回答に応じて基準価格より高い、または安い値段について質問します。

例えば
・商品Aが3,000円であれば購入したいと思いますか?
「はい」と回答した場合は「4,000円では購入しますか?」と質問
「いいえ」と回答した場合は「2,000円では購入しますか?」と質問
とパターンを準備できるでしょう。

実際の調査では、さらに複数のパターンを準備しておき、多くの消費者をターゲットにして回答を得るようにします。価格においても1,000円台から5,000円台と価格に関する質問も幅広くしておくと詳細な点まで把握できるでしょう。

回答に夜アンケート結果は、明確に集計するため、縦軸は購入意向率、横軸に価格を記載してグラフ作成を行います。グラフで確認すると例えば「3,000円以下の場合は過半数が購入意欲を示している」「当初の価格では購入が見込めない」と分析できるでしょう。

コンジョイント分析による調査

コンジョイント分析は回答者に開発している商品全体を評価してもらい、商品の各要素がどのくらい全体に影響を与えているのか明らかにするための調査方法です。主に、商品開発を考える際に使用される方法であり、どのアイデアが1番消費者に好まれるかチェックできます。

例えば、自動車を購入してもらう際、以下のように質問できます。
・150万円で燃費がよく、無名デザイナーが手がけた車
・150万円で燃費が悪く、有名デザイナーが手がけた車
・200万円で燃費が良く、有名デザイナーが手がけた車
・200万円で燃費が悪く、無名デザイナーが手がけた車


コンジョイント分析では、複数の要素を同時に比較してもらうことで、消費者が重要視しているのは価格か燃費なのか、それともデザイナーなのかが明確になるでしょう。

個々の要素について質問しても表面的な回答しかない場合があるため、より要因に優劣を付けたい場合はコンジョイント分析を活用するのがおすすめです。そして、回答による分析を行う際は3つの定義を行い、それぞれ
・属性(商品の要素)
・水準(商品の具体的な数値)
・効用値(購買意欲を高める数値)

です。

Excelなどを使用して直接表の法則に従い、列を属性、行をカード、表の値を水準というように当てはめていきます。今回は自動車の例をそのまま当てはめ、価格、燃費、デザインを属性にして作成します。その後、コンジョイントカードを作成し、消費者から回答してもらって集計を行い、グラフ化すると効用値でどれが高いのか分析可能です。

まとめ

価格調査の内容について紹介してきました。価格調査を行うことで、商品やサービスの価格に対して企業と消費者の差を無くすことができ、購入意欲を高めることが可能です。

価格調査する際にはPSM分析、CVM分析、コンジョイント分析の3つの方法があり、それぞれ企業の目的に合わせて活用できます。価格調査をして、しっかり分析できれば利益率をアップできる可能性も高まります。ぜひ、ビジネスとして活用を検討してください。

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