アンケート結果の分析はどうする?集計・分析の方法とポイントを解説

14 2023.06

データ分析手法

マーケティングや論文執筆などアンケートを活用したリサーチを行う場面において、重要なのはアンケートを取ったという事実ではなく、その結果何を結論として導き出したかということになります。

集計したアンケートの分析に失敗をしてしまうと、せっかく収集したアンケートに対して結論をミスリードさせたレポーティングを行う結果となってしまい、例えば市場を反映していない商品を開発してしまったり、効果的な戦略を立案できなくなってしまったりしてしまいます。
そのため、集計や分析には様々な方法があり、その中でもアンケートの目的に応じて適切な手法を選択する必要があります。

本記事では、アンケートを取った後の分析の流れについて、方法や注意点を解説しますので参考になれば幸いです。


分析の流れ

分析の手法は先述の通りいくつかありますが、分析を行うまでのアンケートの作成や分析の流れそのものについてはあまり違いがありませんので、以下に分析の流れを解説していきます。

全体像の把握

データを分析する際、アンケート結果の全体像を俯瞰的に把握するということにあります。いきなり欲しい結果に向けて狭い範囲での分析を行ってしまうと余計なバイアスがかかってしまい適切な分析結果を得ることが出来なくなってしまいます。
そのために先ずは単純集計を用いてアンケート結果の全体像を把握することが重要になります。その単純集計の手法については後ほど解説いたします。

細部の確認

全体像の結果を把握した後に仮説を立てたうえで、その属性や傾向でさらに深掘りし、仮説が正しいのかどうなのかを分析する必要があります。そのための集計方法としてクロス集計を用いることが必要になってきます。クロス集計の手法についても後ほど解説しますが、調査目的に合ったクロス集計を行うことで、より戦略的なデータ分析が可能となってきます。

信憑性の確認

アンケートで収集した集計結果をは有意であることが重要とされています。有意であるということはバイアスの掛かっていない信憑性のある結果であるという意になります。
例えばアンケート回答者の属性が偏ってしまっていたり、回答数がそもそも少ないなどであったりすると、集計結果の信憑性に疑いが生じます。つまり、そのアンケートの回答数と回答結果に代表性があるかどうかが信憑性を検証する上でのポイントとなります。

結論を導き出す

上記の2つのポイントからアンケート集計結果の分析に信憑性を確認することが出来たら結論を導き出していきます。その際に気を付けたいのは「相関関係」と「因果関係」についてです。相関関係は「一方が他方との関係を離れては意味をなさないようなものの間の関係。」、因果関係とは「原因とそれによって生ずる結果との関係」です。
例えば、冬が近づくと風邪薬とカップスープのTVCMがよく見られるようになりますが、風邪薬の売上げが上がるとカップスープも良く売れるようになるというわけではありません。
この場合、冬が近づくということと風邪薬またはカップスープの売上げには因果関係が存在しますが、風邪薬とカップスープの間には因果関係はなく、相関関係しかないということになります。この風邪薬とカップスープの相関関係を、風邪薬が売れればカップスープも売れるようになるという因果関係と捉えてしまうと間違った結論となってしまうので注意が必要であるということです。

代表的な集計方法

上記記事内でも集計方法を紹介していますが、代表的な集計方法として「単純集計」「クロス集計」「自由記述集計」の3点を詳しく解説していきたいと思います。
それぞれの特徴をよく理解し、正確な分析結果を得られるようにしてください。

単純集計

単純集計とは「アンケート結果の全体像を把握する」ために行われる集計方法となります。
回答数を分母としてそれぞれの選択肢を選択した回答者数を分子とすることで、選択肢毎の割合を算出していくものとなります。単純集計で作成した集計表はGT(Ground Total)表とも呼ばれています。
例えばシングルアンサータイプの設問タイプを使用したアンケートの場合、円グラフでのアウトプットを行うと視覚的に分かりやすく、マルチアンサータイプの設問タイプを使用した際には、棒グラフや折れ線グラフでのアウトプットすることで、分かりやすく表示することが出来るようになります。
単純集計は最も基本的な集計方法となりますので、アンケートリサーチの全体像の把握ために行うようにしてください。

クロス集計

クロス集計はアンケート回答者の属性毎での集計を深掘りするために行われる集計方法となります。
単純集計で商品Aの好意度が60%だったとしても、クロス集計で20代、30代男性からの好意度が30%だった場合、商品販売のための戦略は異なってきます。このようにリサーチ結果をより深堀りすることで、リサーチの実態を明らかにすることができます。
またクロス集計はその設問タイプがシングルアンサータイプの場合は帯グラフ、マルチアンサータイプの場合は棒グラフ、または折れ線グラフでアウトプットすることで、分かりやすく表記することが出来るようになります。

自由記述集計

アンケートによるリサーチには自由記述(FA)による回答も回収することが出来ます。一般的には数値を記述するものと、感想や意見などの文章を記述するものの2パターンがあります。
数値を記述するものは、一般的に平均値、中央値、標準偏差、最小値/最大値の4点を確認することが重要となります。
一方で、文章を記述するものについては、FAリストを作成し、一覧としてアウトプットを行います。その際に回答者属性や他の設問でどのような回答をしているかなどの付加情報を加えて一覧化することが重要となります。付加情報を加えることで、それぞれの付加情報毎にどのような感情を持たれているかを確認することが出来るようになります。

代表的な分析方法

アンケートの集計が完了したら、そこで得られた情報を分析する必要があります。分析手法もその目的毎に様々な手法がありますので、いくつかの手法をご紹介します。

決定木分析

決定木分析はディシジョン・ツリーとも呼ばれ、関連する選択肢から想定出来る結果を可視化させた分析手法になります。これは集計結果から「予測」や「判別」を目的とするものです。
決定木分析のアウトプットはフローチャートのように表示され、例えば商品Aの最も有力な購買層の洗い出しといった結果が可視化されて表記されることとなります。

クラスター分析

クラスター分析は回答者群を属性情報ではなく、リサーチによって得られた回答を基にクラスター分けする分析手法となります。クラスター分析ではクラスター化された情報を基に、セグメント分析やブランディング、購買ターゲットのペルソナ分析などに利用します。

集計・分析時の注意点

平均値・中央値・最頻値を理解する

自由記述(FA)で数値記述アンケートを行った際、平均値を参照することが多いかと思われますが、中央値を確認することも重要となってきます。一部極端な数値入力や不正回答などがあった場合に平均値はその影響を強く受けやすく、非常に変動しやすいという側面があります。
そのようなことから間違った結論を導き出さないためにも平均値と中央値の双方を確認することで、より分析の精度を上げることが出来るようになります。
また最頻値を確認することも有効となります。最頻値とはもっとも多く頻出された数値を割り出すことで、平均値、中央値、最頻値の確認を行うことで、より有効な分析結果を得ることが出来ます。

カウントする基準を明確にする

回収したアンケート結果には古くなった情報や回答者による不正回答なども含まれます。そのような回答については、事前に回答データから削除しておくことが重要となります。そのような行為をデータクリーニングまたはデータクレンジングと言い、集計、分析の効率を向上させるものとなります。

適切なグラフを選択する

各集計方法の記事内でもご紹介しておりますが、それぞれの集計方法、設問タイプによって結果を比較させやすいグラフは異なってきます。各グラフの特性を理解してアウトプットすることが重要となります。

まとめ

ここまで見てきたように、アンケートを実施するといっても様々な手法や種類があり、集計や分析にも時間がかかります。
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