家計調査結果に見る、コロナの消費への影響(3)

01 2024.02

編集室メンバーコラム

家計調査結果に見る、コロナの消費への影響(3)
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航空運賃は前年同期比13%と壊滅的に減少しています。また、有料道路料も43%まで落ち込んでおり、旅行や長距離の移動の減少が如実にあらわれています。
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旅行関係の支出では、「外国パック旅行費」が前年同期比2%、「国内パック旅行費」が13%と激しく落ち込み、「宿泊料」も29%となっています。
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娯楽・文化関係でも、影響は甚大なものがあります。

「映画・演劇等入場料」「スポーツ観覧料」はそれぞれ前年同期比14%にまで落ち込んでいます。また、「遊園地入場・乗り物代」も17%まで減少しました。
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これに対して、巣ごもりして移動しないことや、リモートワークの影響もあり、「郵便料」は前年同期比132%の増加となっています。
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授業がストップ/オンライン化したことなどの影響と思いますが、学費関係の支出もかなり減少しています。

特に減少が大きいのは「幼児教育費用」で、前年同期比30%となっています。
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冠婚葬祭に関連する行動も自粛の影響を強く受けています。

「祭具・墓石」は前年同期比49%、「葬儀関係費」は65%に減少しました。また、冠婚葬祭における祝金や香典などが中心と思われる「贈与金」も64%と減少しています。
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そのほかで、近年支出が増加傾向にあった「ペット・他のペット用品」に対する支出が一層増加しました(前年同期比128%)。

また、「介護サービス」が前年同期比124%の増加となっています。
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シンクタンク・リサーチ会社による今後のキーワード

最後に、アフターコロナ・ウィズコロナ期における消費者行動について、シンクタンク、リサーチ会社がさまざまなインサイトや予測をリリースしているので、目についたキーワードを抽出しました。

家計調査データにすでに明確に表れている動きもあれば、ブランド選好など家計調査では捉えられない志向、「非接触」に代表される、これから大きく行動が変化する(オフライン購買時の現金利用の減少、電子マネー化など)と思われる予測もあり、今後を考えていく上での参考になります。

・「デジタルシフト」「キャッシュレス化」「感染不安」「非接触」
ニッセイ基礎研究所https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=65190?site=nli

・「衛生的配慮」「節約志向」「通販」
・「家ナカ消費」「内食・中食」「動画・ゲーム」「運動」「リモートワーク対応」
・「備蓄・まとめ買い」「衛生用品、防災用品」
インテージhttps://www.intage.co.jp/covid-19-itgreports/pdf/7QH47Xr.pdf

・「巣ごもり消費」「店舗での必需品購入→気晴らし消費(不安/ストレスの軽減)」「非接触意識の高まり」
野村総研 https://www.nri.com/jp/keyword/proposal/20200519/05

・「買い控え」「コスパ」「ブランドの信頼要素の重視」
KPMG https://home.kpmg/jp/ja/home/insights/2020/09/new-normal-customer-20200901.html

・「ビデオチャット、メッセージアプリ、ソーシャルメディア利用増加」「セルフケアへの関心」
PWC  https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/2020/assets/pdf/consumer-insights-survey.pdf

前回、前々回に引き続き、家計調査結果からコロナの消費への影響を見てみます。データは各年3~8月の半年間の2人以上世帯における家計消費金額です。取り上げている品目は、前年同期比80%未満のもの(減少)、120%以上のもの(増加)を中心に選んでいます。

交通費や旅行関係の支出は大きな減少となりました。

鉄道運賃は前年同期比24%、バス代は37%まで落ち込みました。また、通勤定期代は70%台にとどまっているものの、通学定期代の減少は大きく、鉄道で前年同期比44%、バスで37%となっています。
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