2021年11月25日 更新

アンケート調査票の作成方法は?注意点やテンプレートを公開

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アンケート調査とは

アンケート調査とは、対象者に対して意見や行動を把握するために質問事項に回答してもらいデータを集めることです。目的としては、抱えている課題の解決や、新商品開発をする際の意見聴取、実態把握などがあります。アンケート調査は意思決定をする際の大事な材料になりますので、回収したデータは有意なものでなければなりません。では、どのように有意なデータを集めるのか。これから解説していく「調査票」が大きく関わってきますので1つずつ確認していきましょう。

アンケート調査票の作成方法

調査内容に基づいて、対象者への質問事項や選択肢等が記入されたものを「調査票」と呼びます。リサーチ経験がないとあまり聞きなれないワードかと思いますが、いわゆるアンケート用紙(またはアンケート画面)のことです。調査票は主に定量調査で使用されます。エクセルやワードで作成されることが多いですが、出来上がった調査票の精度に比例して回答データの善し悪しも決まってくるので、これからご紹介する6つのステップを押さえて精度の高い調査票を作成しましょう。

STEP1:目的を明確にする

調査票を作成するときは、下準備がとても重要です。まず最初に明確にしておくことは、調査の「目的は何か」ということです。さらに「何を明らかにしたいのか」も考えておく必要があります。これらを明確にしないと、せっかく調査をしても回答データをどのように処理すれば良いか分からず、本質的な意思決定には繋がりません。最終的に集まる回答データが得たい情報になるのかを意識して調査票作成に取り掛かりましょう。

STEP2:調査の手法と回答者を明確にする

調査目的を明確にすると同時に、「誰を調査対象とするのか」や「どんな調査手法で実施するのか」も明確にしておきましょう。調査手法には、WEB調査や郵送調査、街頭インタビュー等がありますが、調査結果を左右する場合もあるので、調査対象によって調査手法を変えるなど柔軟な対応も時には必要かもしれません。収集したいターゲットや情報にマッチした手法になっているかも要確認です。

STEP3:質問項目と回答形式を決める

下準備が終わったら、いよいよ質問項目や回答形式(選択肢式or自由記述式)を決めていきます。この時に注意することは、「欲しい情報が得られるようになっているか」、「回答者の負担になっていないか」ということです。せっかく作った調査票も回答されない、意図した回答を得られないということになると元も子もありません。質問数や質問文が長くなると、回答者はうんざりしてしまい、いい加減な回答や途中で回答をやめることに繋がります。結果的に有効なデータが集まらないといったことがありますので、出来るだけシンプルにしましょう

設問例

『最近人気の化粧品ブランドAの成功要因は、現代の若者にマッチした訴求力があるからではないか』
Q.あなたがこのブランドを知ったきっかけを教えて下さい。
Q.このブランドの好きなところを全てお選び下さい。
Q.あなたがブランドに求めるものとして当てはまるものを全てお選び下さい。
 ※化粧品ブランドAに関わらず、化粧品ブランドを購入するとき全体でお考え下さい

『新商品Aの売れ行きが怪しいのはパッケージのインパクトがないからではないか』
Q.(Aを提示)この商品について、購入度合いを教えて下さい。
Q.(Bを提示)この商品について、購入度合いを教えて下さい。
Q.(AとBを提示)2つの商品が並んでいるときどちらを購入したいと思いますか。
Q.Aを購入したくない理由に当てはまるものを全てお選び下さい。

『酒類業界において○○のマイナス成長要因は、昨今の健康ブームの影響があるからではないか』
Q.あなたが普段飲む飲料を教えて下さい。
Q.健康上で気にしていることを教えて下さい。
Q.あなたが○○を飲用している理由を教えて下さい。
Q.○○を飲む回数が減ったと感じますか。
Q.○○を飲む回数が減った理由は何ですか。

回答形式例

回答形式にはいくつか種類がありますので、ここでよく使われるものを紹介します。

【回答形式】
・単一回答(シングルアンサー、SA)
 └1つしか選択できない形式
・複数回答(マルチアンサー、MA)
 └複数選択できる形式
・自由回答(フリーアンサー、FA)
 └回答者に記入してもらう形式
・マトリクス型回答
 └複数の聴取項目に対して同じ選択肢が設けられている形式

状況に合わせて回答形式を決めるのですが、形式によっては回答者の負担が大きくなる場合もあるため、注意が必要です。最近ではスマートフォンでアンケートを回答することも多くなっており、マトリクス型で横に長く選択肢を設けた場合、スクロールをしないと全選択肢が見えません。すると、それだけで回答者にとっては手間となり途中離脱が増えてしまいますので、回答者負担を考えながら設問を分ける等臨機応変に作成することも必要です。

また、選択肢を準備するときは選択肢中に選ぶものがないという事態を避けましょう。ここで選択肢に関するポイントもいくつか紹介します。

【選択肢準備】
・代表的な選択肢は必ず用意する
・全員が回答できるようにする(「その他」や「あてはまるものはない」等の選択肢を用意する)
・人によって解釈に差が出る表現をしない
・選択肢が多くなりすぎるのを避ける

選択肢を用意するときも、設問文と同じく回答負担がないように作ることが大切です。できるだけシンプルに、わかりやすく作ることを心がけましょう。

STEP4:設問の言葉遣いを決める

設問は回答者に誤解を与えないような聞き方にすることや、わかりやすい表現をすることを心がけましょう。
主語がない、ある業界でしか使われていない単語を使う、過度な敬語表現をする等は気を付けないと作成している本人は気づかないことも多いです。誰が読んでも同じ理解になるように意識しながら作成しましょう。

STEP5:設問の順番を決める

アンケートの設問順にも気をつけましょう。設問順によって、回答にバイアス(偏り・先入観)が生じたり、回答者が答えづらいアンケートになってしまい、結果的に有効なデータが取れない可能性があります。

【基本的な設問順序】
・過去→現在→未来
・簡単な質問→複雑な質問
・純粋想起→助成想起


「純粋想起」、「助成想起」というあまり聞きなれない言葉を使いましたので補足をすると、「純粋想起」とは、選択肢やロゴ等のヒントなしで、記入欄のみを設置し何も情報を与えていない状態で回答者の声を聴く形式です。「助成想起」とは選択肢やロゴ等のヒントを提示して選択してもらうような何か手がかりがある中で回答する形式の設問です。この設問順を逆にすると、既に見た選択肢の中から記入欄に回答されることが多くなることが予想され、純粋に思いついた回答を聴取することができなくなります。このように質問の順序が結果に影響を与えることがあるため、配慮が必要です。

STEP6:テストを実施

一通りアンケートを作成し終えたら、アンケート実施前にテスト回答をします。様々な回答者の立場になり回答をしていくと、回答できない設問や選択肢の過不足を見つけることができます。また身近な人にアンケートを回答してもらうのも良いでしょう。作成した内容で想定している回答者から回答が得られそうか本番のアンケートを実施する前は入念に確認しましょう。

設問作成時の注意点

設問は曖昧な表現やわかりにくい表現にならないように作成することが鉄則です。
これから設問作成時の注意点として、設問文の良い例と悪い例をそれぞれ比較しながら解説します。

誤解のないように質問する

主語を入れる
→対象者は誰なのかを明確にしましょう。
(✕)○○をどのくらいの頻度で購入していますか。
  ↓
(〇)あなたは○○をどのくらいの頻度で購入していますか。
(〇)あなたの家庭では○○をどのくらいの頻度で購入していますか。

前提を揃える
→作成者と回答者の前提は異なります。曖昧は表現は避け、明確に記載しましょう。
(✕)あなたは最近○○を購入しましたか。
 ↓
(〇)あなたはこの半年間で○○を購入しましたか。

大事な部分は太字、色文字、下線等の文字装飾で強調する
→単調に書くと大事な箇所が読み飛ばされる可能性もあります。特に見て欲しいところは強調しましょう。
(✕)あなたのお子様は何歳ですか。複数いる場合は末子の年齢をお答えください。
  ↓
(〇)あなたのお子様は何歳ですか。複数いる場合は末子の年齢をお答えください。

回答者にわかりやすく質問する

専門/業界用語や略語を使用しない
→一般の生活者にわかる表現が大前提ですが、言い換えが難しい場合は注釈を添えましょう。
(✕)新サービス○○がローンチされることに対して期待することを教えて下さい。
  ↓
(〇)新サービス○○が開始されることに対して期待することを教えて下さい。

過度な敬語を使用しない
→設問文自体が長くなり、くどい印象を受けてしまいます。
(✕)~回答いただけますと幸いです。
  ↓
(〇)~回答してください。

その他の注意点

誘導的な設問文にしない
→回答内容が偏る可能性が高くなります。
(✕)自分の健康やスキルアップのために幅広い世代で注目を集めている「朝活」についてあなたはどのようなイメージがありますか。
  ↓
(〇)「朝活」についてあなたはどのようなイメージがありますか。

1つの設問に2つの質問内容をいれない
→Aについては□□だが、Bは△△と回答したい場合、聴取内容に対する本当の結果は得られません。
(✕)あなたが利用している○○についての価格や使いやすさについてどの程度満足していますか。
  ↓
(〇)あなたが利用している○○の価格についてどの程度満足していますか。
(〇)あなたが利用している○○の使いやすさについてどの程度満足していますか。

テンプレート5選

ここまで調査票の作成手順や注意点を解説してきました。見本として、調査目的ごとのテンプレートをご紹介します。それぞれ基本的な項目になりますので、このテンプレートをアレンジして調査票を作成する際の参考にしていただければと思います。

顧客満足度のアンケート

顧客満足度は売上に直結するものになりますので、有効な調査をすれば課題解決に向けて役に立つデータを得ることができるでしょう。

【聴取項目】
・商品やサービスの認知経路
・商品やサービスの満足度
・満足度の理由
・今後の利用意向
・回答者の属性情報(性別・年齢・職業等)

属性情報については、ニーズ把握やターゲッティングに利用できますので、聴取しておきましょう。また、他にも分析したい軸があれば設問内に盛り込むことをお勧めします。

イベント来場者のアンケート

より良いイベント運営のために、イベント参加者からフィードバックをもらうことは次回の企画を考える際のヒントになるため、アンケートを積極的に活用し聴取する項目を押さえて施策を練りましょう。

【聴取項目】
・イベントの認知経路
・イベントの満足度
・満足度の理由
・イベントに対する不満点
・今後の参加意向
・その他意見・要望
・参加者の属性情報(性別・年齢・職業等)

理由や不満点は自由記述式にして、詳細まで聴取をするようにしましょう。また、属性情報をとることで、今後の集客層やイベント内容に活用することができます。運営側では気づかない参加者の生の声を聴くチャンスなので、次回開催時の参考になるアンケートを取りましょう。

従業員満足度のアンケート

従業員満足調査は職場環境の課題把握や、制度の見直し等に非常に役立ちます。従業員が業務や人間関係についてどのように感じているかは日頃の様子だけでは分かりづらいものです。また、面談等で話をするときも本音は言いづらいこともあります。職場環境をより良いものにして生産性の向上、離職率の低下に繋がる調査を実施しましょう。

【聴取項目】
・仕事内容について(やりがい・成長性・目標)
・職場の処遇(待遇・評価制度・福利厚生)
・職場の組織風土(風通し・コミュニケーション・自主性尊重)
・上司について(正当な評価・教育)
・その他意見・要望

人事施策の際の有益な材料にもなり得るため、従業員の本音を聞き出せるようにアンケートを作成することも重要です。個人が特定されない形(部署や役職までで留める)で実施することをお勧めします。

コンセプト受容性のアンケート

商品(またはサービス)の新商品や改良版を開発する際に、コンセプト(方向性)を決めることは施策上マスト事項です。コンセプトに沿って、ネーミングやパッケージ、ターゲットが選定されていきます。企画で出したコンセプトに対して、消費者がどのような反応を示すか、市場に受け入れられるものなのかを事前に把握することができます。

【聴取事項】
・コンセプトAに対する評価
・コンセプトBに対する評価
・コンセプトAとBの比較
・回答者の属性情報(性別・年齢・職業等)

調査をする場合は事前にいくつかのコンセプトを用意し、アンケート内に提示し評価をしてもらいます。注意点はバイアス(先入観)を与えないように回答してもらうことです。コンセプトを複数見せると、最初に見せたコンセプトが良い評価を得る傾向があります。そのため、コンセプトAを初めに見せるグループとコンセプトBを初めに見せるグループに分けてアンケートを取るようにしましょう。

ブランド認知度のアンケート

消費者がどのくらいブランドを認知しているかを調査することで、現状の浸透度合いについて確認することができます。認知されている商品は、認知されていない商品より手に取ってもらえる確率が高く有利なため、マーケティング戦略に大きく関わる箇所となります。どんなに良いブランドでも知ってもらわないと売上に反映されないので、認知度調査で実態把握をしましょう。

【聴取事項】
・○○カテゴリ内での認知商品(記述式)
・○○カテゴリ内での認知商品(選択肢式)
・知ったきっかけ
・購入経験
・直近1年以内購入経験
・今後の購入意向
・回答者の属性情報(性別・年齢・職業等)

また市場の動向は日々変化するので、認知度調査は一度だけで終わらせずに、定期的に実施することで推移を確認しましょう。その都度状況に合わせた戦略をとることができれば成果が得られるはずです。

まとめ

有意なデータを収集するために重要となる調査票の作成方法について解説しました。多くの注意点を挙げましたが、回答するのは主に一般の生活者のため、調査票を作成するときは客観的な視点が必要です。
本記事の運営会社はリサーチツール「Surveroid(サーベロイド)」も提供しています。データを収集するために必要な機能が一通り備わっており、「この聞き方でデータが取れる?」や「設問の流れに矛盾はない?」などの不安点をカスタマーサポートに相談することも可能です。リサーチ検討中の方は是非サービスサイトを覗いてみて下さい。
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大石(MRJ編集長) 大石(MRJ編集長)