2020年9月18日 更新

「仮説」についての対話

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「仮説」についての対話

A 「決定係数」ってご存じですよね。
B 忘れちゃいました。何でしたっけ?

A アール2乗です。
B ああ、回帰分析とかに出てくる。あれ修正なんたらとかあって…いや、全部忘れました。

A アール2乗の説明で、「yの変動の何パーセントをxで説明できる…」とかクライアントに説明しますよね。
B はいはい。した覚えがある。

A あの「変動」って、偏差の2乗和じゃないですか。
B そうなの?単に動きだと思ってました。

A 動きといえば動きなんですが、単に動きと言っちゃうと、感覚的には2乗してる感じがないでしょう?
B 確かに。変動は分散をnで割る前ね。2乗してるから、偏差を一辺とする正方形の面積を足してるわけですね。

A まあ我々の仕事の場合n-1で割ることが多いかな。この「変動」の意味合いって、クライアントに正確には伝わってないでしょう。
B そうかな・・・まあいいんじゃないの、同じ言葉を使ってる以上。こっちは数学的な定義で言葉を使ってるけど、聞いてる人は一般的な意味から考えてる。統計ではあるあるでしょう?例えば、「予測」という言葉だってそうじゃないですか。定量調査の分析でいう予測は、たいてい時間とか将来とかとは関係ないですよね。一般にはそうじゃないけど。

A はい。それで、同じようなことが、「仮説」という言葉でもいえると思うんですよ。
B ふむ。

A仮説というのは検証できるもの、つまり、定量調査の場合は、数式で表現されているものですよね。
B 数式というとハードルが高いですが、要は仮説検定で、A>Bとかですよね。あるいは・・モデルAの適合度>モデルBの適合度、とか。

A  Xの反応値 > 基準値とかもありますね。ところが、調査は「まず仮説を考えるところから」ということを言う人もいるんですよね。このときって、「仮説」という言葉で数式で表現できない範囲のことを言っているように思うのです。私の使う「仮説」とは違う意味で使われている。
B なるほど、私たちの言葉で言うと、リサーチ課題とか、リサーチクエスチョンのことを「仮説」と言っている、というような感じかな。まあ、そういう使い方をしてもいいじゃないですか。実証研究の仮説を「中仮説」、マルクスやフロイドなんかの理論は検証できない「大仮説」っていう言い方もありますし。

A でも、そこが混乱してると、何かすごくつまらない調査を設計しちゃうことがあると思うんです。仮説が検証されました。だからどうなの?っていう。
B 真に問いたいリサーチ課題への意識が弱くなっちゃうという意味ですかね。まあ、急ごしらえで「仮説」を立てるからですね。昔仕事で関わった会議で、統計・調査業界の大御所が、こういう発言をしたことを覚えていますよ。「仮説から作った調査は、設計者の頭の中のことが結果として出るだけで面白くない。」

A それは少しレベルの高い話ですね・・・。
B 「それなら、多様な設問のデータベースを作って、そこからランダムに設問を組み合わせて調査した方が、有意義な発見がある可能性がある」と言ってました。その場のノリで言っただけかもしれないから大御所の名は伏せますが。

A その考え方は、ある意味現代的といえるような。でも、そんな運任せみたいなやり方は、我々のようにクライアントから受託してリサーチをやってる場合は無理ですよ。
B そうですかね。今はインターネット調査でコストも安いんだし、定性調査でやっていることを、総当たり式の定量調査で探索して新しい発見を探すっていうのもありじゃないですか?

A あなたのクライアントは予算が無尽蔵にあるからな・・・。うらやましい。
B いやいや、設問の海から完全にランダムにっていうのはちょっと極端ですが、ある程度バランスじゃないですか?今って定性調査の方が定量より高かったりするでしょう。定性調査って報告する相手の見識、力量を選びますし。

A 巨額の資金調達に成功した、データサイエンス系のスタートアップ企業の方がやってくれそうかもしれませんね。

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