2020年9月18日 更新

「仮説」についての対話

gettyimages (855)

「仮説」についての対話

A 「決定係数」ってご存じですよね。
B 忘れちゃいました。何でしたっけ?

A アール2乗です。
B ああ、回帰分析とかに出てくる。あれ修正なんたらとかあって…いや、全部忘れました。

A アール2乗の説明で、「yの変動の何パーセントをxで説明できる…」とかクライアントに説明しますよね。
B はいはい。した覚えがある。

A あの「変動」って、偏差の2乗和じゃないですか。
B そうなの?単に動きだと思ってました。

A 動きといえば動きなんですが、単に動きと言っちゃうと、感覚的には2乗してる感じがないでしょう?
B 確かに。変動は分散をnで割る前ね。2乗してるから、偏差を一辺とする正方形の面積を足してるわけですね。

A まあ我々の仕事の場合n-1で割ることが多いかな。この「変動」の意味合いって、クライアントに正確には伝わってないでしょう。
B そうかな・・・まあいいんじゃないの、同じ言葉を使ってる以上。こっちは数学的な定義で言葉を使ってるけど、聞いてる人は一般的な意味から考えてる。統計ではあるあるでしょう?例えば、「予測」という言葉だってそうじゃないですか。定量調査の分析でいう予測は、たいてい時間とか将来とかとは関係ないですよね。一般にはそうじゃないけど。

A はい。それで、同じようなことが、「仮説」という言葉でもいえると思うんですよ。
B ふむ。

A仮説というのは検証できるもの、つまり、定量調査の場合は、数式で表現されているものですよね。
B 数式というとハードルが高いですが、要は仮説検定で、A>Bとかですよね。あるいは・・モデルAの適合度>モデルBの適合度、とか。

A  Xの反応値 > 基準値とかもありますね。ところが、調査は「まず仮説を考えるところから」ということを言う人もいるんですよね。このときって、「仮説」という言葉で数式で表現できない範囲のことを言っているように思うのです。私の使う「仮説」とは違う意味で使われている。
B なるほど、私たちの言葉で言うと、リサーチ課題とか、リサーチクエスチョンのことを「仮説」と言っている、というような感じかな。まあ、そういう使い方をしてもいいじゃないですか。実証研究の仮説を「中仮説」、マルクスやフロイドなんかの理論は検証できない「大仮説」っていう言い方もありますし。

A でも、そこが混乱してると、何かすごくつまらない調査を設計しちゃうことがあると思うんです。仮説が検証されました。だからどうなの?っていう。
B 真に問いたいリサーチ課題への意識が弱くなっちゃうという意味ですかね。まあ、急ごしらえで「仮説」を立てるからですね。昔仕事で関わった会議で、統計・調査業界の大御所が、こういう発言をしたことを覚えていますよ。「仮説から作った調査は、設計者の頭の中のことが結果として出るだけで面白くない。」

A それは少しレベルの高い話ですね・・・。
B 「それなら、多様な設問のデータベースを作って、そこからランダムに設問を組み合わせて調査した方が、有意義な発見がある可能性がある」と言ってました。その場のノリで言っただけかもしれないから大御所の名は伏せますが。

A その考え方は、ある意味現代的といえるような。でも、そんな運任せみたいなやり方は、我々のようにクライアントから受託してリサーチをやってる場合は無理ですよ。
B そうですかね。今はインターネット調査でコストも安いんだし、定性調査でやっていることを、総当たり式の定量調査で探索して新しい発見を探すっていうのもありじゃないですか?

A あなたのクライアントは予算が無尽蔵にあるからな・・・。うらやましい。
B いやいや、設問の海から完全にランダムにっていうのはちょっと極端ですが、ある程度バランスじゃないですか?今って定性調査の方が定量より高かったりするでしょう。定性調査って報告する相手の見識、力量を選びますし。

A 巨額の資金調達に成功した、データサイエンス系のスタートアップ企業の方がやってくれそうかもしれませんね。

3 件

関連する記事 こんな記事も人気です♪

【独自調査】生活者の購買行動を引き起こさせるために必要なこととは?

【独自調査】生活者の購買行動を引き起こさせるために必要なこととは?

コロナ禍も収束の気配を見せ始め、人々の行きかいも活発になってきているように思われます。沈んでいた経済活動も復調の兆しを見せ始める中、生活者はどのように購買行動を起こしているのでしょうか?今回はその実態について、15歳から60代以上の600名にアンケートを実施し、深掘りしてみました。
ダークな「No.1調査」

ダークな「No.1調査」

ネットリサーチCron : リサーチ関連の話題・手法について、業界内外の人が息抜きに読めるような軽いコラムです。
KOJI.A | 60 view
外国人観光客の受け入れ再開!続くマスク生活に生活者の本音とは?

外国人観光客の受け入れ再開!続くマスク生活に生活者の本音とは?

6月10日は県民割などのGoToキャンペーンの開始や、外国人旅行者の本格的な受け入れの再開など、withコロナ生活に向けて加速しているように思われます。新型コロナウイルスへの対策方針が大きく変化しているように思われる昨今ですが、実際の生活者はどのような思いを抱いているのでしょうか? 今回は全国の都道府県の20代以上の男女500名を対象にアンケートを実施しました。その結果をご紹介します!
【サーベロイド】回答者の趣味嗜好や家族構成など、より詳細な消費者情報を基にアンケート配信可能な新機能「拡張属性」をリリース!

【サーベロイド】回答者の趣味嗜好や家族構成など、より詳細な消費者情報を基にアンケート配信可能な新機能「拡張属性」をリリース!

MarketingResearchJournalを運営する株式会社マーケティングアプリケーションズ(本社:福岡県福岡市、代表取締役・萩野郁夫)は、2022年4月1日(金)に、セルフ型ネットリサーチ「サーベロイド」で新機能「拡張属性」の提供を開始致しました。
大石 | 305 view
ホワイトデーでのバレンタインのお返しに対する働く女性の意識調査2022

ホワイトデーでのバレンタインのお返しに対する働く女性の意識調査2022

もうすぐホワイトデー。お返しに迷っている方も多いのではないでしょうか? 今回働く女性がホワイトデーについてどう思っているのか、550名を対象に調査を行いました。貰って嬉しいものから、お返しの金額、ホワイトデーに対するホンネを集めてみました。

この記事のキーワード

この記事のキュレーター

KOJI.A KOJI.A
Surveroid
Surveroid